表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーちゃんと家電たちの夏  作者: 大門しし丸
108/154

108、お父さん帰宅

108、お父さん帰宅

 「フンがしゃべる訳ないだろ、さっさと片付けて帰るぞ」

 「はあ……はい」


 作業員は首を(かし)げ、フンの山をチラチラ見ながら交換した部材や工具を拾い集めた。


 「……『フンがしゃべる訳ないだろ』って言うけど確かに聞こえたよな。二人同時に同じ空耳するってのも変だし。フンが風でちょっと(くず)れただけかもしれないけど、(くず)れた音にしては声っぽい感じだったしブツブツ……」

「何ブツブツ言ってんだ、ホレ帰るぞ」


 そう言って先輩作業員は車のバックドアをバタンと閉め、運転席に乗り込み、せわしなく手招きをして作業員を呼んだ。いまいち納得できない作業員も、首を(かし)げながら助手席に乗り込み、車は山道を走り去って行った。


 「ググ……ギギ……ポンコツ……ジャナイ」


ウイーン、コココココ、カタカタ、ピーー


 誰もいなくなった山中に、うめき声と様々な機械音が不気味に染み渡る。

そしてフンの山のてっぺんから突き出された腕がぴくっと動き、周りがボロボロと(くず)れ始めた。


 山で何かが動き出そうとしているその頃。


 ガチャガチャ


 「ただいまー、おーい大丈夫かー?」


 リーちゃん家のドアが開き、お父さんの声が聞こえた。

 停電の事を会社で知り、心配して家に電話したが、つながらなかったので、いつもより早めに仕事を切り上げ帰ってきたのだ。


 「あ、お父さん帰ってきたよ、おかえりー」

 「おぉ世帯主殿、お仕事ご苦労様イェイイェーイ」

 「世帯主殿って……誰か来てるの? お客さん?」


 サンチ様の声に少し驚いたお父さんは玄関の床を見回した。お客さんが部屋に上がっているとしたら、床にお客さんの靴があるはずだが見当たらない。裸足で来るわけないし、誰だろ? 不思議に思いながら階段を上りリビングのドアを開けた。

 そしたら、いきなり。


 「イェーイ世帯主殿、我は今日からサンチじゃ、よろしくっ! ハッハー」

 「なんなんだ? さっきから世帯主殿って、テレビの音か?」

 「違うの、お父さん。サンチ様は家の神様よ」

 「神様? 声は聞こえるけど、え? 見えないのは俺だけ?」


 停電を心配して帰ってきたお父さんだが、我が家が停電以上に大変なことになっている。しかし、妻も娘たちもいつも通りで変わった様子もない。


 「お、お母さんも見えているのか、どうやったら見えるようになるんだ?」

 「電気のスイッチの所にある黒いシミに触れてみるがよい。我の姿は見えるようにはならぬが、他の家電達の姿は見えるようになるイェイ」

 「他の家電達って、おいおいまだ何かいるのか」


 お父さんは、キョロキョロしながら恐る恐るタマシールのシミに触れてみた。

 そして、ゆっくりと振り向くと……レイちゃんら家電達が、フレンドリーな微笑みを浮かべお父さんを見つめていた。


 「わーっ! な、な、なんだコイツら! 妖怪? 着ぐるみ?」

 「大丈夫よお父さん、この子らはうちの家電達。いい子ばっかりだから」

 「そやそや、オレ達はいい子やで。仲良くしてや。オレらはぼちぼち本体に戻るわ。ほななー」


 ジャブ君は、お父さんのお尻をパスッと叩き、1階の洗面所へ降りて行き、レイちゃん達も自分の本体へと戻っていった。


 「あたっ、みんな吸い込まれていったぞ、扇風機は3階に……そうか、それで2階の扇風機と入れ替えたんだな。この前から何か様子がおかしいと思ってたらこんな事になってたのか」

 「そうなのよ、リーがおかしなシールを貼ったせいでこんな事になったみたいなの」

 「壊れたりしないのか? 冷蔵庫や洗濯機はともかくテレビは買ったとこだぞ」

 「大丈夫みたいよ。逆にサービスとか何かで新品みたいにピカピカになったのよ」

 「サービス? どこの? ヤスイ電気のアフターサービス?」


 「冷蔵庫はともかく?」

お父さんの言葉にレイちゃんはちょっと傷ついた。でもまあ、こうやって新品同様になったことやし、当分買い換えられることはないやろと、思った。


 「リーちゃん、もうこうなったら全部お母さん達に話した方がええんちゃうか?」

 「そうそう、冷蔵庫の言う通りよ。ちゃんと話してみなさい、危ない事しちゃダメよ」


 レイちゃんに言われ、リーちゃんはコクっとうなずいた。危ないことも結構あったけど、それを上手く怒られないように説明できるかな?


 「違うの、初めは電気釜さんを探すだけで、危なくなかったんだけど魔神オカマが出てきてからちょっとややこしくなって、空を飛んだり、その……ちょっとピラミッドとか壊しちゃったけど、もう捕まえて今は大丈夫よ」


 あーあ、やっぱりヘタクソ。


 「そう、もう大丈夫ならいいけど……ってピラミッド壊したあぁっ? ピラミッドってあのピラミッド? うそでしょ?」

 「お母さん、違うんです。ピラミッドはリーちゃんが壊したんじゃなくって、ちょっとした手違いで」

 「あーもう! テレビは黙ってて、リーに聞いてんだから。どうなの?」

 「う、うん、アレは掃除機のダイさんが魔法でオカマを吹っ飛ばしたからなの」

 「掃除機の魔法? 掃除機もなの? えっ? うちのじゃないって? よその家にもいるの?」

 「まあまあ、お父さんお母さん落ち着いて、ちょっとこれを見てください」


 五重丸は、危険なシーンをカットし編集したドキュメンタリー的な映像を見せながら、お父さんとお母さんに今までのことを説明しはじめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ