かつては世界の誰もが
少年は土を掴んだ 口には泥が入り 頬には傷が
砂利で手首は傷だらけだ それでも彼はもう一度
立ち上がる
少年は悪魔呼ばわりされた 口をひたすら噤み 目は冷たくなって
悪口と自己否定でボロボロだ それでも彼はもう一度
立ち上がる
体を守るため 命を守るため 魂と呼ばれるものを守るため
少年は必死で戦った 学校 バイト ワルとの駆け引きまで
想い出のバッグの中には 憎しみと怒りが入っているらしい
幸せとか愛情とか知らずに育った それでも彼はいつだって
負けはしない
憐憫の情なんて持たない 同情心だって 哀れみだって
だからか少年は孤独なままだ それでも彼はいつだって
負けはしない
雨降りの夜には泣いていたいけど 涙はとうに枯れてしまった
目を拭えば 自分が割ってしまった心の欠片が零れるだけだ
夜明けの寒さは凍えそうだけど 火を焚くつもりも彼にはない
息を吐き出せば 自分が傷つけ傷つけられた人の顔が蘇るだけだ
だから 彼は優しさを忘れない思い出せる方法を探し出した
世界は輝きに満ちていて 次のステージへ君を運ぶ
誰かが口にした そんな言葉を信じて 少年は歩き出す
はなはだ心もとない旗印だけど 少年は確信する
あの旗の向こうには 天国が待っていると
そう妄信してでも 彼は進むしかなかった
そう かつては世界の誰もがそうしたように
迷い込んだ迷路は 思いのほか込み入っていて 彼を苦しめた
彼はそこに答えがあると信じていたのだけれど
どうやらないらしい
忍び込んだ宝物殿は 思いのほかカラクリだらけで 彼を苦しめた
彼はそこにひと財宝 あると信じていたのだけれど
どうやらないらしい
少年は呟く「それでも構わないさ まだあきらめない」
土砂降りの朝には体を温めたいけど 雨に濡れるままにまかせた
雨粒を掌で受けとめれば これまで泣いて泣かせた想い出が蘇るだけだ
輝く月は彼を責め立てるけど 彼はそいつをじっと見つめるだけだ
夜空を仰ぎ見れば 裏切り裏切られた自分の地図が蘇るだけだ
だから 彼はぬくもりを忘れない思い出せる方法を探し出した
世界は光が溢れていて 終わりないファンタジーへ君を運ぶ
誰かが口にした そんな言葉を信じて 少年は船をこぎ出す
船はボロボロではなはだ心もとないけれど 少年は確信する
あの水平線の向こうには 楽園が広がっていると
そう盲目になってでも 少年は舵を取るしかなかった
そう かつては世界の誰もがそうしたように
大逆転の人生を信じて ここまで進んできたけれど
神様の用意した地球には そんなものはないらしい
風は吹き抜けて 雨嵐は激しくなるばかりだけれど
泥まみれになった少年の顔には 笑みがこぼれている
そう夢を打ち砕かれても 少年は希望を取る
そして彼は それが正しいと信じている
そう かつては世界の誰もが
絶望なんて知らずに 悲観なんて知らずに 失望なんて知らずに
世界の誰もが そうしたように