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螺旋階段
わたしは螺旋階段を上っている。
延々と続く階段をグルグルグルグルと。
足が疲れても、休むことはできない。上り続ける理由もわからない。
「やっと屋上だ」
そう思っても実はそこは踊り場だったりする。
たまに人とすれ違う。
あいさつをしたり、世間話をするがいつの間にかそのひとはいなくなってしまう。そして、わたしは上り続けるのだ。
上のほうからたまに人が落ちてくる。たぶん、この苦行に耐えられなかったのだろう。
「やっほー」
奇声をあげて、晴れ晴れしい顔で。でも、彼らはそこで終わりではない。また、一から上り続けなくてはいけなくなるのだ。
この階段のさきにはたして、なにがあるのだろうか。
一番上で階段が切れているかもしれない。そうしたら、わたしはまた振り出しだ。
階段はたくさんある。どれが正解もわからない。
それでも、わたしは生き続けている。