38.ぽんぽん強敵をやっつける兄妹
コロウリィに技能宝珠を卸すことになった。
その後、俺たちは人外魔境の土地を進んでいく。
目的地はここから真っ直ぐ西にいったさきにある、円卓山ってところらしい。
そこで新しい遺跡が発見されたんだそうだ。
「円卓山ってとこまで、あとどんくらいなの?」
「うぐう……ぐすう……順調にいけば数時間くらいっすぅ……」
「おまえまだ泣いてるのかよ……」
「だぁってぇ~……こんなに人に優しくされたの、はじめてでぇ」
別に俺も、他の連中と同様、無条件で他人に優しくすることはない。
マイの友達だから、特別に、優しくしてやっただけだ。
「技能宝珠ビジネスを実現するためには、色んな宝珠をとっておかないとだな」
ちなみに、俺はここに至るまで、色んなモンスターを倒し、様々な技能宝珠を手に入れてる。
が、かぶる宝珠(おなじモンスターから採取できる宝珠)は捨ててきたのだ。
今思うともったいなかった。
今後はきちんと、毎回宝珠を回収しようと思う。
「というわけで……マイ。二時」
「ほえ? に、二時……? なんすか……?」
「コロウリィ、竜車止めろ」
「あ、はいっす」
竜車が止まる。
俺は新しいスキル、土遁を使って、地面の中にもぐり【それ】を回収してきた。
どさっ!
「うぇえええ!? 砂蟲の死体ぃいいいいいいいいい!?」
砂蟲の死体を前に、コロウリィが驚愕の表情を浮かべる。
「どうなってんすか!?」
「マイのおかげだ」
「ええ!?」
「…………」
「え、説明おわり!? 全然いみわからんすけどぉおおお!?」
やれやれ、マイのすごさをわかってないとは。
「さすがですね、マイさん」
その点、ルイスさんはちゃんとマイのすごさをわかっている音がする。
「恐らくスキル反転を用いたのですね」
「な、なんすかそれ?」
「スキルの効果を逆にし、相手に付与する超高等デバフ技術です」
「スキル効果を逆!? い、いみわかんねー! そんなの可能なんすか!?」
「不可能です。彼女以外」
ルイスさんにスキル反転を見せたのは、初めてだった気がするんだが……。
「君たちのこれまでの戦闘については、マーキュリー師匠からきちんと報告をうけています」
あの人、ちゃんと俺たちの仕事、報告してくれてたんだな。
やるじゃんババディ。
「で、でも……スキル反転を使ったからって、どうして砂蟲が死んでたんす?」
「恐らく、土遁のスキルを反転して付与したのでしょう。コロウリィさん、土遁の効果は?」
「たしか……地中を潜行できるようになる」
「その反転は?」
「地中を潜行できなく……あ」
そう、つまり……。
「地面の中で身動き取れなくなり、窒息死した……ってことすか?」
「ええ。これなら最低限の力で、砂蟲を討伐できます。さすがですね、マイさん」
ふにゃー……とマイが嬉しそうにしてる。
きちんと自分のやったことを理解し、褒めてくれたことが、嬉しかったんだろう。
幸せに満ちた音がマイから感じられて……兄ちゃんは嬉しくて死にそうです。
「二時ってやつはなんなんすか?」
「え、二時の(方向、敵が来てる。マイ、良い感じにサポート頼む)って意味だけど」
「省略しすぎでしょ!!!!!!!! つか、それでわかるマイさんすげえっすね……」
「……シーフ兄さんのいいたいこと、だいたいわかります、からっ」
そうだよな。
俺たちは血を分けた兄妹。以心伝心ってやつだもんな!
「んじゃ……ほい。奪命の一撃」
ぼんっ!
砂蟲の弱点をつくと、完全解体スキルが発動。
素材アイテムのほかに、技能宝珠もゲット。
土遁スキルの宝珠で、普段ならかぶりは捨て置くけど、今回は回収する。
「ほい」
「わっと……金の卵なんすよ? もうちょっと丁寧に……」
「マイ、7時」
「うん!」
マイがまたしても、スキル反転で砂蟲を討伐する。
俺は土遁でもぐり、砂蟲を引っ張り出す。
「砂蟲って……こんな簡単にぽんぽん倒せる相手じゃないんすけど……」
「それだけ、あの二人の能力が突出してるということです。見事ですね」
「それはそうっすね。すげーっすわ」
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