表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異教徒の巡礼

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

全てを受け入れてくれる。

をテーマにしていた筈なのに、真逆になりました。

都内最大規模と謳われる教会に彼女は訪れた。天井に描かれた花の螺旋や、線の細い色硝子が特徴のモダンな教会だった。彼女はその内部を落ち着きなく歩き回り、それからちょこんと長椅子に腰掛けた。ため息一つ。神聖な空気に溶けていく。

「ねぇ書生の貴方、教会はお好き?」

彼女は隣に座る僕にそう問い掛けた。僕はニヤッと口角を上げて、静かに彼女の顔を覗き込む。

「勿論。ステンドグラスは綺麗だし、何より静かだ。考え事をするのに相応しい場所だよ」

傍から見れば滑稽かな? 前髪で目元を隠した上に、黒眼鏡を付けている。何処で物を見るんだ。本来の美しさが分からないだろうと指摘されるかも知れない。

けれども彼女は仄暗い目をして、端の方を指さした。

「向こうにもあるから良ければ」

彼女はそう言って、その場を後にした。長い黒髪を靡かせて、何の痕跡も残さず。


次に彼女に会ったのは最古と謳われる教会だった。この間とは異なる、昔ながらの教会堂建築。礼拝堂へと続く、規則正しく並んだ長椅子の一つに腰掛けて、この間と同じ仄暗い目をしていた。僕に気が付くと、顔を上げる。

「書生の貴方、本当に教会が好きなのね」

「君は好きでは無いのかい?」

そう問い掛けると、彼女は軽く視線を逸らした。視線は側の色硝子から前の礼拝堂へ続き、また側の色硝子へと移る。一通り見渡した後にまた此方を見た。

「ステンドグラスは綺麗だし、何より静か。でも……落ち着かない」

この間僕が話した言葉と全く同じ言葉。でも最後だけが異なる。そしてその一言が彼女と教会の関係を表しているようだった。

「ずっと気が動転して、背筋がゾッとして、私は異教徒なんだと知らされる。ずっと眺めていたい筈なのに、早く出て行きたい」

「それは美しさから? それとも恐怖から?」

人間は美しいものに目を奪われる。見蕩れてしまう。けれども同時に背筋が凍るほどの恐怖を覚える事も確かなのだ。血の凍るような美しさとはよく言ったもので。

彼女は静かに溜息を吐くと、前の天使像を眺めながらぽつりと言った。

「どっちも。神は全てをお許しになると仰るけれども、それはきっと自らの信者だけ」

それは違う。君ではなく、僕こそが異端者で、神から見放された存在なのだから。

今この瞬間、彼女の身に聖母マリア乗り移って、僕の存在そのものを否定された様に思えた。その途端、酷い動揺が早鐘を打つ。冷静になれ。きっと彼女は僕が敬虔な信徒だと思っているから出た言葉。言わば自虐に他ならない。

けれども打ちひしがれた僕の存在に気が付く事無く、彼女は静かに笑う。長い黒髪を靡かせて、何の痕跡も残す事無く。

「そろそろ行くわ。私が愛する神の元に」

僕を受け入れて下さる神は何処にいるのだろう。

ステンドグラスが有名な場所の一つは、教会だと思います。

だから行けるところは一通り見てきました。


教会って、潔癖で高潔ってイメージがあります。

訪れた途端に糸が張るようなあの感じ。

綺麗過ぎる真水に落とされた感じ。

だから眠くなんてならないし、落ち着かないんです。


それでも掲示板見てみると『何方でも』なんて張り紙がしてあるんです。

行事がありますよ。信徒でなくてもどうぞご参加下さい。って。

だから彼女達の意見と、私の感覚は一種の『選ぶ』という傲慢性な気がします。

神でもない人間が選ぶんじゃねぇ!! とシバかれそうですね。


キリスト教はよく分かりませんが、人外でも懺悔し続ける時点で赦しが与えられると思いますよ。

よく分かりませんが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ