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異世界
世間では「異世界もの」というものが流行しているらしい。
冴えない人間がひょんなことから死んでしまい、別の世界へと転生する。色んなパターンはあるけれど、これが基本的な話の流れだ。
今、アニメや漫画はこの手のストーリーであふれている。みんな、今の世界に限界を感じているらしい。だから、このストーリーがみんなを惹きつけるのだろう。時代の閉塞感。難しい顔をした専門家がよくいいそうな言葉だ。
でも、わたしから言わせれば、異世界なんてすぐそこに存在する。
そう思って一秒が経過した。
「はい、今からここは異世界だ」




