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第八幕 花宴

ギルドマスターに乱暴に揺すられて初めて起きた二人は、のんきな会話を繰り広げた。


ルルーシェに至っては軍人を初めて見る分、警戒をしていた。


「名は?」


「キルシェ。今はC+級ハンターだが、昨日までギルドマスターをしていた。こっちは相棒のルルーシェ」


「死体を発見した状況は?」


「村から出発して野宿をしたときに見つけた。外傷はなく、餓死した形跡も無かった。そのまま埋めた。場所は案内できるが、その周りに何か原因になりそうなものは無かった」


「では、場所を案内してもらおう。ついて来い」


軍人は総じて上から指示する態度をとる。


相手の都合は考えない。


従うということをしないのが、ルルーシェだ。


「キィ、留守番してて良い?お腹空いた」


「大人しく留守番させてくれないと思うぞ」


「なら堅パン食べて良い?」


「ああ」


緊張感のない会話と遠足に行くノリで堅パンを食べだしたルルーシェを見て軍人たちは苛立っていた。


町の入り口には軍人たちが乗って来た魔獣が待機していた。


狼のような風体で灰色の毛並みの大きな魔獣だ。


人が二人くらいは乗れそうだった。


魔獣同士は相手がどんな種族か会うだけで分かる。


「あっ」


「・・・ぐる」


「食べる?」


「ぐる」


人の言うことを聞くくらいの知能はあり、魔獣同士だと意思疎通も可能だ。


ハンターでも魔獣を見ると怯える者が多い中、ルルーシェもキルシェも物怖じしない。


機嫌良く分けてもらった堅パンを食べる魔獣にルルーシェはよじ登る。


自分たちが使役している魔獣を勝手に扱われて怒りを覚える軍人たちだが、魔獣が機嫌を損ねると面倒な存在であることも認識しているから黙認する。


軍人たちの葛藤が面白いように分かるキルシェはルルーシェの後ろに乗り込む。


「まっすぐだよ」


「ぐぅ」


返事をすると魔獣は優雅に走り出した。


人が振り落とされない速度を理解している魔獣は堅パンを齧りながら走る。


出遅れた軍人たちも魔獣たちに乗り込むが、釈然としない思いだけが残る。


先に着いたルルーシェたちは待つ間に堅パンを食べていた。


「がう」


「気に入った?」


「ぐる」


鞄から残りの堅パンを出して分ける。


魔獣も生きていくために食事は必要だが、毎日必要なわけではない。


さらに好みというものも存在するが知られていない。


「・・・案内ご苦労」


「なら、俺らは町に戻って良いですかね?」


「確認することがあるので、ギルドに必ず行先を告げておくように」


「ルル、戻るぞ」


「うん」


魔獣に乗って来た道を徒歩で帰ろうとすると、何かに掴まれた。


振り返るとキルシェとルルーシェを乗せた魔獣だった。


「・・・ぐぐる」


「堅パンのお礼に町まで乗せてくれるって」


「嬉しいけどな。軍人の方の視線が怖いから歩いて帰ろうな」


本当に怖がっているとは思えない口調でキルシェは諭す。


キルシェが言うなら仕方ないとルルーシェは魔獣の頭を撫でる。


そのまま歩き出すと、後ろから魔獣が付いて来た。


「・・・ルル」


「俺は何も言ってないよ」


「・・・ぐふ」


「勝手に付いて行くから気にするなって」


すっかり懐かれたようだ。


さらに言えば、魔獣の自発的行動を人は制御できない。


キルシェは付いて来ることを黙認した。


軍人も黙認するしかない。


黙って歩いて声が聞こえなくなるくらいの距離で魔獣が喋った。


「人とは難儀なことだな」


「・・・喋れるのか?」


「上位種のみ、な」


「なら何故、軍人たちと会話しないんだ?」


「命令出来る存在だと知られれば面倒だからのう。我らは協力することはできても御せぬ生き物だと思って欲しいからな」


軍人たちがいるところから見えなくなると、ルルーシェは魔獣に乗った。


自分だけ歩くのも時間の無駄と考え、キルシェも乗る。


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