表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/106

36.Sランク砂蟲も、兄妹なら余裕で倒せる



 俺たちは人外魔境スタンピードって場所までやってきた。

 商人のコロウリィを、目的地まで護衛するのが、今回の任務だ。


 竜車はガラガラと荒野を進んでいく。

 俺は周りを見る。


 どこまでも続く荒野。

 ところどころに、巨大な岩山が見受けられる。


 耳を澄ますと、周囲には人の気配は全くしない。

 遙か先に、人の集まる集落があるくらいだ。


 じりじりじと照りつける太陽。周りに日陰が一切無いためか、思わず汗が噴き出てしまう。

 ……しかし、別の意味で汗をかいてるやつが、俺の隣にいる。


「なんだよコロウリィ、びびってんの?」


 御者台にすわるコロウリィからは、緊張と恐怖の音が聞こえてくる。


「当たり前っすよぉ……だって、ここ、世界四大秘境の一つなんすよぉ」

「ふーん……」


 といっても、その世界なんちゃらが、どれくらいやばいのかは知らないんだけどね、俺。

 同行者のルイスさんが眼鏡のブリッジを指で上げて言う。


「四大秘境への立ち入りについては、六大陸同盟国が制限をかけているんです」


 六大陸同盟国というのは、ゲータ・ニィガを含む、周辺国のことだ。

 世界中のお偉いさんたちが、秘境の立ち入りを制限するほど、やばい土地ってことか。


「立ち入れる最低ラインが、Sランク相当の実力者であること。例外はありますがね」

「へー……。ん? でも立ち入り制限してるわりに、入り口に門番みたいな、見張り役いなかったよね?」


 するとルイスさんがうなずいて答える。


「四大秘境の入り口には、特殊な結界が張られております。入るためには、この通行証が必要となるのです」


 ルイスさんが懐から、一枚のカードのような物を取り出す。

 カードからは特殊な波動のような音を感じた。

 なるほど、これが通行証か。


「最低でも、Sランクじゃないと入れない場所……。うう、自分は生きて帰れるでしょうか……」


 ……コロウリィからは複雑な音が聞こえてきた。

 びびってるのはたしかだ。


 ルイスさんも言ってたけど、ここは強者しか立ち入れない場所。

 コロウリィはまあ、たしかに力が足りない。


 でも、彼女は俺たち兄妹を侮ってる音はしなかった。

 ……多分だけど、弱い自分だけが死んでしまうって思ってるんだろう。俺たちは強いから、生きて帰るってさ。


 全面的に俺らのことを信頼してないのは、まあ付き合いが短いってのと、俺たち兄妹の力が、ここの連中に通用するのか見てないからだろうな。

 ……俺は嬉しかったね。


 コロウリィは出会ったときから今も、俺たち兄妹を馬鹿にしてない。

 強いやつ、だと思ってくれている。その評価はうれしい。


「心配すんなーっつの。俺とマイがいれば、人外魔境だろうがなんだろうが、ピクニック気分で通過できるぜ。な、マイ?」


 うんうん! とマイが力強くうなずく。

 マイもまた、コロウリィを気に入ってるのが音から伝わってくるんだ。


 だから、この任務、絶対成功させてあげたい。そう妹は思ってる。

 俺は……まあ、Sランクになるための任務でしかないんだけど。

 まあコロウリィのことはちょっと気に入ってるし、妹もやるきになってるし、頑張ろうかなって思う。


 妹が頑張ろうって思ってるからな! そこ重要。


「つーことで、コロウリィ」


 俺は自分の首に巻いてるマフラーをはずし、コロウリィの頭に巻き付ける。


「うぇえ!? なにすんすか!?」

「竜車を止めるな。突っ切れ」

「え!? な、なんで!? なんで!?」

「黙ってろ」


 俺は敵の接近に、とっくに気づいてる。

 まだ距離はある。が、結構なスピードだ。まもなく接敵するだろう。


「……来るのですね」


 さすがルイスさん、俺たちの雰囲気から、敵が来てることに気づいてるようだ。

 魔法銃に手を……かけない。

 彼女は腕を組んでうなずく。


 ……あくまでこれは試験。ルイスさんは、ギリギリまで俺たちに対処させるつもりだろう。

 でも危なくなったら手を貸してくれる。


 俺も、そしてマイも、のびのびと自分の力を発揮できる。


「マイ。下だ。結構早いぞ」

「うんっ」


 マイが準備を始める。

 俺は御者台に立って、ダガーを装備する。


「なんすか!? なにがくるんすか!? ま、まさか砂蟲サンド・ワームじゃないっすよね!?」


 砂蟲サンド・ワーム……?

 聞いたことないけど。


「ま、違うよ」

「そ、そか……良かったっす……」


 さて、マイは準備完了。敵は一直線にこっちに来てる。

 馬鹿なやつだ。こっちはおまえが来ること、わかってるっつーの。


 そして……来た。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!!!!!!!


「なんすか!? じ、地面揺れてないっすか!?」

「走れ」


「いやでも!」

「いいから、竜車を止めるなよ」


 ドゴオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


 地中から、巨大な魔物が出現した。

 一言で表すなら、巨大なミミズだ。


 だがミミズは硬そうな茶色い外皮に包まれている。

 口は先端についており、イソギンチャクみたいな無数の歯がついてる。


「GIGIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!」

「なんかでたんすかぁ!? なんかすげええ獣みたいな声するんすけどぉおおおおお!」


 このグロイみためを見たら、こいつ失神しちまうだろうな。

 そうなると竜車が倒れて、マイが危ない。だから目隠しさせたのだ。


「うるせえ。黙ってろ」

「ひぃいいい! シーフさんがこわいっすぅ~」


 俺はダガーを装備して立ち上がる。


「いくぞ、フェン」

『承知!』


 フェンリルのフェンが、元の大きさに戻る。

 フェンリルの背中に乗った俺。


 たん! とフェンリルがかけだす。


獣咆吼バインド・ボイス!」


 マイが即座にスキルを付与してくれた。

 これは相手の動きを止めるスキルである。が、狙いはそれだけじゃない。


「おらこっち来いでかむし!」

「GIIIIIIIIIIIIIIIIII!」


 咆吼によってやつはこちらに注意が向く。

 やつをマイから遠ざける目的……と同時に、マイが仕事をしやすくする。


 こちらに向かってデカイ蟲がかけてくる。

 だが……。


『さっきより速度が遅いな』


 あの蟲は地中を超スピードで動いていた。

 地上だと速度が遅くなる……かもしれない。が、今のやつは圧倒的に速度が遅い。


 それはマイが阻害の茨、そして遅延の光をやつに浴びせたからだ。

 移動阻害、移動速度減少のデバフ。


 それにより蟲は自分の強みを完全に消されてる。


「フェン! 戻れ! 頭から2つめの節目んとこ!」


 俺には奪命というスキルがある。

 それは敵を一撃で死に至らしめる、致死の点を見るスキルだ。


 蟲の弱点は硬い外皮の奧、そしても、頭部付近にそれがある。

 まずは敵の動きを遅くする。


 フェンが高速で蟲のやろうに近づく。

 口を開いて俺らを食べようとする……が。


「おせえよ」


 マイのデバフの効果で蟲は思うよう動けないでいる。

 フェンが頭部付近まで近づく。


「あとは任せろ」


 たん! と俺がフェンを蹴って跳ぶ。


「水刃、溶解毒!」


 二つのスキルをマイが付与してくれた。

 ダガーを振るうと水の刃が射出。


 水ではなく、毒が付与された刃が、蟲の外皮をたやすく切り飛ばす。

 そして、むき出しになった弱点に向かって……。


奪命の一撃ヴォーパル・ストライク!!!!!」


 ダガーに付与されたスキル、空歩を発動。

 二段ジャンプで敵に接近。


 致死の点をそのまま貫く。


「GIGIIIIIIIIIIIIIII…………」


 敵は悲鳴を上げながら、完全に動かなくなる。

 フェンが空中で俺をキャッチ。


 そして、竜車の元へと戻った。


「討伐完了」

「討伐って……やっぱり敵がでたんじゃないっすかぁ……」

「ああ。ま、やっつけたよ」


 俺はコロウリィの頭に巻いたマフラーを取ってやる。

 竜車を止めて、コロウリィが背後を見る。


「って! 砂蟲サンド・ワームじゃないすかやっぱりぃいいいいいいいいいいいい!」


 へえ、あれ砂蟲サンド・ワームってんだ。


「S+ランクのモンスターっすよ! 地中を超スピードで動き、いっきに襲ってくることから、初見殺しとして有名なモンスターっす!」

「へえー」


 まあたしかに、耳が良くないやつなら、敵の接近に気づかなかったろうな。


「信じられねえっす……。Sプラスをこんな簡単に倒せるなんて……」

「マイのアシストのおかげだよ。マイに感謝しろよ」


 マイが嬉しそうに笑っていた。一方で、ルイスさんが感心したように言う。


「素晴らしいコンビネーションでした。さすがですね、二人とも」


 ああ、やっぱ俺、この姉ちゃんのこと好きだわ。


【★☆大切なお願いがあります☆★】


少しでも、

「面白そう!」

「続きが気になる!」

「兄妹ツエエエ!!」


と思っていただけましたら、

広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】から、

ポイントを入れてくださると嬉しいです!


★の数は皆さんの判断ですが、

★5をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、

最高の応援になります!


なにとぞ、ご協力お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ