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62.黄金のアウルムと



 ルイスは、マイととも謎の黄金の部屋にいた。

 そこで待ち受けていたのは、異次元の力を持つダークエルフの女。

 

 おそらくはこの迷宮の主である女の目は、マイに向けられている。


「…………」


 主の注意がマイにむいてるおかげで、ルイスにかかるプレッシャーが和らいだ。

 敵の強さは圧倒的で、見られてるだけで、体が機能不全を起こすのだ。


「あなたの名前は……なんですか?」


 マイが主に尋ねる。

 彼女からは、主を恐れてる様子は一切無い。


 その目はキラキラと、好奇心で輝いていた。

 まるで、新しいオモチャを前にした、子供のようだ。


 ……異常だ。異常すぎる。

 あの化け物を見て、面白がれてる時点でオカシイ。


 このプレッシャーの中平然としてられるのも変だ。

 ……マイ・バーンデッド。


 先輩冒険者マーキュリーから、バーンデッド兄妹はそろって異常だと、聞いていた。

 たしかにシーフは規格外の力を持っていた。


 だが、それでも。

 シーフの力は、技術。長い研鑽を詰んだ結果手に入れた、努力の結晶だ。


 シーフが強い理由については、まだ理解できる。

 でもマイは、理解不能だ。


 華奢で、引っ込み思案な、普通の少女。

 シーフから聞いた話になるが、彼女は今まで一度も、特殊な訓練を積んだ経験は無いという。


 それが、【これ】か……?

 訓練を積んでいないで、どうやって、こんな化け物が完成するというのか。


「吾輩に名を尋ねるか……ははは! 面白い女だな。マイ・バーンデッド、だったかな」

「はい! わたしは……あなたの名前を知りたいです!」


「ふ……いいだろう。吾輩は【アウルム】。錬金術師としての字は、【黄金のアウルム】」

「アウルムさんですね! 錬金術師さんなんですか?」


「ふはっ! 面白い女だ! 吾輩を前にして、普通に会話するなんて! 何世紀ぶりだろうか! 貴様のような、胆力の持ち主と会うのは!」


 ……アウルムがマイ・バーンデッドとの会話を楽しんでいる。

 やつはこちらに対して、まったく興味を抱いていないようだ。


 注意が逸れた。


(今が好機!)

 

 ルイスは眼鏡を外し、力を解放する。

 彼女の実家、スナイプ一族は、凄腕狩人集団だ。


 かつて存在した、世界最強の狙撃手、ガンマ・スナイプを祖に持つ彼女の得意技は……早撃ち。


 人間が目で追えないスピードで、敵めがけて狙撃ができる。

 尋常ならざる動体視力に、狙撃力を持った彼女。


 そんな彼女が超高速で放つ早撃ち(クィック・ドロウ)

 相手の虚を突くタイミングと位置で放たれた、必殺の銃撃は……。


 見事、アウルムの脳、心臓、じん臓など……人体の急所を正確に打ち抜いた。

 アウルムは背後に倒れる。


 それを見てすぐ、ルイスは動き出した。

 マイの手を掴む。


「逃げますよ!?」

「え……?」


 マイは状況について行けていないようだ。

 ルイスは説得する暇もなく、この場から待避しようとする。


 マイ・バーンデッドの腕を引いて……がくんっ、と前につんのめった。


「え……?」


 ルイスは、気づく。

 自分の片腕が、ないことに。


 マイを掴んでいた腕が、まるごと、消滅していた。


「!?」


 一体いつの間に攻撃された……?

 わからない。


 ルイスの目を持ってしても、何をされたのかわからなかった。

 ……誰に、とは思わない。


 こんなことができるのは、一人しかない。


「おい女、余計なことをするな。吾輩は今、マイ・バーンデッドとの会話を楽しんでいるところなのだ」



 アウルムは、生きていた。

 しかも、無傷だった。


(あり得ない……人体の急所を、確実に打ち抜いたはず!)


「貴様は、ツマランな」


 終わった……そう、思った。 

 殺される、そう思った。


 だが……。

 ガキィイインン!


「ほぉ……! 見えてるな、マイ・バーンデッド!」


 何をされたのかわからない。

 だが、これだけはたしかだ。


 アウルムは、ルイスを殺そうとした。

 それをマイ・バーンデッドが止めたのである。


「遊びましょう、アウルムさん!」

「ああ、魅せて見ろ、マイ・バーンデッド! おまえの才能の輝きを!」

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― 新着の感想 ―
[一言] もしかしてマイは気弱なんじゃなくて 巨漢がヒヨコに触れるかのような心境で気弱に見えていた?
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