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仮想世界

 ここはゲームの世界だ。

 わたしだけがそれを知っている。

 みんなは普通に起きて、学校や仕事に行ってご飯を食べている。

「おはよう」

「うん、おはよう」


 こんな会話も、所詮はプログラミングされた反応に過ぎない。恋も情熱も努力も友情も単なる文字と数字の羅列でしかない。

 それでもわたしは、恋をした。管理された世界の恋だ。

 仏様の掌で、遊ばれている孫悟空だとしても、わたしにも意地がある。


 今日からこの仮想世界は終わりだ。

 わたしは現実を生きる。わたしのなかの仮想世界を抱えながら。


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