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第十五幕 蓬生

「理に近づくなら隣町にまず行く必要がある」

 

「途中、ギルドの依頼を受けながら行くか」

 

マスター時代の稼ぎはあるが旅がいつ終わるのか不明だ。

 

稼げるうちに稼ぎたかった。

 

幸いにしてジョーバーが依頼を用意しておいてくれた。

 

「まずは薬草摘みと魔獣の掃討だな」

 

「仕方あるまい。C級ハンターではそれが限度であろう」

 

「C+級ハンターだ」

 

ルルーシェは魔獣の掃討をかなりの頻度で繰り返しているからB++級ハンターだが実力だけならA級はかるく超えている。

 

ルルーシェが受ける方が稼げるがB級以上の依頼となると限られている。

 

今はキルシェのランクを上げることが先決だった。

 

ハンター同士でチームを組むときにはルールがある。

 

D級とE級とF級のハンターは条件がないが、C級は必ずB級がいるチームに所属することが決められている。

 

B級以上はまた条件がなくなる。

 

C級というランクがひとつの壁になっていて死亡率が高いのも特徴だ。

 

「薬草摘みとは難しいな。この時期に草木は育たんぞ」

 

「他のハンターが摘んだあとだな」

 

「森の奥にならあるが遠回りになるな」

 

「仕方ないな」

 

ロディは持ち前の鼻を活かして薬草を探す。

 

その姿は犬そのものだが、犬と同列に扱うと怒るので黙っておく。

 

ついでに漂っている魔獣を潰して進む。

 

魔獣は死体が残る型と残らない型があり、後者は核というものだけになる。

 

これをギルドに持っていくと討伐したと認定される。

 

死体が残った場合も心臓のあたりにあるので捌いて取り出す。

 

これが面倒な作業であるから敬遠されている。

 

「っうわぁ」

 

「あまり奥に行くと危ないぞ」

 

「そういうことは早く言え」

 

大型の魔獣に遭遇し攻撃されてから忠告するロディは楽しんでいた。

 

戦闘となればロディは強い。

 

ルルーシェも強い。

 

だから負けることは相手が少数ならあり得ない。

 

多勢に無勢となっても逃げること一点なら可能だ。

 

キルシェのリハビリを兼ねての旅だ。

 

「昔なら気づいたのによ」

 

「現役から退いて二十年も経つのでは仕方あるまい。避けただけ上出来だ」

 

「せいやぁ・・・・・・いてててて」

 

「年には勝てぬの」

 

剣で切って核を回収することはできた。

 

だが腰を痛めた。

 

「さて、町に向かうか」

 

「その前に森を出ないか?魔獣とこれ以上戦うのはつらいのだが」

 

「魔獣が出たらルルと我で対処するゆえ問題ない。このまま進むと早く着くぞ」

 

キルシェの提案は一蹴されて森を進む。

 

年齢からして戦闘力が上がる可能性は低い。

 

それならランクだけ上げて実働はルルーシェとロディで賄ってしまおうという魂胆だ。

 

理の近くの森に入るには最低でもA++級以上必要なためランクを上げるのが急務ということになる。

 

「そちらに行ったぞ」

 

「うん」

 

「手応えが無い」

 

「仕方ないよ」

 

たった一撃で沈められていく魔獣を見て罪悪感を抱くキルシェだった。

 

核を拾い集めて袋に入れる作業を黙々と続ける。

 

群れ一つ分くらいは殲滅している。

 

「これくらいでよかろう」

 

「準備運動にもならないね」

 

「もう少し中心部に行けば大物もいる」

 

核ひとつを手にするまでに時にはパーティが滅びることもある。

 

道端の石を集めるような気楽さで手に入るものでは決してない。

 

勿体無いから死体からも核を取り出すが数が多いから飽きてきていた。


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