あの時の話
6日目と7日目の間の話。
あの人間は仕事に行くために家に出て行った後、あいつが俺の前に座って話しだした。
『ねえ、あの態度はないんじゃない?』
あの態度はおそらく、あの人間についてだろう。
なぜあんな態度をとったのかわからない。
だが、誠と名乗る人間とあの人間が話していることを思い出すだけでイライラが止まらない。
なぜ、この思いが生まれるのかわからない。
そのため、あのような態度を取ってしまったのだろう。
プライドがそれを認めようとしないが。
『……知るか。』
『もうっ!そんなんだからマナを悲しませるんだよ!』
わかってる、あの人間が顔には出さないが気にしていることぐらい。
一週間一緒にいてあの人間は悪意のない人間だということは十分に分かった。
『もう、君が人間を恨んでいるのは知ってるよ。
僕だって色んなことをされたんだから。』
『…、…。』
悲しそうに眉を下げた。
そんな顔をしないでくれ。そんな顔をさせたいわけじゃないんだ。
『……少し、だけ、素直になる…。』
『!』
こいつはぱあ、と花が咲いたような笑みを浮かべる。
調子が狂って仕方がない、と苦笑いを一つ。
その瞬間ポンッと音を立てる。
『これは…、』
どうやらヒトガタになったようだった。
『これでマナも喜ぶよ!』
こいつは嬉しそうに話す。
ま、まあそれならいいんだがな。
茉奈が帰ってくる少し前の話であった。