81.責務
ルイスはアウルム相手に時間を稼ごうとしてる。
両手に持った魔物武器と、格闘銃術を使って敵を……削る。
倒すでは無く、消耗させる。
死力を尽くしても、ルイスには相手の命を奪うほどの強力な攻撃ができない。
一方、アウルムはただのパンチが、必殺の威力を持っている。
相手はノーモーションで錬成を使える。
しかも物体だけで無く、自分の肉体をも、瞬時に望む形に変形していた。
あのアウルムの強烈な打撃は、インパクトの瞬間、筋肉の質を変化させることで生み出してるのだ。
また、逃げようとすると錬成で逃げ場を塞がれる。
そして追い詰められたルイスの顔面めがけて、躊躇無く、アウルムが高速パンチを噛ましてくる。
それをルイスはギリギリで躱す。
そして崩れた態勢から、銃で急所を潰す。
ルイスの目と腕があっても、アウルムは倒しきれない
……マイは、この男と互角に戦えていたというのに。
自分は削るだけでやっとの状態だ。
少しでも気を抜いたら……。
「気を抜くと死ぬぞ」
アウルムの回し蹴りが、ルイスの腕に綺麗に決まる。
ばきごき……!
嫌な音がする。骨が砕け散った……いや。
骨は、無事だった。
「なんと」
「うぉおおおおおおおおおお!」
足をがっしりと掴んで、ルイスは残りの銃弾を、全て放つ勢いで、ぶっ放す。
ズガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!
魔物武器の銃身が熱で変形するほどの連射。
それをもろに受けたのだ。
「ぜはあ……! はぁ……はぁ……」
「ほほぉ、なるほどなぁ」
……絶望の声が聞こえた。
アウルムは、魔物武器でこれだけの銃弾を撃ち込んでも、無傷だったのだ。
本物の化け物だ、こいつも……。
ルイスはその場に崩れ落ちる。
「その腕が無事だったのは、マイ・バーンデッドが再生した腕だったからか」
ルイスは片腕を失う覚悟をしていた。
けれど、彼女の腕をマイの魔力が救ったのである。
「つくづく、面白い女よな、マイ・バーンデッドは」
「……そうですね。あなたと同類ですものね」
もはやルイスにできるのは、無駄話をして気を引くことだけ。
「何か言い残すことはないか? 少し楽しませてもらったお礼に、苦しまずに殺してやるぞ」
ルイスは目を閉じる。
……言い残すこと、か。
自分は、今日まで色んな冒険者達を見てきた。
そして、才能の有無を調べて報告してきた。
……そんななかで、ルイスはとびきりの才能を、見いだすことができた。
それを、人類の役に立てるように、できるのだ。
ここで死んでも、後悔はない。
「ありません。私は……責務を全うしましたので」
ルイスは目を閉じる。
アウルムの拳が近づく。
バキィイイイイイイイイン!
「待たせたぜ、ルイスさん……!」
目を開けると、シーフ・バーンデッドが、アウルムに斬りかかっていた。
彼の持つダガーが、アウルムの心臓を貫いてる。
そう、彼女の責務。
それは……時間を稼ぐこと。
すでに彼らの準備は完了していたのだ。
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