1 プロローグ
初めて小説を投稿します。
よろしくお願いします!
ここはとある異世界
いつもと変わらぬ昼下がり、仕事の合間に昼休憩をもらった一之瀬詩子は店の横にある休憩スペースでお手製のサンドイッチを食べていた。
ここ数日急に暖かくなって、日向は少し暑いくらいだ。お隣のチーズ屋さんの奥さんにもらった冷たいミルクが仕事で疲れた喉を癒してくれる。
ある日突然、異世界にきて、私もなかなか馴染んできたなぁと思う。
最初こそ戸惑ったが、幸運にも良い出会いがあり、のんびり楽しく暮らしている。
「詩子さまーーー!!」
と、そこに私のお世話をしてくれている侍女のリタが真っ青な顔をして走ってきた
「リタ、そんなに走ってどうしたの?クラリベールさんに怒られちゃうよ?」
私の前まで来たリタは、酸欠になってしまったのではと思うほど苦しそうな様子で途切れ途切れに言葉を紡ぐ。汗がポタポタと垂れて、目に入るんじゃないかと心配になる。
「ル…ルート…ランス様…が……し…死罪に…処され…る…と……」
「…え…?」
思いがけない知らせに、リタの額の汗を拭っていた手が止まる
リタは今なんて言った?
ルートランスが死罪に処される?そんなことがありえるのだろうか?
侯爵家の次男であり、騎士団でも戦果をあげ、それなりの地位にいるルートランス・グライユルが死罪になるということは、かなり重い罪をおかしたということだ
それこそありえない。ルートランス・グライユルは騎士道精神を重んじ、貴族としての矜持も高い
ーーーーいや、ちがう
本当に言いたいのはそんなことじゃない
彼が死罪などになるはずがないのは、彼が心の美しい、誰よりも優しい人だから。
罪をおかせるはずがないのだ。
彼は突然現れた私を保護し、居場所を与えてくれた。いつだって優しく手を差し伸べてくれるその温かい手と笑顔をが浮かんでくる。
絶望的な知らせにその場にへたり込みそうになる。
でも、私の憧れるギャルはこんな簡単に絶望しない!大切な人を守るため笑って、かっこよく全力を尽くすのがギャルでしょっ!!
絶望に俯きそうになる顔を無理矢理にあげて、震える体を大きな声で誤魔化す。
「ルト君を死罪になんか、私がさせないっ!!
どんなことがあっても絶対助けて見せる!!!」
自分自身に誓いを立てるように握りしめた手をグッと胸にあて、詩子は走り出した。
大切な人を救うためにーーーー
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これは、かっこいいギャルを目指す私が、異世界で騎士様を救うお話
その物語を語るために、話は私が異世界にやって来た1年前のあの日に遡る
大切な人を救うために走り出した詩子。
次回からは1年前のお話です。
2話同時に投稿します。