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52.万事休す



《シーフSide》


 救助者たちを助けた俺たちは、その後も次々救助者を助けた。

 彼らはみなセーフゾーンから動けないで居た。


 だがセーフゾーンには、最初にかかっていた時間停止タイム・ストップの魔法は掛かっていなかった。

 ルイスさん曰く、マイが魔喰世界蛇ヨルムンガンドを発動したからだろう……と。


 ……この迷宮に、魔法をかけてるやつがいる。

 だが……その正体について、俺は探れないでいた。


 なぜならそんな強いやつの音が、この迷宮からは聞こえないからだ。

 聞きにくいとか、聞き取れないではない……。


 聞こえない。

 存在しない。でも……居る。それが奇妙だった。


 だが今そこについて考えても詮の無いこと。

 俺は目の前の救助活動に集中した。


 さて。


「よし……あと残り3人だな」


 救助者は残り3人となった。

 彼らを見つければ、俺たちの仕事は終わり。あとは家に帰るだけ……。


 だが、俺は気を抜けないでいた。

 迷宮にいるだろう、謎の強者の正体がまだわからないのだ。


「どうしたの、シーフ兄さん。もうちょっとで家に帰れるのに……なんでそんなに緊張してるの?」

「まあ……まだ仕事全部終わったわけじゃないからな。気ぃ抜くなよ」

「? うん……」


 マイは俺の発言に、納得いってないようだった。

 マイと俺の付き合いは長い。


 俺が、隠し事してることに、気づいたのだろう。

 でもマイは優しいから、それ以上の追求はしてこなかった。ごめんよ……。別に嘘ついてるわけじゃ無いんだ。


 余計な心配、かけたくないだけなんだ。

「残り3名。探しに行きましょう」


 ルイスさんが眼鏡のブリッジを指で上げながら言う。


「ああ……」


 と、そのときだった。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


 迷宮全体が今まで無いくらい、激しく振動しだしたのだ。


「地震!?」

「いいや違う! 迷宮だけが、動いてる!」


 俺は耳が良い。

 だから、わかった。地面が揺れてるんじゃ無くて、迷宮自体が揺れてるのだと。

 前触れも無く、急に揺れ出したのが良い証拠だ。

 だんだんと揺れが伝わってくるんじゃなくて、全体が同時に揺れ出したから。


「一度脱出を……」

「しゃがめええ!」


 俺が叫ぶ。部屋が変形したのがわかったからだ。

 天井がぐぉお! と音を立てながら、凄まじい勢いで落ちてきたのだ。


 マイは超高速で俺にバフをかける。

 剛腕。


 腕力を向上させるスキルを付与。

 

「ぐぅうぬうううううううううううううううう!」


 俺は天井を一人で支える。

 お、重い……潰れそう……だが!


 マイもルイスさんも、フェンも無事だ。

「兄さん! 大丈夫!?」

「あ、ああ……もちろん……だ」


 と言いつつもかなり限界が近い。

 直ぐに伝えないと。


「ルイスさん! マイ! 転移結晶で脱出しろ!」


 今俺は両手が塞がっている状態だ。

 転移結晶での脱出は不可能(結晶を手に持って発動する必要がある。転移できるのは使用者ひとり)


「そんな……! 兄さんはどうするの!?」


 ……どうするの、か。

 ハッ。

 決まってる。


 妹を、助けるに……決まってるだろ。


「大丈夫、そっから見えてないだろうけど、実は秘密の抜け穴があるんだぜ!」


 ……なんてな。

 そんなもんはない。


「行け!」

「やだ!!!!! 兄さんを置いてけないよ!」


 ああ、マイ……

 おまえは本当に聡い子だ。


 俺が嘘ついてるの、わかってるんだ。

 俺は耳が良いからわかるんだ。


「ルイスさん……! 行ってくれ!」


 ルイスさんはうなずくと、魔法弾でマイを撃つ。

 がくん! とマイがその場に崩れ落ちる。


「……麻酔弾です。しばらく動けません」


 ぎゅっ、とマイに転移結晶を握らせる。

 結晶が割れると、マイが脱出した。


 ……これでいいんだ。


「シーフさん……助かる道は、ないんですか?」


 ……ルイスさんが、泣いていた。

 多分この人にも嘘がバレてしまったのだろう。


「ああ。ねえな」

「……そうですか」


「泣かないでよ」

「…………」


 俺のために、泣いてくれる人が、マイ以外にもいるんだ。

 あ、ババディは泣いてくれるかも。なつかしいな……ババディ。


 最後にあいさつしておきたかったな。

 面倒見てくれてサンキューって。


 あと……。マイを今後もよろしくって。

「必ず生きて。助けにむかいますから」

「おう」


 ルイスさんが結晶を砕き、その場から転移する。

 残されたのは俺ひとり。


 秘密の抜け道なんて、存在しない。

 さて……万事休すだ。


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