114、コンビニ襲撃
114、コンビニ襲撃
ここは、大通りにあるコンビニ。
数十メートル先に、鉄塔の山方面の山道を示す標識がある。
朝と昼前は、弁当を買いに来る工事の作業者やトラッカーで、レジに行列ができるが、今の時間帯は客もなく、店内は店のオーナーの店長さんとアルバイト君の二人きりだ。
アルバイトの船井君が、ガラスケースのから揚げを暇そうに補充している。
ガシャッ!
「ん? なんだ今の音」
船井君は、店の外で何か物が壊れるような音がしたので、首を伸ばして外の様子をうかがった。
「車が何か踏んづけたのかな……」
「おーい、船井どうしたぁー、何か落としたかぁー?」
バックヤードでジュースの補充をしていた店長も音に気付き店内に戻ってきた。
「あ、店長、違います、外で何か……」
「結構大きな音だったぞ? 何だよ」
店長は、外の様子を見に出入り口の方に向かった。
ウイーン
「あっ、いらっしゃ……って、あ、あんたなんだよその格好」
店長が外に出ようとしたその時、身を屈めるようにして、何者かが店内に入ってきた。全身ガラクタのような服を着て、髪はドレッドヘアーのように垂れ下がり、不気味なお面をつけている……魔人オカマだ!
店長はその異様な風貌の大男の行く手を阻むように両手を広げ言った。
「ちょ、ちょっとあんた、うわっ! クセー、ホームレスか? 困るよ出てってくれ」
魔神オカマは店長を見下ろすように睨み付け、店長の制止を無視し、どんどん入ってくる。
「ギャッギャッ」
「出てけっていってんだろ! 警察呼ぶぞコラ」
言うことを聞かない不審者を追い出すため、学生時代ラグビー部だった店長は、魔神オカマの腰あたりに得意のタックルをブチかました。
その瞬間。
パーーーン
乾いた破裂音が響き、店長は吹っ飛ばされ、お菓子の陳列棚に激突した。
「グフッ」
一瞬で何をされたのか、店長の服は焼け焦げ、気を失ってしまった。体からは白い煙が立ち昇っている。
「て、店長! 大丈夫っすか? なにすんだコノヤロ、えいっ」
気が動転した船井君はレジの後ろにあったカラーボールを取り、魔神オカマに投げつけた。
そう、カラーボールは逃走する犯人に目印をつけるためのもので、武器ではない。もっと硬くて重い物を投げつければよかったのに。
ボールは魔神オカマに命中し、胸のあたりがオレンジ色に染まった。もちろんノーダメージ、魔神オカマは船井君の方を睨み付け言った。
「お前もボールを……アイツらの仲間かギャ?」
「な、仲間? 何のことだよ」
船井君は焦げてボロボロになった店長を引きずり、レジの奥に避難した。
魔神オカマはその間、レジを片手で吹っ飛ばしてレジ台から何かを取り出し、体内に入れた。
「もしもし、警察ですか? ご、強盗です! 場所はえーっと……」
船井君がおたおたと通報しているうちに、魔神オカマはもう一つのレジも壊しにかかっている。
「うぅ……」
「あっ店長! 大丈夫ですか」
気を失っていた店長が意識を取り戻したその頃、リーちゃん家では……
「えらいこっちゃ! あいつブチ切れて町を破壊し始めよった」
現場の状況とは少し違うが、魔神オカマが再び動き出したことには変わりない。電源も神の御霊もないヤツが、何で動くことができるのかも分かっていないリーちゃん達は動揺した。
「魔神オカマは、不法投棄された家電の集合体じゃヴェ、いくらダークパワーが強力とはいえ、電源なしでは動くことは出来ないはずヴェ」
「ヒエール様も分からないの?」
「どこかに電源につながった本体があるのは間違いないのじゃが、どこにあるのかは我にも分からないヴェ……」
ヒエール様は申し訳なさそうに言った。
うつむいているリーちゃんを見たお父さんは、サンチ様に尋ねてみた。
「ヒエール様もサンチ様も神様なんでしょ? 魔神オカマが悪ならやっつけてくれないのですか」
「それは出来ないェイ」
「できない? なぜですか?」
「今、魔神オカマは、不法投棄家電の塊じゃイェイ。神はすべての物に平等でなくてはならないェイ。怨念の塊の魔神オカマを罰せよというのであれば……」
サンチ様はさっきまでの軽いノリとは打って変わって、低めのトーンでそう言った。リーちゃん達は神妙な顔で、話の続きに耳を傾ける。
「両成敗……せねばならないェイ」
「えーっ! みんなカエルとかにされちゃうの?」
「ミー、両生類じゃなくって両成敗、両方とも罰せられるってことよ」
「お母さん、あたし何言ってんのか全然わかんないんだけど」
相変わらずリーちゃんは、半分くらいしか分かっていない。




