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43.新たな依頼、戦力外通告うけるカス



 あくる日。

 俺は調査隊のテントに呼び出された。


「失礼します」「ます」


 中には、たくさんの大人達がいた。

 彼らの心音から、何か深刻な事態に直面してるのがわかった。


「やあ、シーフくん。マイくん。よく来てくれた」

「クローニンのおっさん」


 商人、クローニンのおっさんが、俺に話しかけてきた。


「実は調査隊から君たちに、仕事の依頼をしたくてね。ルイス君経由で来てもらったわけだ」


 ルイスさんは俺の隣までやってきた。

 ちゃき、と眼鏡をかけなおして言う。


「やるかやらないかは、彼ら次第です」


 なるほど……ルイスさんは自分のところで、話を止めなかったわけだ。

 ちゃんと俺らに、選ばせてくれるみたいだ。


 ほんと、いい大人だな。

 ちゃんと俺【ら】っていうし。マイを尊重するルイスさんの姿勢には好感が持てる。


「なにさせたいの?」

「実は、調査隊の先遣隊が、遺跡に捕らわれてしまっているのだ」


 話をまとめるとこうなる。

 彼ら調査団は、円卓山テーブルマウンテンの地下に、遺跡を発見。

 先遣隊が潜ったが、途中でトラップが発動。


 部隊のほとんどが、地下に捕らわれた状態で数日が経過しようとしてる……と。

「彼らを救助したいが、遺跡には強力な魔物がいて上手くいかない。さらに、中は迷路みたいに入り組んでてね」


 だから、助けに向かえない……と。


「俺らじゃなきゃいけない理由は?」

「時間的猶予がないのだ。地下に取り残された人たちはもう何日も飲まず食わず状態でいる」


 なるほど、増援が来るのを待っていたら、餓死してしまう……と。

 彼らを助けられるほどの力を持っているのは俺たちだけ、ってことか。


「私はギルド監査員でありますが、冒険者としてのライセンスがあります」


 ルイスさんが言う


「私は自分の意思で彼らに協力します。そしてできれば……君たちに協力してもらいたいです」


 ルイスさんは人助けをするみたいだ。

 いい人だし、やって当然か。


 信頼してる大人から頼られて、はい、とうなずきたい気持ちはある……が。


「俺らの査定って、ここの護衛でもう終わってんだよね?」

「ええ、そのとおりです。だから、あなたたちが選んでください。仕事を受けるかどうか」


 つまり今回の以来は、Sランカーへの査定の範囲外。

 やったところでうま味は……ない。


 未知の遺跡だ。

 いって妹がケガしたり、妹が迷子になったりするリスクがある。


 マイが、手を伸ばそうとしてるのがわかった。

 何が言いたいのかもわかった。


 だから、彼女が頼ってくる前に言う。


「いいぜ、ルイスさんに協力するよ」

「シーフくん……」「兄さんっ」


 ルイスさんが目を丸くしていた。

 まあ、この人俺の性格をよく知ってる。

 俺が普段とは違う行動を取ってるから、驚いてるんだろう。


「本当にいいのですか? 受けようが受けまいが、査定は変わらないのですよ?」

「ルイスさん……あんた、嘘つきだね。試したんだろ、俺たちが、どういう決断するか?」


 にこっ、とルイスさんが笑う。

 やっぱりね。


「ど、どういう……こと?」

「最初から、試験の一環だったんだよ、人助けは。この決断も含めてな」


 遭難者が出ているってことは、出発時点でわかってない、はずがないのだ。

 

「でも本当に、断ってもマイナスにはしませんでしたよ。それくらい、難しい依頼となりますからね」

「わかってるよ」


 ルイスさんの心音を聞けば、わかる。

 この人が最初から、嘘をついていないってね。


 つまり、この依頼を受ければ、プラスにはなるがマイナスにはならない。

 査定には組み込んでくれるけど、失敗してもいいとね。(あくまでサブクエスト)


「正直人助けには興味ないよ。でも……マイが人を助けたいって思ってる。俺はその気持ちを優先する」


 と、Sランカーへの昇格に、+査定が入るんだ、受けるに決まってる。

 ルイスさんがうなずいて、ぽんっと肩を叩く。


「頼りにしてますよ、バーンデッド兄妹」

「おう」

「はいっ!」


 さて……これで救助にむかうのが決定したんだが……。

 若干1名、テントの外から、いやーな音が聞こえるんだわ。


「ぼ、ぼ、僕もいくぞぉお!」


 はい、入ってきましたね、身の程知らずの無能のカスが。



「なんだムノッカス。盗み聞きか?」

「うるさいよ! なあ僕も力を貸す! 僕もいかせてくれないかい!?」


 こいつ何を焦ってるんだろうか……?

 ああ、失敗続きだからか。ここで挽回したいんだろう。


 ルイスさんに詰め寄るカス。

 だが彼女は冷静に言う。


「駄目です」

「なぜ!?」


 ルイスさんは一言。


「あなたでは、力不足です」


 彼女がハッキリと言った。その言葉は深く、ムノッカスを傷つけたらしい。


「ち、ちか……力不足……? で、でもぉ! バーンデッド兄妹は許可したじゃないかあぁ!」

「当たり前です。彼らにはこのクエストを受ける資格がある」


「そ、それって……それってよぉお!」


 ムノッカスが言わなくてもいいセリフを言う。


「まるで僕が、この二人より劣るといってるみたいじゃないかぁ……!!!!!!!!!」


 あーあ……。

 言わなくて良いことを、わざわざいってら。


 ルイスさんはため息をついたあと……今度もハッキリ言う。


「はい。あなたはこの二人よりも、劣ってます。数段……いや、数十段」


 ルイスさんの声からは、誇張も嘘も感じられなかった。

 本当に俺たちと、こいつらとの間には、明確な差があると判断したらしい。


 ……どうだ、みたことか。

 マイのほうがおまえより上なんだぞ。おまえのが間違ってたんだ。ざまぁみろ。

「う、うそだ……ぼ、僕が劣ってる……?」

「ええ」


「馬鹿な! 何を証拠にそんなことをぉ!?」


 すると黙って聞いていたクローニンさんが言う。


「君は岩鳥ロック・バード、そして砂蟲サンドワームに負けたじゃ無いか」

「!」


「その兄妹は、それらの敵を、まるでスナック菓子感覚で倒していたそうだ」

「!?」



 衝撃を受けるムノッカス。

 呆然と「うそだ……うそだ……」とつぶやく。


 こいつ、どんだけ嘘だいいまくるんだよ。

 ほんと現実見ないな……。


「現状、あなたがいけば死にます。それどころか、この二人の足をあなたが引っ張ることになる」

「う……うう……」


「ハッキリ言いましょう。あなたは役立たずです」


 周りから冷たい視線を受けるムノッカス。

 誰もが無言で、出て行けと言っていた。

「う、うわ、うあああああああああああああああああああああああああ!」


 色んな感情がごちゃ混ぜになって、どうしようもなくなったのか、カスは出て行った。

 マイに謝って欲しかったけど……ま、いいや。


 周りが……ううん、ルイスさんが、ちゃんとマイの方がムノッカスより上だと、ハッキリ言ってくれた。

 それだけで、結構満足だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 珍しくはっきりと言い切るムノー切 [一言] これからも、楽しみです。
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