83.一件落着
俺はマイの意識を付与した状態で、アウルムの前に立つ。
マイの思考が、雷神の体を、完全にコントロールする。
アウルムの動きがゆっくりに見える。
マイの脳の処理速度が、雷神を超えているのだ。
アウルムがゆっくりと反撃してくるのを、俺は軽々と避ける。
そしてがら空きのボディに、二段刺突を食らわす。
アウルムが吹き飛ぶ。
だがそれを先回りして、もう一度二段刺突。
限界を超えた動きをしても、しかし、俺の体には痛みを感じない。
『兄さん、ごめん。痛みを感じる神経を、シャットダウンしてるだけなんだ』
マイの声が内側から聞こえてくる。
『多分これが終わった後……凄い痛みが……』
『だいじょうぶ』
マイの申し訳ない声を聞いただけで、マイが苦しんでいるのがわかった。
兄を傷つけるマネをしている。それを自覚し、辛い思いをしてるんだ。
だから妹を励ます言葉を言う。
大丈夫だってな。
『兄ちゃんは、死なない。だから……平気だ! あいつをぶっ殺してくれ!』
俺では、やつをどうにかすることはできない。
俺一人では、だめなんだ。
『わかった……!』
アウルムがまたやってくる。
俺たちは高速……いや、神速で動きながら、アウルムに二段刺突を喰らわせていく。
「同時に急所を破壊せぬと、吾輩は死なないぞぉ!」
血だらけになりながら、アウルムが叫ぶ。
バカが。そんなの俺でもわかってるんだ、マイが承知してないわけがない。
マイは狙ってやっているのだ。
二段刺突。つど、6度。
相手に当てる。
そして、マイはアウルムから距離を取った。
「「終わりだ」」
俺とマイの声が重なる。
「なに……? バカが、吾輩に致命傷を負わせてないだろうが」
「いいや、よぉく見ろ」
「!? これは……!」
アウルムのボディ……12カ所から、粘糸が伸びてる。
12本の粘糸は、俺の持つダガーの先端に集約している。
「いつの間に……いや、そうか、二段刺突で攻撃してきたときか! あれは攻撃では無く、マーキング!」
「その通り。ダガーで深く急所をつき、直接……おまえの急所に、粘糸をつけた。これで……同時に潰せる」
神ノ雷。この攻撃は、こないだアウルムの肉体によって、阻まれた。
あいつは自分の肉体すら、錬成の力で、性質を変えることができた。
だから雷が通らなかった。
でも、今やつの急所には、粘糸が直接つけられている。
俺は粘糸つきのダガーを天に掲げる。
「くたばれ……! 神ノ雷!」
ダガーを天高くかかげ、神ノ雷を発動。
ズガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
ダガーめがけて神のエネルギーを込めた雷が落ちる。
雷はダガーを、そして粘糸を通って、敵の急所へと伝達。
「ウギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
12の急所を、同時に……神ノ雷が破壊。
アウルムのボディは、内側から崩壊し……。
あとには、何も残らなかった。
「はぁ……はぁ……か、ったぁ……」
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