05.ダンジョンさくさく攻略
俺たちは高難易度ダンジョンから、脱出を図っている。
毒大蛇を討伐した。
■入手アイテム
・毒大蛇の牙(A)
・毒大蛇の鱗(A)
・毒大蛇の肉(A+)
「すごいよ、シーフ兄さん。毒大蛇の肉って、レア食材だよ!」
「ほー、そうなの」
「うんっ。珍味らしいんだけど、毒抜きが大変らしいんだ。でもね、兄さんが倒したこの肉、毒が含まれてないのっ」
うんうん、マイが嬉しそうなので、兄ちゃんはOKです。
「完全解体スキルって……すごいなぁ……」
「いやいや、凄いのはマイだろ。さっきの戦闘、マイがいなかったらやばかったし」
ここで、付与魔法について少し説明しておこう。
付与には2種類存在する。
味方の能力を上げる、バフ。
敵の能力を下げる、デバフ。
大きくこの2種類あり……ここからが重要なのだが、バフとデバフは同時がけできないのだ。
つまり、バフをかけるとデバフが解除される。その逆もまた然り。
毒大蛇の攻撃を受けそうになったとき、マイは【阻害の茨】というデバフを相手にかけた。
その間、俺にかけていたバフは解除された。
で、俺が戦闘態勢になった瞬間、デバフ解除&マイは俺にバフをかけた……。
と、マイはかなり高度なことをやっていたのだが。
本人には、自覚が無いのだ。すごいことやってるって。
「マイ、おまえは凄い。凄い凄い!」
「うう~……ありがとう。でも……シーフ兄さん優しいから~……」
マイはどうやら、俺が兄だから、ひいき目に見てるっておもってるようだ。
無自覚に凄いことをする……恐ろしい子である……。
「ま、それはさておき。毒大蛇から手に入れた技能宝珠を確認しようか」
■獲得スキル
・溶解毒(A)
→触れたモノを一瞬で溶解する強毒。
・熱感知(A+)
→視界内の熱源を感知することができる。
「溶解毒はまあなんとくわかるんだけど、熱感知ってなんだろうな」
と思った瞬間、俺の視界が暗転。
マイがどうやら、俺にスキル付与したらしい。
「マイ……おまえの付与は、ほんとすごいよ。こっちが欲しいときに欲しいものもらえる……。けど戦闘中じゃないときは、一声かけてくれ。兄ちゃんびっくりしちゃうだろ」
「うう~……ごめぇん……シーフ兄さん……」
無能カス……じゃなかった、ムノッカスがマイを追放した理由。
恋人になるのをこばんだからともう一つ、口下手だからって理由は……。
俺も実は思っていたことだ。
「マイ、もうちょっとコミュニケーションを取ろうな」
「うう~……気をつけましゅ……」
へこませてしまった。
ああごめんよぉ……。
でもな、兄ちゃんはおまえのことを、皆に好きになって欲しいんだ。
マイは良いやつなんだって、知って欲しいんだ。だから、悪いところは直して欲しい次第。
「で、熱感知なんだが……こりゃすごいな。岩陰とかに隠れてる敵が、わかる」
熱感知を発動すると、熱を持っているもの(生物)が、赤く表示される。
これなら、隠れてるものを、見抜くことができる。
超聴覚と組み合わせれば、不意打ちを完全に無効化できるぜ。
「さて、アイテムもスキルも確認したし、がんがん敵倒しながら、外を目指そうぜ」
「だめだよ、シーフ兄さん」
きゅっ、とマイが俺の腕を引っ張る。
「どうした?」
「兄さん疲れてるよ。何度も敵と戦ってたら、倒れちゃうよ」
「回復ポーションは……?」
「……ごめん。荷物、取られちゃって……」
ああなるほど。
ムノッカスの取り巻きどもは、転移結晶だけ盗ってったわけじゃないのか。
荷物全部奪っていったわけか。
……ゴミカスどもが。
「ギルド戻ったら覚えておけよあいつら……。今回のこと、しっかり報告してやるからな」
さて。
回復ポーションがない以上、確かに連戦は避けたいところだ。
俺とマイが居れば無敵とはいえ、俺たちは人間。
戦っていけば体力も精神力も摩耗していくからな。
「俺の耳と熱感知があれば、余計な戦闘は回避できるしな」
どうしても戦う必要がある敵だけ、倒そう。
「じゃ、行くぞ」
「うんっ」
☆
俺とマイは出口へ向かって、来た道を戻っていく。
超聴覚と熱感知の組み合わせは、めっちゃ凄かった。
まず超聴覚で、敵の存在を誰よりも早く気づける。
物陰から、熱感知を使って敵の姿を確認。
倒せそうなら、物陰からバッと出て倒す。
無理そうなら回避する。
俺たちは二人だけ、しかも回復アイテムも無い状態だというのに、一度もダメージを負うことなく……。
「「外だぁ~~~~~~~~~!」」
俺たちは、ものすごい速さでダンジョンを脱出することができた。
まあ、無駄な戦闘を一切しなかったのと……。
「マイ、サンキュー。来た道を完全に覚えてるなんて、やっぱおまえは有能だよ」
「うう~……。ほめすぎだよぉ……兄さん~……」
うちのマイさん、記憶力もいいんです。
ので、来るルート完全に覚えているのだ。
な? 有能な妹だろ?
「シーフ兄さんも、ありがとう。敵……全部一人で倒してくれて……」
「ああ、大丈夫。あんなの余裕よ」
戦闘回数を最低限にしぼったとはいえ、途中で何体か敵は倒してきた。
・隠密蟻
→スキル【隠密】ゲット。
・山頂蜘
→スキル【鋼糸】【粘糸】ゲット。
・上級魚人
→スキル【水刃】ゲット。
今回のダンジョン攻略で手に入れたスキルは……。
剛体、剛腕、疾風、熱感知、溶解毒、隠密、鋼糸、粘糸、水刃。
以上、9つ。
そこに加え、Aランクモンスターから採取できる、稀少なアイテムをたんまりゲットした。
「すごい……二人だけなのに、こんなにやれるなんて……」
そもそも、なぜ俺たちが最初から、コンビ冒険者やらなかったか?
それはかなしいかな……俺にもマイにも、問題があったからだ。
俺の職業は、盗賊。
戦闘職じゃないので、戦う力がない。(鍵開けなどがメイン)
マイの職業は、付与術師。
こちらも戦闘職じゃないうえ、魔法職だが攻撃魔法を持っていない。
つまり俺とマイが組んだ場合、敵を倒せないっていう致命的な欠点があるのだ。
だから、他の連中とパーティを組む必要があったのだ。
でも……俺が奪命と完全解体を覚えたことで、敵と戦えるようになった。
マイと二人で、最強になる。
その夢を……やっと、かなえることができる。
「シーフ兄さん、嬉しそう。どうしたの?」
「これから、伝説兄妹の伝説がはじまるんだなって」
「伝説兄妹の伝説って……変なのぉ」
くすくすとマイが笑う。
俺は妹の頭をポンポンとなでる。
「さ、街に帰ろう。んで、ギルドに報告だ。……あのクソ野郎に殺されかけたこと、ヒッチとバーズレに荷物を盗まれたこと、しっかり報告して、きっちり制裁を受けてもらうぜ」
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