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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
114/154

114、コンビニ襲撃

114、コンビニ襲撃

 ここは、大通りにあるコンビニ。

 数十メートル先に、鉄塔の山方面の山道を示す標識がある。

 朝と昼前は、弁当を買いに来る工事の作業者やトラッカーで、レジに行列ができるが、今の時間帯は客もなく、店内は店のオーナーの店長さんとアルバイト君の二人きりだ。

 アルバイトの船井君が、ガラスケースのから揚げを(ひま)そうに補充している。


 ガシャッ!


 「ん? なんだ今の音」


 船井君は、店の外で何か物が壊れるような音がしたので、首を伸ばして外の様子をうかがった。


 「車が何か踏んづけたのかな……」

 「おーい、船井どうしたぁー、何か落としたかぁー?」


 バックヤードでジュースの補充をしていた店長も音に気付き店内に戻ってきた。


 「あ、店長、違います、外で何か……」

 「結構大きな音だったぞ? 何だよ」


 店長は、外の様子を見に出入り口の方に向かった。


 ウイーン


 「あっ、いらっしゃ……って、あ、あんたなんだよその格好」


 店長が外に出ようとしたその時、身を屈めるようにして、何者かが店内に入ってきた。全身ガラクタのような服を着て、髪はドレッドヘアーのように垂れ下がり、不気味なお面をつけている……魔人オカマだ!

 店長はその異様な風貌(ふうぼう)の大男の行く手を(はば)むように両手を広げ言った。


 「ちょ、ちょっとあんた、うわっ! クセー、ホームレスか? 困るよ出てってくれ」


 魔神オカマは店長を見下ろすように(にら)み付け、店長の制止を無視し、どんどん入ってくる。


 「ギャッギャッ」

 「出てけっていってんだろ! 警察呼ぶぞコラ」


 言うことを聞かない不審者を追い出すため、学生時代ラグビー部だった店長は、魔神オカマの腰あたりに得意のタックルをブチかました。

 その瞬間。


 パーーーン


 乾いた破裂音が響き、店長は吹っ飛ばされ、お菓子の陳列棚に激突した。


 「グフッ」


 一瞬で何をされたのか、店長の服は焼け焦げ、気を失ってしまった。体からは白い煙が立ち昇っている。


 「て、店長! 大丈夫っすか? なにすんだコノヤロ、えいっ」


 気が動転した船井君はレジの後ろにあったカラーボールを取り、魔神オカマに投げつけた。

 そう、カラーボールは逃走する犯人に目印をつけるためのもので、武器ではない。もっと硬くて重い物を投げつければよかったのに。

 ボールは魔神オカマに命中し、胸のあたりがオレンジ色に染まった。もちろんノーダメージ、魔神オカマは船井君の方を睨み付け言った。


 「お前もボールを……アイツらの仲間かギャ?」

 「な、仲間? 何のことだよ」


 船井君は焦げてボロボロになった店長を引きずり、レジの奥に避難した。

 魔神オカマはその間、レジを片手で吹っ飛ばしてレジ台から何かを取り出し、体内に入れた。


 「もしもし、警察ですか? ご、強盗です! 場所はえーっと……」


 船井君がおたおたと通報しているうちに、魔神オカマはもう一つのレジも壊しにかかっている。


 「うぅ……」

 「あっ店長! 大丈夫ですか」


 気を失っていた店長が意識を取り戻したその頃、リーちゃん家では……


 「えらいこっちゃ! あいつブチ切れて町を破壊し始めよった」


 現場の状況とは少し違うが、魔神オカマが再び動き出したことには変わりない。電源も神の御霊もないヤツが、何で動くことができるのかも分かっていないリーちゃん達は動揺した。


 「魔神オカマは、不法投棄された家電の集合体じゃヴェ、いくらダークパワーが強力とはいえ、電源なしでは動くことは出来ないはずヴェ」

 「ヒエール様も分からないの?」

 「どこかに電源につながった本体があるのは間違いないのじゃが、どこにあるのかは我にも分からないヴェ……」


 ヒエール様は申し訳なさそうに言った。

 うつむいているリーちゃんを見たお父さんは、サンチ様に尋ねてみた。


 「ヒエール様もサンチ様も神様なんでしょ? 魔神オカマが悪ならやっつけてくれないのですか」

 「それは出来ないェイ」

 「できない? なぜですか?」

 「今、魔神オカマは、不法投棄家電の(かたまり)じゃイェイ。神はすべての物に平等でなくてはならないェイ。怨念(おんねん)(かたまり)の魔神オカマを罰せよというのであれば……」


 サンチ様はさっきまでの軽いノリとは打って変わって、低めのトーンでそう言った。リーちゃん達は神妙な顔で、話の続きに耳を傾ける。


 「両成敗……せねばならないェイ」

 「えーっ! みんなカエルとかにされちゃうの?」

 「ミー、両生類じゃなくって両成敗、両方とも罰せられるってことよ」

 「お母さん、あたし何言ってんのか全然わかんないんだけど」


 相変わらずリーちゃんは、半分くらいしか分かっていない。


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