04.アイテム回収し、地上を目指す
ここから短編版の続きです!
高難易度ダンジョンにて。
「さて……と。マイ。とりあえず、ミノタウロス倒して手に入れたアイテムを回収してきたぞ」
俺の妹、マイ・バーンデッド。
年齢は15。銀髪に、青い瞳。はかなげな雰囲気の美少女だ。
「あ、シーフ兄さん……あの、ヒッチさんと、バーズレさんなんだけど……」
ヒッチとバーズレとは、ミノタウロスに食われた、元仲間のことだ。
ボスを倒したら、あいつらはドロップアイテムとともに、腹の中から出てきたのだ。
「あいつらがどうした?」
「その……転移結晶を使って、帰っちゃった……」
転移結晶とは、ダンジョンから地上へと一瞬で転移する、とても希少なアイテムのことだ。
パーティで使うアイテムはマイが管理していた。
なるほど、あいつらマイから転移結晶を奪い、先に逃げやがったのだ。
「地上に帰ったら覚えてろよあのクソ野郎ども……」
「に、兄さん……危ないことしちゃだめだよ……」
「……ああ、わかってるよ」
あの女たちぼこって騎士に捕まったら、世界最強を目指せないもんな。
マイが安堵の息をつく。
しかし、転移結晶を取られたっていうのに、マイは怒ってる様子はない。
あの女どもは正直、戦闘力に関してはそんなにない。
無能カス……じゃない、ムノッカスがいない状態で、あいつら二人だけで、地上へ帰るのは無理だったろう。(パーティ追放した俺たちに、外まで連れてって貰うのも無理な話だしな)
あの女ふたりは、生きるため、しかたなく盗みを働いたのだろう。
……共感はできるが、胸くそ悪い話だった。
「シーフ兄さん。これからのこと、考えよ?」
「そうだな。とりあえず、地上に戻ろう」
だが、問題がある。
「転移結晶はあの女どもに取られちまった。手元にはもう結晶がない」
「じゃあ、ボス部屋にある転移門を使う?」
転移門とは、ボス部屋のみに設置されてる、ダンジョンの外へ転移する装置のことだ。
「いや、今は使えない」
「どういうこと? ボスであるミノタウロスを……あっ」
マイは気づいたようだ。
「迷宮主の放浪によって、ボス部屋から出てきたボスを倒しても、ダンジョンクリアにはならないんだ」
現在、ミノタウロスが外に出たことで、ボス部屋の扉は閉まっている。
新しいボスが再出現するまで、この扉は開かない。転移門を使うことができないのである。
「ボスがリポップするまで待つのは、現実的じゃない」
「そうだね……いつになるかわからないし。じゃあ……」
そう、残された道は一つだけだ。
「来た道を戻る。俺とおまえ、二人だけでな」
「そ、そんな……無理……ふにゅ」
俺は妹のほっぺたをつまんで、横に伸ばす。
「な、なにふるの……?」
「マイ。もっと自信を持て。おまえと俺、二人がいれば、難関ダンジョンなんて、軽々突破できる」
「れも……」
「できる」
妹はどうにも、内気なのだ。自分に自信がない。
だから、無理だと思ってる。……自分が、どれだけすごいやつなのか、自覚がないのだ。
「マイ。兄ちゃんは何度だって言うぞ。おまえはすごい。自信を持て」
「………………うん」
うなずいてるが、しかし、確信を持てないようだ。
マイはずっと、あの無能カスやろうに、使えないだの雑用付与術師だのとののしられてきた。そのせいで、自信が持てないでいる。
……俺はこれまでも、これからも、ずっとマイのこと、褒め続けてやろう。
「うっし。じゃあ脱出だ。と、その前に、ドロップ品の品定めだな。マイ。鑑定頼む」
「うんっ。【鑑定】!」
■牛頭包丁(S)
→鋭い切れ味、頑丈な刃を持つ小型包丁。
マイは付与術師だが、鑑定スキルを持っているのだ。
鑑定スキルは勇者の固有スキルだったりする(鑑定の魔道具も存在するが)。
しかし、うちの天才妹は、生まれながらに、勇者の固有スキルを持っているのだ!
勇者でもない彼女が、である。
「ミノタウロスが持っていた武器の一つだね。小型包丁って……十分おっきい」
「ミノを基準として小型ってことだろ」
ちょうど今使ってるナイフも古くなってることだし、牛頭包丁、ありがたく使わせてもらおう。
■最高品質の魔法袋(S+)
→容量無制限の魔法袋。どんな大きさのアイテムでも収納可能。
「うぉ! すげえ魔法袋まで持ってやがったぜ!」
魔法袋とは、文字通り何でも入る魔法の袋なのだ。
ただ、市販されてる魔法袋には容量に限りが有る。
が、ボスからドロップしたこれは容量無制限だなんて!
「マイの普段の行いがいいからだな」
「そ、そんなぁ~……♡ えへへ……♡」
うわ! ま、まぶしい……!
俺の妹の笑顔……まぶしすぎて目が潰れるところだった。
「ちょうどいいや、ミノの皮やら肉やらが大量にドロップしてるし、これに全部入れちまうぜ」
ミノの肉、骨、皮など、たくさんの素材アイテムを、魔法袋の中にいれていく。
「シーフ兄さんのスキル、【完全解体】すごいねっ。魔物のドロップ品、全部回収できるなんて」
通常、魔物が落とすアイテムはランダムとなってる。
だが俺の覚えた新しいスキル、完全解体。
これを所有してる人間が敵を倒すと、的が所有してるアイテム全てを回収できるのだ。
ミノから取れた肉やらは、高く売れる。当面の活動資金になるだろう。
そして……本命はこれだ。
「技能宝珠。まだあったぜ」
完全解体のスキルは、相手の持つスキルすら、回収できるようになる。
やつが落とした技能宝珠は、3つ。
■剛腕(A)
→一時的に腕力を超向上させる。
■剛体(A)
→一時的に体の頑丈さを超向上させる。
■疾風(S)
→攻撃の速度を超上昇させる。
「全部、戦闘職用のスキルだね」
ばしゅっ、とマイの体の中に宝珠が入っていく。
これでマイは3つのスキルを新たに覚えた。
人間にはスキル習得の上限が存在する。
しかしうちの天才妹は、9999個のスキルを覚えることが可能なのだ。
「マイが習得したスキルを、兄ちゃんに付与。そうすれば、俺はもっと強くなれる。頼りにしてるぜ、マイ」
とんっ、俺は妹の頭に手を乗せる。
マイはこくん、と強くうなずいた。
「わかった。シーフ兄さんは……私が守る!」
マイは気づいたようだ。
そう、基本的な俺の強さは、全く変わらないってことに。
俺が強い敵と渡り歩くためには、マイの付与がこの先絶対に必要となる。
自分のミスで、兄を殺してしまうかもしれない。だから、マイはより一層、頑張らないとって思ったんだ。
そういう兄思いの子なんです、うちの可愛い妹は。天使かな?
「っと、マイ。ちょっと長くしゃべり過ぎたようだな。敵がおでましだ」
「さすが兄さんの【超聴覚】だね。敵の不意打ち、全部防いじゃうんだもん」
薄暗いダンジョンのなかでは、敵の姿が視認しにくい。
が、聴覚を向上させるスキルを持つ俺にとって、敵の姿なんて見えなくとも、把握できるのだ。
「さっそく……」
新し力を試そう。
俺が言う前に、マイが、もうスキルを俺に付与していた。
「スキル付与……【剛腕】。さすがマイ。ほしいと思ったときには、もう付与が完了してるんだから」
ちなみに付与魔法って結構難易度が高い魔法らしい。
本来は、付与する対象に触れている必要があるんだと(師匠が言っていた)。
だが、マイは触れずとも、離れているところから、正確に、バフをかけることができる。
こんな芸当、マイにしかできない。
うちの、有能付与術師さまにしかな。
「よし……いくぞ!」
マイが速度上昇のバフをかけてくれる。
素早く動いて、敵の懐まで一気に潜り込む。
「GISH……」
「毒大蛇か!」
■毒大蛇(A)
→強力な溶解毒を放つ大蛇。
俺は牛頭包丁を手にもって、敵に特攻。
敵が俺に気づくが、相手の動きが途端にのろくなる。
マイの移動阻害の付与だ。
あいつもう……ほんと、最高だな!
「ぜやぁあああああああああああああ!」
俺はスキル奪命を使わない。
剛腕が付与された状態でナイフを振る。
ザシュッ……!
「うぉ! すげえ……一撃で首はねられた……!」
ぶっとい蛇の首を簡単にはねることができた。
まるで、溶けたバターを斬ってるみたいだった。
「はは! 見ろよマイ! Aランクの毒大蛇もほら! 奪命使わなくてもたおせ……」
「GISHAAAAAAAAAAAAAAA!」
クビだけになった毒大蛇が、俺めがけて突っ込んでくる。
が……。
がきぃん!
「【阻害の茨】……」
付与術師の持つ、デバフ魔法の一つ、阻害の茨。
地面から魔法の茨が出現し、大蛇の頭部に巻き付いてる。
地面に縫い付けられたみたいになってる、毒大蛇。
「シーフ兄さんすごいよ……けど、油断はよくないよ」
「マイ……」
ほんっとにもう……うちの妹は、有能なんだから。
俺は奪命の一撃を、大蛇の脳天に放つ。
今度こそきちんと敵を倒した。
完全解体スキルが発動し、技能宝珠と素材アイテムがドロップする。
「ま、なんにせよ、俺とおまえが一緒なら、Aランクもほらこの通り楽勝なわけだ」
「う、うん……そうだね。強い兄さんがいれば、ダンジョンも楽勝かもっ」
やっぱりマイは、自分の強さを自覚してないようだ。
高度なデバフ魔法を、無詠唱で放った。それが、どれだけ高度なことかも、自覚してない。
まあ、いい。少しずつ、マイに自信がもてるように、これからも兄ちゃんは妹を褒めまくろう。
「やっぱりマイはすげえな」
「ううん、兄さんがすごいんだよ」
「いやいや」
「いやいやいや」
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