6 騎士様に会う為に
18:10更新分2話目です
異世界2日目おはようございます!
私、詩子。異世界にいるの!
と言うわけで、残念ながら元の世界には戻っていなかった。
昨日と同じく真っ白でツルツルなお布団の上で目が覚めた。
事前に目が覚めたらベルを鳴らしてくれと言われていたので、ベッドサイドの可愛らしいベルを鳴らす。
こんな小さなベルで聞こえるのかしら?と思ったがベルはリーーーーンと澄んだ高い音色を奏でるどこかに飛んでいったように聞こえた。
「魔法アイテムかな?」
もう大抵のことには驚かなくなったので、気にせず身支度を整える。
着替えをどうするか逡巡した後、コンソールに置いてあった制服とルーズソックスを履いてみた。
コンコンッ
「詩子様、おはようございます。お目覚めでいらっしゃいますか?」
クラリベールさんがやってきたので、自分でドアを開けて招き入れる。
「クラリベールさん、おはよー。とりあえず着替えだけしちゃった。」
………
「クラリベールさん?」
………
クラリベールさん綺麗に体の前で両手を合わせた姿勢のまま、固まってしまった。
「う、う、う、詩子様!なんですかそのお姿は!!違う世界の方とは言え、あまりにも!!あまりにもっっ!!破廉恥ではありませんか!!」
冷静沈着なクラリベールさんが顔お真っ赤にして怒り出してしまった。破廉恥とな!
「えー!制服は女子高生の正装だし、スカートも膝上3cmでギャルとしてはロングスカートなみだよ??」
「いけません!!!!婦女子がそのようにあられも無く御御足をさらすなんて!そちらの国でどうであれ、今はこの国の常識に従っていただきます!」
あっという間にこちらの薄紅色のAラインドレスに着替えさせられてしまった。
大きめに開いた襟に沿ってレースがつけられ胸元で長いリボンが結ばれている。ウエストから足首までふわりと広がるスカートにも縦に何箇所かレースが付けられていて可愛らしいデザインだ。
「えー、これは可愛すぎないかなぁ。メイクは自分でしてもいいですか?」
こんなにレースがついていて可愛らしい色のドレスなんて、七五三以来だと思う。
お姫様になりたい!なんて言ってた頃なら大喜びできただろうが、今の私はミニスカ上等、目力マシマシのギャルになりたいのだ。
「詩子様は十分お可愛らしいですし、そこまで濃いお化粧は必要ないのではないですか?」
私は左手をずいっと目の前に持ち上げる、人差し指をぴっと上に向けた。
「ちっちっちっ!わかってないなぁクラリベールさんは!デコったネイルは未来を切り開く魔法の杖だし、つけまつ毛は困難を吹き飛ばす風神様の扇なんだよ?!」
何言ってるかわからないって?私もだよ!でも、メイクだけは譲れない。だって、私のアイデンティティどこいっちゃうのよ。ただの平凡高校生、今は所属してないから平凡小娘になっちゃうでしょー!
せめて平凡女子高生でありたかったぜ。ちっ。
「何をおっしゃっているかわかりませんが、私の気持ちを押し付けるつもりはございませんよ。ドレスは詩子様を守る上でも必要なのでお願いしたまでです。」
あ、メイクはオッケーなのね。
お言葉に甘えて、気合を入れる為にバッチリ化粧していく。昨日メソメソしてたのはメイクが足りなかったからだよ、きっと!
メイクは女子の戦闘服。ギャルなら尚更。
まだ見ぬ命の恩人ルートランスさんとの面会に向けて完全武装してやる!
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