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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
115/154

115、両成敗?

115、両成敗?

 「そんなアホな、ボク等悪い事してへんのに、何で?」

 「そうよ! 悪いのはあいつ! オカマじゃない」


 両成敗、レイちゃんとリーちゃんは、サンチ様のその言葉に納得がいかず、思わず言い返してしまった。


 「じゃが、事の発端はサンヨー君がダークネームを付けたからであろう? 悪気が無かったとしてもじゃェイ。それにヤツが仲間にした家電も人間に捨てられた家電ばかりじゃイェイ。公平な目で見れば人間の方が悪いくらいじゃェイ」


 サンチ様のその言葉を聞き、お父さんは小さく首を縦に振り、恐る恐る聞いてみた。


 「確かにそうですね……では、リー達はどんな罰を受けるのでしょうか?」

 「罰はリーちゃんら子供達だけではすまない。天界はこの件にに関わったもの全てを抹消(まっしょう)されるであろうェイ」


 そういう事だ。神々は万物を創り出すことはするが、あとは進化するも絶滅するも、創られたもの任せと言うこと。争いごとにいちいち介入するほど天界の神々は暇ではないのだ。

しかし、今回の件にはタマシールやカミテレコン等、多くの神具が使われている。人間界にはあってはならない物ばかりだ。もし天界の神々に頼めば、この件に関わったもの全てを消し去ってしまうであろう。


 「ヒエールのように神位が人間界に近い神と、子供たちの中で治められれば問題なかったのじゃが、ここまで事が大きくなってしまっては……イェイ」


 抹消(まっしょう)? それってこの世から消されるって事? リーちゃんには何の事か分からないが、お父さんとお母さんは、それを聞いて(くず)れ落ちるようにガクッと膝をついた。


 「え……えらいことになった……」


 「ハッハー、冗談じゃイェイ。我は家宅の神であるが家電達でもあるイェイ、えこひいきして内緒にしておいてやるから早くヤツをやっつけるイェーイ」

 「なんだもぉービックリした。サンチ様、人が……いや神が悪いなー」

 「しかし、これ以上事が大きくなると隠しておけなくなるイェイ。急ぐイェイ」


 サンチ様とお父さん達のシリアスなショートコントを見て、レイちゃんはサッと立ち上がりトリセツを頭上に(かか)げ言った。


 「よっしゃ! 善は急げや、ちゃっちゃと行ってサクーッと片付けるで」


 ほかの家電達も次々とトリセツを取り出し、レイちゃんの周りに集まった。


 「今回はぼくも加わろう。多い方がパワーも上がるしね」


 そう言って五重丸は「トリセツ」と書いたカードを差し出した。


 「おっ、エエでエエで、ほな行くでー、せーのっ!バビエオッ」


 みんなが一斉に呪文を唱えると、4人と1匹の家電達の体は(まばゆ)い光に包まれた。融合合体を初めて見るお父さん達は、驚いてリビングの壁にへばりついた。

 やがて光が止み、その中から一人の新製品が誕生した。


 「ジャジャーン! ちょーパワフル新製品レジャズベ5やでーっ」

 「すごーい、かっこいー、でもまた名前長くなったねー」


 レジャズベ5。

 リーちゃん()の家電達5体での融合合体。

 今回は五重丸が加わったことにより、全体がデジタル化されパワーも桁違(けたちが)いにアップ! 以前より高速で動けるようになった。

 ドアの上方に液晶画面が付き、みんなの顔が映し出されている。


 「お姉ちゃん、あたしらもいくわよっ」


 リーちゃんはそう言って、腰を軽く落とし、右手を(おが)むように顔の前に構え、左手を横にピーンと伸ばし「変身」のポーズを始めた。


 「香織、あんたも安全スーツ? とかに着替えるの?」

 「着替える? そんな面倒くさいことしないわよ、見てて、ヒエヒエチェーンジ!」


 リーちゃんは伸ばした左手を敬礼するように戻し、カチューシャにつけたヒエールバッジに人差し指を当てた。白い光が体を包み込み、リーピンクに変身した。


 「わーっ! なになに、どーやったの? 手品? ねえ美香……わっ!」


 急に目の前で「変身」を見せられたお母さんはぶったまげ、後ろにいたミーちゃんに聞こうとした、が、ミーちゃんもこっそりミーバイオレットの姿になっていたので、それを見てさらにぶったまげ尻もちをついた。


 「あんたまで、いつの間に……シッポまで生えてもう、どうしようお父さん」


 恥ずかしそうに頭をかいているミーバイオレットを上から下までジロジロ見て、今度はお父さんに話しかけようとした。


 「すご……」

 「え? 何だって?」


 お父さんは半笑いの顔で、サイドボードに飾ってあった勇者サマのフィギュアとリーちゃん達を交互に見つめ、ボソッと言った。


 「凄い、まさか我が娘たちが本物のヒーローになるとは……」

 「あ、あなた」


 まあ、仕方がないか。いきなり戦隊もの特撮的なシーンを生で見せられては。

 とにかくグズグズしている暇はない。リーピンクとミーバイオレットは、レジャズベ5に駆け寄りベランダの窓から出ていこうとした。


 「ちょちょっと待って!」

 「何よお母さん、早く行ってやっつけないとアイツが……」

 「ダメよやっぱり、そんなペラペラのコスプレみたいなので大丈夫な訳ないでしょ」

 「えー、でもみんなで戦わないと、魔神オカマをやっつけられないよ」

 「だめ! 許しません! ねえお父さん」

 「そ、そうだな。戦うのはレジャー何とか君に任せて、あ、警察にも電話しておこう」


 そう言ってお父さんは、カウンターにある電話機に手を伸ばした。親として子供を危険な所にはいかせるわけにはいかないし、警察に任せておけば安心だ。そう思うのは無理ない。


 「お姉ちゃんどうしよう、110番されちゃうよ」

 「どうしよう、ったって……え? 何?」


 出撃を却下されリーちゃん達が困っていると、レジャズベ5は手招きをして自分の液晶画面を指さした。見ると画面にはすずちゃんが映し出されており、何やら耳を塞ぐようなジェスチャーをしている。

 ミーちゃんはハッとし、両手で耳を(ふさ)ぎ、(ひじ)でリーちゃんを小突いた。小突かれたリーちゃんも慌てて耳を塞いだ。


 画面の中のすずちゃんが、ニコッと笑いうなづいた。


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