表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夏生詩集

ボクサー

作者: 夏生

一瞬で決まる

ささいなゆらぎで

一撃を食らう

瞬きできぬ、下がれぬ


攻めて、攻めて

己の拳が相手の頬に

食い込むまで

相手の拳を避けて、かわして


たったひとつの栄光のために

恐れを捨て、ひたすらに

拳をぶつけてゆく



負けるわけがない

負けてたまるか

勝つことがすべて

勝つことで生きられる


勝つために諦めた生活

勝つために捨てたこと


自分をひたすらに信じるのだ

震えを止めるために

怖いと泣き叫びたい衝動から

逃げるために



(崩れ落ちろ!)


声援に混ざって聞こえた声は

地の底から這い上がってきた


(お前がリングの上に崩れ落ちる様を

見たいのだ)


知っている


強い奴は嫌われる

強い奴が負ける様を期待している

声援の中に、熱い視線の中に

感じている

初めて勝った日から


右ストレートを相手の頬に炸裂させた

一瞬の歓喜

一瞬の舌打ち


負けられない、

負けてたまるか


俺は強い、俺は強い!


いつか崩れ落ち

リングに上がれなくなる

その時まで叫び続けるのだ


俺が俺でなくなるその日まで















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ボクシングを見てこんな詩を生み出せる才能が羨ましい!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ