修学旅行篇 前編(1)
彼と初めて会ったのはいつだったろう。
車の窓ガラス越しの景色を見ながらふとそんな事を思った。
それは友人の優奈から送られてきた一通のメールだった。
そこには、今まで音信不通だった彼が飛行機から降りてくる写真と、これからこっちに戻る便に乗った事が書かれていた。
いつから彼の事が好きになったんだろう。
彼と初めて出会ったのは確か小学校6年生の頃だ。今みたい人とは馴染まずに一人でいる時間の方が多かった様な気がする。
そんな彼を当時私は今みたいに好きだと思っていなかった。胸が焼ける様な苦しみと同時にこれが恋だと気がついたのはつい最近。言っては彼と連絡が取れなくなってから。
苦しかった。あの人がもう二度戻ってこないんじゃないかと思ってしまった。
だから、あのメールを見たときはいてもたってもいられずに考えるよりも体が動いていたんだと思う。
急いでタクシーを拾って空港に向かった。今のまま進めばきっと間に合う。間に合うはず。
タクシーは空港止まる。小銭をもらう時間ですらじれったくて。私はそのままお札を数枚置いて空港に駆け出した。
空港には、いろんな人がいる。国や人種もいろいろだけどでもここは日本。アジア系の顔つきの人が多い。
「こんなに人が多かったら探せないよ。」
弱気になりながらも人を掻き分けながら探す。ここに彼がいるんだ。弱気になっちゃだめ!
自分を鼓舞するかのように人の波に潜って行く。めざすは飛行機から降りて出てくるターミナル。
人ごみは想像以上にすごく進んで進んでも前に進めない。これじゃあ遅れちゃう。
目の前から一人の銀髪の美女が目に入ったのはちょうどその時だった。私はモデルみたいなスレンダーな体型とその宝石のような美貌に目を奪われた。
どうやら回りの人も同じようで彼女に目がいった。彼女の様な美貌とスタイルを併せ持った人を見れば多分10人に9人人は振り向いて確認するだろう。
おかげで回りの足が止まり、無事に飛行機から降りてくる人のところに来れた。そして数分待つと、目の前からケースを持った彼が歩いている。
私は彼の事が好きだ。お願いだから私に気づいて私を見て!
そう願いながら声を出す。
「草薙くん!」
思いが届いたのか、彼は私の声に気づいてこっちに手を振る。
「おお!レイレイ!久しぶり。どうした。誰かの迎えか?」
違うよ、私はあなたを迎えに来たんだよ。あなたは少しも私に興味ないかもしれない。だけど…
私は…私、森口 レイは草薙 楽の事が好きなんだ。