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リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
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113、ヒエール様とサンチ様

113、ヒエール様とサンチ様

 リーちゃんがカミテレコンを使おうとしたその時、先にカミテレコンの着信音が鳴りだした。リーちゃんは一瞬ビクッとしたが、すぐに通話ボタンを押した。


 「リーちゃんよ、レイ太は帰ってきたかヴェ?」

 「ヒエール様、今電話しようとしてたの、あのね、魔神オカマがまだ生きているみたいなの」

 「我が聞こうとしていたのもその事じゃヴェ、ちょっとレイ太と代わってくれんかの」

 「わかった、レイちゃん、ヒエール様がお話したいって」


 リーちゃんは、キッチンにいるレイちゃんのところへ走って行きカミテレコンのリボンを手渡した。

 受け取ったレイちゃんは、チャッと冷凍庫の横辺りにリボンをあてた。それを見たリーちゃんは上目づかいで聞いた。


 「レイちゃん、耳ってそこなの?」

 「え? 知らんけど、電話するっちゅうたらこんな感じやろ、オデコとかにあてたら変やん、もしもーしヒエール様~」

 「アホなことしている時じゃないヴェ、レイ太よ、山におるヤツは一体何者じゃヴェ」

 「一見したところ体は魔神オカマみたいやったけど、近づいて顔見た途端(とたん)に攻撃してきよって」

 「攻撃されたのかヴェ! 体は大丈夫かヴェ」

 「そのまま気絶してしもて、よう分からんけど気が付いたら家に帰ってたんや」


 それを聞いてリーちゃんは、背伸びしながら両手を口に当て話しかけた。


 「SR-18さんがまた、みんなの傷を治してくれたの。だから今は大丈夫よ」

 「そうかそうか、SR-18も正気を取り戻し、協力してくれておるのじゃな」

 「そうそう、それとね、また新しいお友達が増えたの」

 「ほ?」


 わざわざ我に紹介するという事は、人間の友達ではなく家電達かヴェ? とヒエール様は思った。何にタマシールを使ったのかヴェ?


 「ジャジャーン、家の神様サンチ様よ。よろしくねー」

 「イェイイェーイ、ヨ、ロ、シ、ク、イェーイ」

 「ほ? 家の神様サンチ様? そのような名前の神は我は聞いたことないヴェよ」

 「そりゃそうよ、あたしがつけた名前だもん」

 「ホヘ……」

 「ホヘ、ってどうしたの? ヒエール様」

 「ど、ど、ど、どうしたぁーって、家宅の神様と言えば神々の中でも最高クラスの神様であらせられるヴェ! そのような方にタマシールを貼った上に名前をつけるとは……おぉ、何という事を……」


 珍しくヒエール様は、大声を上げてうろたえた。

 無理もない、今回の騒ぎも神の御霊を持ったSR-18にタマシールを貼っってしまったことが発端だ。神の名を持たない者に貼ってもこんな大事(おおごと)になっているというのに、現役の神様に貼ったら……どんな天罰が下ってもおかしくない。


 頭を抱えるヒエール様にサンチ様はノリノリの口調で話しかけた。


 「心配するでないェイ、リフリージェヒエールよ。太陽光発電システムが稼働した時、其方(そなた)の創りだしたタマシールとやらの力で、我の中に人間の魂が一つ入ってきたが、我は以前からの我じゃイェイ」

 「そうでございますか、安心しましたヴェ。リーちゃんが、神様に名前を付けるなどという無礼をしたと申したので、何か罰を受けるのではないかと案じておりましたヴェ」

 「ハッハー、名前など付けられていないェイ。我の名は『松下さん家』じゃ、『サンチ』はあだ名じゃイェイ。其方(そなた)も我のことをサンチと呼んでいいぞよイェイ」

「そんな恐れ多い……」


 いいぞよイェイって……松下さん家様はご自身の変化に気が付いておられないのだろう、とヒエール様は思った。

 神位の高い家宅の神様、本来ならばもっと威厳(いげん)のある、心に響くようなお言葉を発せられるはず。どこかのDJみたいにノリノリで(から)んでくるこの性格は、きっとタマシールで貼りつけられた魂の影響じゃヴェ。

 リーちゃんが電気のスイッチに貼ったタマシールが、後から取り付けられた太陽光発電システムに反応するとは思いもしなかったヴェ。

 結果、我の(つく)った呪符が偉大な神々を家電達にしてしまったってことじゃヴェ。こりゃ、罰を受けるのはタマシールを貼ったリーちゃんより、(つく)って託した……


「我か、ヴェ……?」

「ヘイヘーィ、ヒエールよ、何か言ったかイェイ?」


 こ、ここは気付かぬ振りをして合わせておくのがベストかヴェ?

 ヒエール様はそう思い、しれっとサンチ様に話した


 「サ、サンチ様、それよりも今、山の上で(うごめ)いておる者のことですが」

 「分かっておるイェイ。アレじゃろ? アレは今や、目の前にある物全てを破壊する怪物になってしまったようじゃイェイ。五重丸とやら、ちょっと映してみるイェイ」


 五重丸はうなずき、付近の防犯カメラをサーチし始めた。映像がパシャパシャ切り替わり、山頂へと続く道の途中にあるコンビニの防犯カメラの映像で止まった。


 「あの山に一番近い防犯カメラはここだね」


 カメラは、コンビニ店の入り口付近が映る位置で固定されたモノクロカメラ。残念ながら画質はあまりよくない。画面右側に時折り通過して行く車のタイプが何とか分かる程度だ。


 「あ、あれ何だろね」


 リーちゃんが何か動くものを発見し、指をさした途端画面が砂嵐になった。


 「あれ? 故障かな」

 「ちゃうちゃう! 一瞬映ったアレ、魔神オカマの足や! コンビニをぶっ壊しよった」

 「えーっなになに? オレも見たーい」

 「キャー、わたしもー」


 レイちゃんの声を聞いて、1階のジャブ君と3階のすずちゃんが、騒ぎだした。リーちゃんは家電達全員を呼びだし、リビングは人間と家電達でいっぱいになった。


 「どうしよう、こっちに来るのかな」

 「来るっちゅうか、アイツ町中を破壊するつもりや!」


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