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66.操り人形


 マイの鋼糸によって、拘束されたルイス。

 

「ではどちらの傀儡が強いか、力比べといこうか」


 ぱちん、とアウルムが指を鳴らすと、周囲にあった金貨が粘土のように変形。

 黄金の巨人へと変貌する。


「さ、お人形遊びですよぉ」

「ひ! や、やめ……」


 ルイスはもうすっかり、マイに対して恐怖を抱いていた。

 自分の意思で体が動かせない。何をさせられるのか、こわい、こわくてたまらない。


「大丈夫ですよぉ」


 痛いことや死ぬようなことは、させないのだろうか……。


「壊れても、すぐに直してあげますのでぇ♡」


 ……なにも大丈夫ではなかった。ルイスは逃げたい気持ちでいっぱいだった。

 だが自分の体に巻き付いてるのは、超鋭利な鋼の糸。


 彼女が少し力をこめれば、体がみじん切りにされてしまう。

 全身にナイフを押し付けられてるような態勢で、いったい、誰が逃げられるというのか。


 結局、おとなしく操り人形になるしかないのだ。


「じゃ、いきますよぉ」


 マイが杖を動かす。

 ルイスは次の瞬間、銃弾を放っていた。


「!?」


 ルイスは、驚愕する。

 自分が銃弾を放ったと、気づくことができたのは、銃弾を撃った際の反動による、痛みがあったあとだった。


「!?」


 ルイスには誰よりも優れた眼がある。

 どんな素早い動きも捕らえる眼が、あろうことか、自分の動きを捕らえられなかったのだ。


 恐ろしく早い早撃ち(クィック・ドロウ)

 銃士である自分が、見逃すほど。


 放った銃弾は、黄金の人形達の額を正確に射貫いていた。

 なんという速射、なんという、正確な狙撃。


 恐らくだが、マイはルイスに身体強化等のバフを、多重がけしたのだと思われる。

 そこに加えて、マイがルイスを操作した。


 結果、あの人外レベルの早撃ちができたのである。


(!? 体が……全然痛くない……!?)


 あんなレベルで速い動きを、他人から強制されたというのに、ルイスの体はまるでダメージを負っていない。


「だいじょうぶですよぉ。あなたの体を、鋼糸のサポーターが巻き付いて、筋肉や関節の動きを補助してるんでえ」


 よく見ると、鋼糸は複雑な形で絡み合っていた。

 それが筋肉のはたらきをしてるようだ。

 足りない筋肉、筋繊維を、鋼糸で補っている。

 ……正直言って、人間のできることを遥かに凌駕していた。


 まあ、切り飛ばされた腕を鋼糸と魔力で再生させていた時点で、人間を辞めていると言っても過言ではないのだが。


「さぁルイスさん、踊ってください! 死の舞踏を!」


 ルイスが二丁拳銃を抜かされる。

 そして、高速で移動。


 次々と湧きでる黄金巨人たちの急所を、正確に狙撃していく。

 その間、マイは何をしてるかというと……。


「そぉれぇ……♡」

 

 ルイスを片手間で操りながら、残りの鋼糸で、直接アウルムを攻撃していた。

 ……あの子には脳がいくつあるのだろうか。


 複数のことを同時進行でき、さらに高度な魔力の操作を行っている。

 そしてさらに……。


(敵の攻撃が、まったく当たらない!)


 そう、操作されているルイスに、一切ダメージが入らないのだ。

 敵の攻撃を全てかわしている。


 ルイスは何もしていない、本当に体を貸しているだけだ。

 マイは異次元レベルの精密な操作術を持ってして、ルイスに敵を無傷で倒させている。


 異次元すぎる動きをさせられながら、こちらに何も負担が掛からない。それが逆に……。


「きもち……悪い……」


 ルイスの(というかマイの)、精密狙撃によって、ドンドン黄金の巨人は消えていく。

 またマイは鋼糸でアウルムを攻撃。


 アウルムは失った肉体を、金貨で代用している。

 そこで……ルイスは気づく。


「あんなにたくさんあった黄金が、消えてる……?」

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