目標の1週間。
次の日から、私たちは私の作ったお弁当を一緒に食べる様になった。そうする内に、自然と一緒にいる時間が増えてきた。
朝登校してきたとき、休み時間、昼ごはん、放課後……。
そして、気付けば約束の1週間が迫ってきた。今のところ……かなり順調だと思う。見る限りでは、心変わりしそうな気配は無い。
キヨはプレイボーイではなくなった!1週間ごとに女の人を取っ替える軽い男なんかじゃないっ!
そしていよいよ、ちょうど1週間の朝を迎えた。私は最初のように早起きしてちょっぴり豪華なお弁当を作り、学校へ向かった。
「おっはよ!佐織、信ちゃん!」
私は元気よく声をかける。……ところが、二人は深刻そうな顔で何かを話している。
「どうしたの……?二人とも」
私は二人の後ろから声をかける。
「わっ!伊夜っ!?」
「脅かさないでよ。おはよう、いよっち」
二人はかなり驚いたみたいだ。
「何……?何かあった?」
「気にしないで、こっちの話」
なんで?……佐織は必死で何かを隠している……?
「ったく、いよっちは気にしなくて良いの!」
信子も様子がおかしい……。なぜ?
その時、先生がやって来て話はそこまでになった。私は気になったものの、深くは追求しなかった。
そして、待ちに待った昼休みがやって来た。私は弁当が2つ入ったカバンを手に、校舎裏へ行こうとした。
「いよっち、これからお弁当?……キヨと?」
確かめるように言う信子。
「そうだよっ!何てったって、今日は付き合って1週間目だし!」
私は速く行きたくて、足踏みしながら言う。
「そっか……行ってらっしゃい」
佐織は苦笑いな顔で言う。……もう少し明るくても良いんじゃない?
私は少し早く校舎裏に着いた。キヨを待つ事にした。
……遅いなぁ。
あと15分ぐらいで昼休みは終ってしまう。
キーン、コーン……
チャイムが鳴った。……予鈴だ。
とうとうキヨは来なかった。
沈んだ私は重たい足取りで教室へ向かった。……なぜキヨは来なかったんだろう……。
教室へ帰った私の表情を見ても、佐織と信子の態度は相変わらずで、同情や慰めは無かった。
みんなおかしいよ。……隠し事ばっかり……。
午後の授業は心、ここにあらずであっという間に放課後になった。
私は一人で、いつもの待ち合わせ場所にいた。
……なんで?キヨ。最近はうっとおしいぐらい一緒に居たのに……。顔見れなきゃ寂しいじゃん。
ふと携帯を見た。
昨日は来ていた、キヨからのメール。
……キヨの声が聞きたいな。
電話しちゃおう……。
私は携帯のアドレス帳からキヨの電話番号を呼び出し、発信ボタンを押した。
すると丁度タイミング良く、少し遠くの方から携帯の着信音が聞こえた。
……キヨかもしれない!
私は音のする方へ行ってみることにした。
この辺から聞こえたハズ……着信音はキヨのだった。
その時、女の人の声がした。
「ねぇ、さっき携帯鳴ってたよ。出なくて良かったの?」
すると聞き慣れた声がした。
「いいのいいの。それよりさ、今日ウチ来る?」
……キヨ?
「行く行く。親、居ないでしょ?」
「モチ」
……楽しそうな笑い声。間違いない。あの女の人と話してるのはキヨだ。
「あ、でもさ、彼女いるんじゃない?噂で聞いたけど」
女の人がキヨに尋ねた。
「居るよ。でも、オレはプレイボーイだから」
悪びれもせず、あっさりキヨが言う。
「あはは、彼女かわいそぉ」
女の人は笑いながら言う。
そしてキヨたちは出口へ向かおうとこっちへやって来た。
私は隠れる気力さえなかった。
キヨは私を見つける。……氷ついたような顔のキヨ。
後ろで女の人が
「誰、この子?」
と尋ねるが全く反応しない。
私は、この世から消えてしまいたかった。
プレイボーイはやっぱりプレイボーイだったのだ。