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命の価値

 <バン、ヒューン>


スナイパーが放った一発が、おれの顔を横切った。

「くそ」

おれは反射的に、スナイパーへの反撃をおこないやつを無力化する。


 いま、生きていることすら、運がよかっただけだ。

この3年間で、運が悪かったら100回は死んでいるだろう。平行して、走っていた仲間のトラックが地雷を踏んで爆発したのが3日前。よく冗談を言い合っていたサムは1年前に、おれの目の前で爆発に巻き込まれて、3日3晩苦しんで死んだ。


 この戦いに参加したのが、3年前。まだ、12歳の時だった。村に略奪にきたゲリラによって、家族は殺された。まるで、人間味のない死に方だった。あの渇いた音だけしか、もうおぼえていない。


 やつらはおれを拉致して、無理やり戦うように強要した。おれはそれを断らなかった。家族はもうなく、その日の食事にありつけることすら奇跡のような状態だ。


 ここでは、その食事という奇跡が降ってくるのだ。ある意味恵まれている。硝煙と砂の味が漂うここで、がむしゃらに生きた。いや、もしかするともう死んでいるのかもしれない。


 おれは、家族を殺したゲリラのように村々を略奪し、簡単にひとを物に変えた。

数秒後にはそこにある死。おれは生きているといえるのか。それすらもわからなかった。


 味気のない乾パンを食べている。水を飲む。突然、<ドーン>という爆音が聞こえた。


 そして、おれの意識は光に包まれた。

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