101、絶体絶命!
101、絶体絶命!
一瞬の出来事だった。
体に大きな穴が開き、地上に力なく横たわるレジャズちゃん。融合合体しているレイちゃん、ジャブ君、すずちゃんそれぞれの体は致命的なダメージを負ってしまった。
リーちゃんは急いで地上に戻り、レジャズに縋り付き泣いた。
「あぁぁ……こんな穴が開いて、レイちゃん! しっかりして、死んじゃダメ……よ」
「リーちゃんごめんなさい、ダイさんを助けるのに必死で、レジャズさん達にパーシャルの魔法をかけられなかった」
悔やんでも悔やみきれない。
しかし仮にトコちゃんがレジャズにパーシャルの魔法をかけていたとしたら、レジャズが受けたダメージは魔法を使った者、つまりトコちゃんが受けてしまうことになる。
そうなればトコちゃんも戦えなくなってしまい、ますますこちらが不利になっていた。
どっちにせよ、二人で戦ってもバタンキューになるのは時間の問題。それを察してか、サンヨーは泣き崩れているリーちゃんに声をかけた。
「リー、もういいだろ、いくぞ」
「……え? 行くってどこへ?」
「トコちゃんとダイさんが戦っているすきに、逃げるんだよ」
「逃げる……?」
「このまま戦っても、オレ達子供だしすぐやられちまうだろ? ヒエール様の所に行って何とかしてもらうんだよ。あんなでっかいのにオレ達だけで勝てるわけねえじゃん」
「は?」
(こいつまた……)
神社の時もそうだった。レイちゃんがやられるのを見た途端、マーキングベフで逃げようと言い出しやがったんだ。
しかも今回は、ダイさんとトコちゃんを時間稼ぎの道具みたいに使って、コソコソ逃げるだと?
サンヨーの言動にリーちゃんはブチ切れた。
「あんた、悔しくないの? レイちゃん達あんなにされて、こん畜生って思わないの!」
「だってよぉ、あれ……」
「本物もオレ達で楽勝~♪ とか言ってたくせに、なにがヒーローよ、バッカじゃない」
ブチ切れリーちゃんの剣幕に、サンヨーは何も言い返せず黙ったまま拳を握りしめた。
と、その時リーちゃんの後方で大きな爆発音がした。振り返って見ると、画面を酷く破壊された五重丸が横たわっていた。
「ギャハハッ、お前らもう絶体絶命だギャ、覚悟するギャ」
「リーちゃん! ここはダイさんと私が何とかするから、とにかく逃げて!」
「おう! ガキはすっこんでろってぇんだ、男ダイ様に任せときなっ」
トコちゃんとダイさんは融合合体し「ダイトコ」となり、玉砕覚悟で魔神オカマに立ち向かおうとしている。
サンヨーは放心状態で立ち竦んでいるリーちゃんの腕を引っ張り言った。
「ほら、早く行かないと、警察に言ってミサイルとかジェット機とかでやっつけてもらおう。オレ達だけじゃ無理だって!」
リーちゃんはキッとサンヨーを睨みその手を払いのけ、サンヨーのアイスブレードをシュッと抜き取った。
「お、おい何すんだよ」
「うるさい! 逃げたいならアンタらだけ逃げりゃいいでしょ! あたしがレイちゃんの仇を取ってやる、あんたもそれ貸してっ」
そう言ってソニーのディスクシールドを1個ふんだくり、いい感じの大きさに拡大しアイスブレードを構え、魔神オカマめがけぶっ飛んで行った。
「あっ! 無茶しやがって、待て待てーぃ」
ダイトコちゃんが慌ててその後を追う。上空の魔神オカマはそれを見て不敵な笑みを浮かべた。
「フン、細かいのが飛んで来やがったギャ。ホレホレ」
魔神オカマはリーちゃんめがけ水蒸気弾を数発撃ってきた。
「なによっこんなものっ」
リーちゃんは、ディスクシールドを頭上に構え、さらに加速。水蒸気弾を弾き返しオカマより十数メートル高いところまで飛び、アイスブレードを上段に構える。強い念を込められたアイスブレードは青白く光り輝く大太刀となった。
それを見て魔神オカマは両手を上空に向け、ビッグエクスプロージョンを撃つ構えをした。
「サイクロンブリザード!」
斜め後方からダイトコちゃんが、魔神オカマの両手めがけ攻撃を仕掛けた。レジャズと比較するとパワーは劣るが、魔神オカマをひるませるには十分だ。すかさずリーちゃんは急降下しながら斬りかかった。
「でぇいやーーっ!」
まさに一刀両断、アイスブレードは巨大な魔神オカマを真っ二つに切り裂いた。
「うおぉぉぉーっ」
「すっげー! 女子コワー」
地上に残っていたサンシャイン3とミーちゃんも歓声を上げ、戦いは終結したかのように思えた。しかし……
「ギャギャッ、何ともないギャこんなもの」
真っ二つににされたオカマの顔がニヤリとし、その断面は見る見るうちにくっつき、元通りになってしまった。
「サービスで教えてやる。もう知ってるかもしれんが、オレの体は数えきれない不法投棄家電のかたまりだギャ。斬っても元通りになれるし分身も作れるギャ。そんな攻撃、屁でもないギャ」
「ズルいよ、そんなの。じゃどうすりゃ倒せるのさ」
「ブッ、そんな事敵に聞くか普通、まあいいか、大大大サービスだギャ。お前らの狙い通り、オレを倒すには、神の御霊を奪い返せばいいギャ。強力な魔法攻撃でオレを……あーこれ以上は企業秘密だギャ」
魔神オカマよ、いつ起業したんだ? というツッコミは小学生だから出来なかったが、レジャズと五重丸を失った今、絶対勝ち目はない、と全員が思った。
いや、一人を省いては……
「できるもん」
「ギャ? 何を言っているギャ、人間のお前に魔法なぞ使える訳……」
「できるったら、できるんだよーっ! コノヤロ―!」
リーちゃんは叫びながら、アイスブレードとディスクシールドを放り投げ、五重丸からもらったB-CASカードを取り出した。
(絶対やってみたい魔法があるんだ……)
「ギャギャッ、何する気だギャ?」
リーちゃんは、両手の親指と人差し指でL字を作り、こめかみ辺りに当てた、これは……
「いでよっ地デジカっ、全員でてこーい!」




