表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/106

70.神わざ



 マイは自分に、身体強化エンハンスのバフをかけた。

 だが……。


(だからといって、直接戦闘ができるようになるとは、思えないわ……)


 ルイスはマイを心配しながら言う。

 マイの職業ジョブは、付与術師。


 戦闘スキルを持たない、職業ジョブだ。

 マイはたしかに技能宝珠スキル・オーブでいくつかの戦闘系スキルを持っている。


 とはいえ……だ。

 彼女には肉弾戦の経験がない(シーフから聞いた話によると)。


 いかに戦う力を持っていようと、それを使う経験がなければ、宝の持ち腐れ。


(マイさんはそれをわかってるのだろうか……?)


 マイとアウルムの拳がぶつかり合う。

 衝撃波が、離れているところにいるルイスのところにも伝わってくる。


(なんてパワー……。バフを重ねがけした影響ねあれは)


 マイの付与術師としての腕は一流だ。

 己にバフをかけ、アウルムの腕力に並ぶほどの力を、一時的に身に付けることはできるだろう。


 だがパワーだけでは敵を倒せない……。

「さあ、見せてもらおうか、マイ・バーンデッド! おまえの才能の輝き!」


 アウルムは光速で、マイの間合いに入ろうとする。

 すると……。


「なっ!? ま、マイさんも……!?」


 マイもまったく同じタイミングで、アウルムにツッコんでくる。


 がきっぃいん!


 アウルムが拳を放つのと、まったく同じタイミングで、マイもまたパンチを繰り出した。


 アウルムがそのまま蹴りを放つと、マイもまた蹴りを。


 がきんっ!

 がががががが!

 どがぁあん!


 激しい接近戦が繰り広げられている。

 ルイスは……驚愕するほかなかった。


 マイの動きは熟達した武闘家のそれだ。

 マイがあそこまで動けるなんて……。


 いや、とルイスは思い直す。

 彼女は目が良いから、直ぐに気づけた。

「もしかして……マイさんは……」

「はは! なるほど考えたな、マイ・バーンデッド!」


 ルイスが思いつくと同時に、アウルムもまた、マイ・バーンデッドのズルに気づいたようだ。


「貴様……おれの動きをトレースしてるのだな!」


 トレース、つまり、マイはアウルムとまったく同じ動きをしている。

 アウルムが拳を繰り出せば拳を、蹴りなら蹴りを、同時に放っている。


「あ、あり得ない……マイさんは、相手が攻撃するのを見て攻撃を放ってる。そこにタイムラグが生じるはずなのに……」


 ルイスの目をとおしてみても、マイがアウルムと同じ攻撃を、同時に放ってるようにしか見えないのだ。


「マイ・バーンデッドよ、貴様はただ吾輩の動きを丸写ししてるわけではないのだな」

 

 丸写しでは……ない?


「貴様は地形、立ち位置、等の情報を拾い上げて、吾輩がどういう動きをするであろうと脳内で予想し、模倣してる。【見てから】まねるのではなく、想像で組み立てた動きを、トレースしてるのだな」


 ……意味が、わからない。

 そんなの未来予知みたいなものではないか。


 マイ・バーンデッドにはそんなスキルは無い。

 まさか……スキル無しに、そんな神業をやってのけているというのか!?


「えぇ……それの、どこがおかしいんですかぁ?」


 ……やはりこの子は、化け物だ。

 ルイスは改めてそう思った。

【★大切なお知らせ】


好評につき、連載版をスタートしました!


『【連載版】カバンの勇者の異世界のんびり旅~ハズレ勇者と王城から追放され奈落に落とされた。でも実はカバンは何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せられるチート武器だった。今更土下座されても戻る気はない』


広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!


リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://ncode.syosetu.com/n1872iu/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ