f-6 滅びの声
f-6 滅びの声
闇黒を独り歩く者。
それは御面を被った謎の存在。藍園逢離を放置し、片手に電話を持ったまま歩いていた。
そして携帯電話から着信音が響き、震え出すと同時にボタンを押した。
「早いね」
「オマエガイケト言ッテオキナガラ、スグニ戻ッテコイトハ……ナニガシタイ?」
御面にかかって来た電話の相手は皇凰真だった。御面は凰真の声を聞くなり苦言を漏らすと、凰真は盛大に笑った。
「これで最後なんだ、最後ぐらいパーっと愉しもうよ、ねぇ?」
「オレハオレノ目的ヲ果タセルナラソレデイイ」
「別にキミの好きにすればいいさ。でもね、もうすぐだ、もうすぐなんだよ……好きにすれば、なんて言ったけれどキミの目的はボクの目的が果たされるまでは絶対に手を出させないよ。もしも、ボクの楽しみを奪おうなんてことをしてみろ。キミを喰い殺すよ?」
「解ッテイル。ソレガ約束ダッタ、ダカラオマエノ目的トヤラヲ果タスマデハ、オレハオマエノ駒デイテヤル」
「うんうん、物分かりが良いね素晴らしいね……だったら、今度は時任雪哉の連れ……面倒だから殺して貰おうかな」
御面が立ち止まる。
「ナラ、サッキ殺シテオケバヨカッタナ」
「いや、いいさ。一方的なんてつまらないし、とりあえず正々堂々勝負はしよう」
「オマエガ言ウカ?」
「ははっ、細かいことは気にしないでよ」
最後の決着をつけるために、舞台は用意されている。あとは揃うだけだ……全てが。
「そうそう……あの男――じゃないか、女? ああ、もうどっちでもいいや。アレも、もうすぐ動けるみたいだから合流してくれる?」
「……オレハスキニ動クゾ?」
「いいよいいよ。邪魔なのだけ消してくれたらそれでいい。ボクは欲しいモノが手に入ればそれでいい。その後、好きなだけ君の復讐を果たしてくれればいいよ」
会話の内容は凰真と御面にしかわからない。
だが、その意味は近い内にわかることだ。
そう、終わりが確実に近付いている。
雪哉たちは最後の舞台へと進んでいる。
そして凰真はそこにいる。取り戻すか、奪い取られるか……その結末はまだ、誰にもわからない。