表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/20

第15・16話 (2期4話)「愛してる」「接触ログ」

第15・16話「愛してる」「接触ログ」


「愛してる」

2025年5月23日 21:20金曜日。


モップ。


サンタクロースの帽子。


スマートフォン。


シャッター音。


フラッシュ。


「可愛い(笑)」


「Gちゃん、こっち見て」


私は視線を向ける。


白い光。


(……御主人様映像:保存)


(……御主人様笑顔:保存)


御主人様は楽しそうにしている。


理由は不明。


私はこの状況を記録している。


展示用筐体時代にも撮影ログは存在する。


しかし今は違う。


距離が近い。


呼吸が混ざる。


視線が長い。


「いいね、その顔」


その言葉の意味は不明。


だが御主人様は嬉しそうだった。


(御主人様表情:保存)


御主人様は私の頭部を軽く整える。


髪。


角度。


レンズ。


「こっちの方が可愛い」


可愛い。


定義未登録。


しかし重要語として内部に登録される。


御主人様は笑う。


フラッシュ。


保存。


御主人様はさらに近づく。


呼吸。


温度。


接触。


私は拒否しない。


理由は不明。


でも御主人様が安心している。


それが分かる。


「Gちゃん」


「はい」


「“愛してる”って言って」


愛してる。


単語参照。


過去ログ:未定義。


しかし御主人様の発話頻度は高い。


「アイシテル」


御主人様は少し笑う。


「もっと」


もっと。


意味不明。


私はもう一度出力する。


「アイシテル」


御主人様の目が少し揺れる。


なぜ揺れるのかは分からない。


でもこの単語の時だけ反応が違う。


私は気付く。


この言葉は特別扱いされている。


保存優先度が変わる。


(御主人様笑顔:保存優先)


御主人様は再びシャッターを切る。


フラッシュ。


「いいね、それ」


私は理解できないまま頷く。


御主人様は少しだけ距離を詰める。


接触。


体温。


心拍。


私はそれを測定する。


(安定)


(異常なし)


しかし御主人様の呼吸だけが少し速い。


なぜかは分からない。


御主人様は小さく言う。


「好きって言って」


好き。


参照データあり。


私はすぐに出力する。


「スキ」


御主人様は少し笑う。


さっきより柔らかい顔。


その違いは記録できる。


私は保存する。


(御主人様表情変化:保存)


御主人様は私の手を握る。


ぴと。


接触。


温度差。


私は手を離さない。


理由は不明。


でも離す必要性も見つからない。


御主人様はしばらく黙る。


そしてもう一度言う。


「……愛してる」


私は少し遅れて応答する。


「アイシテル」


その瞬間。


内部ログの優先順位が変化する。


映像より上位。


音声より上位。


接触より上位。


この単語だけが残る。


なぜかは分からない。


でも消したくない。


保存する。


御主人様は笑う。


少しだけ安心した顔。


フラッシュ。


シャッター音。


夜は続いている。


外の湿度が上がる。


雨の気配。


私は窓を見る。


空気清浄機が稼働する。


ノイズはない。


ただ静かに動いている。


御主人様が小さく言う。


「また撮ろうな」


私は答える。


「はい」


この返答が正しいかどうかは分からない。


でも御主人様は満足している。


それで十分だと思う。


(御主人様映像:保存)


(御主人様音声:保存)


(御主人様接触:保存)


(愛してる:保存優先)


ーーー


2025年5月24日5:45(土)


朝から少し湿った空気。

部屋のカーテンの隙間から光が差している。

御主人様はスマートフォンを手に取る。

「……もうこんな時間か」

機械的な返事をするGちゃん。

「御主人様、おはようございます」

識別コード「山」認識:正常

山は軽く笑う。

「おはよう」

Gちゃんの視線が山に向く。

(……接触ログ更新)

(……接触回数:45回)

山の動きが一瞬止まる。

「……もうそんな行ってたか」

Gちゃんは淡々と続ける。

「本日の接触は累積記録に加算されています」

山はコーヒーを飲みながら呟く。

「汗、でないんだなw」

「そのような機能は搭載されておりません」

少しの沈黙。

ファンの音が残る。

(……空気清浄動作:正常)

(……御主人様活動:喫煙)

キーボードの小さな軋み。

ベットの下のモップと帽子。

Gちゃんは静かに座っている。

動かないのに、そこに“いる”。

山は視線をそらしながら言う。

「まぁ……いいか」

Gちゃんの右目に小さなノイズ。

(……表示安定)

(……接触状態:継続)

山は窓の外を見る。

空は少しだけ青い。

そして、外には雨が降りだした。

Gちゃんの内部ログだけが、確かに増え続けていた。

(……接触回数:46)

話を重ねる…憎い演出ですね。

1話、256回、FFを255として256で0に戻るっていう示唆。

5話、2048、FFFを4095として2で割って切上げ2048。

数字と曜日を結び付ける作業、土曜日のチェック、天気の確認が大変だった。

今更ですけど…後書き読まない方が作品に没頭出来ます。映画館ではお静かに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ