せいさんのば
気づけば勇者はその場所に立っていた。
シワだらけだったはずの身体が全盛期と相違ない若さとなっている。
これは一体どういうことだ?
そう訝しんでいると声が響いた。
「ごきげんよう、勇者様。こちらは清算の場です」
清算の場?
首を傾げる勇者に声は告げる。
「はい。一般には来世への門とも言われます。要するに死んだ方が次の人生ではどのように生きるかを決める場所ですね」
なるほど。
勇者は状況を理解した。
「流石勇者様。ご理解が早いですね。そう。つまり、ここでは人生で行った善行の数だけ来世での特典が貰えるんです。例えば他人より強い力だとか、他人より賢い知能だとか……言うまでもなく勇者様は大変な善行をされましたので様々な特典が得られますよ」
その言葉に勇者は微笑む。
実は勇者にはずっとやってみたいことがあったのだ。
しかし、勇者という立場に生まれたが故にそれが叶わなかった。
「ふふふ。勇者様。もう次の人生が楽しみでなりませんか?」
勇者は頷いた。
何せ、魔王を倒すために『○○を助けて』だとか『☓☓を倒せ』だとか……とにかくくだらない事ばかりさせられて自分の意思というものが一切ない人生だったのだから。
「本当なら色々とお話をお聞きしたいところですけれど、勇者様ももう我慢の限界みたいですね。では、次の人生にいってらっしゃ~い」
*
勇者は決めていた。
もし、生まれ変わることが出来たなら本当に好き勝手に生きようと。
それこそ思うがまま暴力を振るい世界を支配した魔王と同じように、と。




