表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

仲直り パート2。


いつもの待ち合わせ場所に居ない。

でも、これは予測済み。

多分…アイツはまだ学校に居る。しかも…ドコに居るかも分かる…。



私は校舎裏へ行った。

すると、案の定キヨが座り込んでいた。


「はい」

キヨの前にさっき自販機で買ったレモンティーの缶をさしだす。


ビックリしたキヨはいきなり現れた腕の主を見る。

「…伊夜か…サンキュ」

素直に受けとるキヨ。

「おごり。…120円貰うのもなんだし…」

「ノド乾いてた。…でも…俺的にはホットが良かったな…」

「売り切れ。文句あるなら返しなさい」

「いや。飲むよ」

少し微笑んだキヨ。


ガチャッ、プシュッ…


缶をあける私達。

北風がふく。…もうすぐ冬かな…折角、秋になったばかりなのに…

やはりホットが良かったな…と思いながらボーッとしていると、キヨが話はじめた。


「…ココさ、信子と初めて会ったトコロなんだ…なんか懐かしい…」

「知ってる。…信ちゃんから聞いたよ」

「…そっか…」


また沈黙…

相変わらず北風はピューピュー吹く。


今度は私が話はじめた。

「…キヨにとって…信ちゃんはどんな存在?」

「…恋人でないことは確か。でも友達ってのも違う…」

「…信ちゃんの事…好き…?」

「…分からない」

頭を抱えるように顔を伏せるキヨ。

「そういうことを真剣に考えたことが無かった…でも…信子には好きっていう感情は無かったと思う…」

「…そっか…」


また沈黙。



「ならさ…」

私がまた言う。

「私は?恋愛感情、ある?」

一番聞きたいこと。


するとキヨは、ある意味予想どおりの答えを言った。

「…わかんねぇ…」

…だろうと思ったよ。

「なんで分からないの?」

「うーん…うまく言えないけど…」

キヨは困ったように頭をかきながら言う。

「なんか伊夜って、今まで会った女に居ないタイプなんだよ。それに、今まで真面目に好きとか考えた事無いし…恋愛感情ってのが、どういうものか分からない…」


「じゃあ…私と別れたい?まだ1週間過ぎてないけど…」

「いや…それは違うって分かる。多分、ここで別れたらこの先ずっと後悔する…」

「…そっか…良かった…」

「…はっきりしないヤツで悪いな…」

「なんとなく分かってたから良いよ。キヨって、意外と手際悪そう」

「…そうだな…カッコ悪いな…。伊夜は…信子の事…気にしてるのか?」

「さあ…。ビックリはしたけど、それほどじゃないかも」

「そっか…」


日が落ちるのが早い。辺りはもう薄暗い。

「ねぇ、キヨ…」

「うん?」

「あたしたちさ…」

立ち上がる私。

「これでカップルって言えると思う?恋してる訳?」

「さあな…」

キヨも立ち上がる。

「良いんじゃねぇ?俺らみたいなのも、きっと世の中には必要だ」

「…そういうもん?」

キヨを見上げる私。

「おそらく」

ニカッと笑うキヨ。


ま、いっか。こんなカップルでも。

私はキヨの事好きだもん。


うう〜ん…と大きくのびをするキヨ。

小さなあくびが出た私。

「伊夜、帰るか?」

「うん。帰る」


カップルなのか何なのか、結局曖昧に終ったけど…こんなのもアリかな…と思った、秋の放課後。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ