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第七幕 紅葉賀

ハンターとしてこれからランクを上げようとしたときにマスターとして足止めを食った。

 

絶望しかなく、毎日が憂鬱で、機械的に業務を熟すだけだった。

 

古参のハンターは村を活気付かせたと立役者のように言うが、面倒だったから全て受け入れていただけだ。

 

これで人生が終わるのだと思っていたときに出会ったのは、生まれたばかりのルルーシェだ。

 

こちらの都合など関係なく泣き、昼も夜も関係なく泣き、気づけば朝を迎えていたこともあった。

 

長かった一日があっという間だった。

 

歩き始めるのも人の子より早い。

 

目を離したすきに村はずれにまで行っていたこともある。

 

碌に歩けないのに階段から落ちたこともある。

 

周りに助けられたが、忙しい毎日で絶望を感じる暇がなくなっていた。

 

「・・・・・・ルルが居てくれて良かったよ」

 

考え事をしているうちに空が明るくなっていた。

 

思いの外、眠気はやってこなかったらしい。

 

完全に明るくならなくてもルルーシェなら夜目が利く。

 

起こしにかかる。

 

「ルル、起きろ」

 

「交代の時間?」

 

「もう朝だ」

 

「えぇ」

 

「死体のこともあるし、急いでギルドに行くぞ」

 

「分かった。キィ、眠くない?」

 

「大丈夫だ。ギルドに着けば嫌でも足止めを食うからな。たっぷり寝られる」

 

火を完全に消して、荷物を持って歩き出す。

 

まだ誰も活動をしていないうちに町に着いた。

 

この時間でもギルドは開いている。

 

ギルドはたいてい町の中心にあるから探さなくてもすぐに見つかる。

 

「・・・いらっしゃい」

 

「朝早くにすまない。急ぎなんだ」

 

「朝早くって早すぎるでしょ。まだ夜が明けきってないじゃない」

 

「ハンターの死体が見つかった。身分証はこれだ」

 

「死体が、・・・詳しく話を聞かせてもらうことになるわね。そこで待っててちょうだい」

 

ハンターが死ぬことは珍しくないが、外傷もなく死ぬのは珍しかった。

 

待合のソファに座って寝る体勢になる。

 

座ったまま寝ることができるのはマスター共通のスキルと言える。

 

ルルーシェは遠慮なくキルシェの膝を枕にして寝る。

 

そんな二人を眺めながら本部への連絡や死んだハンターの身元照会など忙しく片付ける。

 

マスターの()()は寝ている二人に風よけの布をかける。

 

普通、ほかの人が近付けば起きるくらいに警戒心が強いはずのハンターが全く起きない。

 

「起きないのは問題じゃないかしら?」

 

独り言に返事をする者は誰もいない。

 

連絡をしてしまえば待つだけだ。

 

長年のマスター業務で培った座ったまま寝るスキルを遺憾なく発揮し寝る。

 

「寝不足はお肌に悪いのよ」

 

マスターは寝た。

 

風貌が男性で、口調が女性でもマスターとしての業務に支障がなければ問題はない。

 

人が本格的に活動するまでに時間はある。

 

静かに眠るだけの時間が過ぎた。

 

最初に異変に気付いたのはマスターだった。

 

「・・・騒がしいわね」

 

窓の方に視線を向けると帝国の紋章を下げた軍人がギルドに入ろうとしているところだった。

 

「ギルドマスター、ジョーバー。近隣森で発見された死体の件で詳細を報告せよ」

 

「アタシが発見したわけじゃないわ。そこで寝ているハンターが教えてくれたのよ」

 

「ハンターの名は?」

 

「知らないわ。聞く前に寝ちゃったし」

 

そう狭くないはずのギルドが手狭に感じるほどに人がいた。

 

ほとんどが軍人で区別が付かない。

 

「・・・ちょっと起きなさい」

 

「・・・・・・キィ、人がいっぱいいる」

 

「軍人だろ」


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