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25.王都を襲うモンスターと戦う



 突如、王都内外に、大量の魔物がやってきた。

 俺は耳がいいので、状況を誰よりも早くつかむことができた。


 だが……。


「ひぎゃぁあああ!」ブブブブブブ!「なんで王都に化け物がぁ!?」ブブブウブブブ「にげ、てぇえええ!」ぶぶぶぶぶ!「いやぁあああああああ!」


 ……ああ、うるせえ!

 俺は超聴覚を意図的にオフにする。


 耳が捕らえたのは、魔物がうごめく音、そして魔物に怯える王都民たちの悲鳴。


「シーフ兄さん!? どうしたの!?」


 マイとマーズさんが、心配して近寄ってきた。


「大丈夫だ……それより、早く避難しないと」

「避難って……?」


 困惑するマーズさん。


「魔物だ! それも大量に! 壁の外、そんで中にも!」

「魔物の大群ですって!? しかも、王都の内外に!? ど、どうやって……?」


 そうだ。

 王都は頑丈な外壁に囲まれているはずだ。


 外はまあわからんでもないが、中に魔物が進入できるわけがない。

 でも……。


「今はそれどころじゃない! 早くしないと……」

「ぎゃああああああ!」「な、なんだあれぇえええええええ!?」


 王都の中の魔物が、街の中央であるここへとやってきた。

 見上げるとそこには、巨大な、黒い昆虫型魔物がいた。


魔蟲まちゅう(S)

種族:昆虫型モンスター

固有スキル:強化外殻


魔蟲まちゅう!? そんな! 帝国で出現する魔物が、どうして王国内に!?」


 魔蟲は、巨大なカブトムシみたいな魔物だ。

 硬そうな外殻と、大きな翅を持っている。


「GIROROOROROROROOOOOOOOOOOOOOO!!!!!」


 魔蟲の咆哮が空気を振動させる。

 くそっ……。

 

 こいつも俺との相性が悪い敵だ。

 魔蟲の一体がこちらに気づく。


「マイ! やるぞ……! ……マイ?」


 振り返るとそこには、青い顔をして震えるマイが居た。


「ひぅう……うぅうう……」

「マイ……」


 ……マイは元来臆病な性格なのだ。

 現在、王都がパニックになっている。


 周りの悲鳴、逃げ惑う人たち。

 パニックが伝染し、マイを恐慌状態にしてしまったのだ。


 こうなっては、マイは戦えない……。


「マーズさん! マイを連れて逃げて!」


 一時撤退するしかない。


「で、でもシーフくんは!?」

「俺が時間を稼ぐ。早く、天与の原石にいって、状況報告して! 外にも魔蟲多数! このままじゃ外のやつもこっちに来て、王都が飲み込まれちまう!」


 大声を出したからか、近くに居た魔蟲がこちらにやってくる。

 マイが身体をぎゅっと丸くする。


 俺だって怖いさ。

 けど……俺は立ち向かう。


 だって俺の背後には、マイがいるから。

 守るべき大切な妹が居るから。


 だから……。


「おまえなんかにぃいいい!」


 俺は固有スキル縮地を発動。

 両手に鷲馬短剣グリフォン・ダガーと雷速剣を持って突っ込む。


 迫る魔蟲。

 その大きさに尻込みしそうになる。……いつもなら、どんな敵も怖くなかった。

 でも……今はマイの付与が、ない。

 恐ろしい化け物に立ち向かう力がない。

 だからひるみそうになるも、俺はぐっとこらえて敵に突っ込む。


「ゼヤァアアアアアアアアアアアアアア!」


 俺は短剣を振る。

 かんっ! かきぃいいんん!


「ぐぅっ……!」


 かってええ……。

 手がしびれやがる。なんて堅さだ……!


「GIROROOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」


 魔蟲の咆哮。

 叫び声だけで俺は吹き飛ばされる。


 そのまま地面にたたきつけられた。

 ……っつぅう。


「GIROROOOOOOOOOOOOOO!」


 今度は魔蟲がこちらに突っ込んでくる。

 凄まじいスピードだ。


 あの巨体、そして硬いからだ。

 それがもの凄い速度で突進してくるのだ。


 当たればミンチになっちまう!


「くっ……!」


 超聴覚は使えない。

 俺は勘で敵の攻撃を避ける。


 飛び退いたあとに、魔蟲が突っ込んできた。


 ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


「なんつー……威力だよ!」


 地面に巨大なクレーターができた。

 隕石でも落ちてきたのかと思った。


 くそっ!

 敵の体は硬いし、攻撃は一撃必殺だ。


奪命ヴォーパル!」


 俺は自分の必殺技を発動させる。

 ……案の定というか、敵の致命の点は、外殻の下にあった。


 つまり……やつを殺すためには、やつの攻撃をかわし、外殻をこわす。

 その二つが必要となる。


「…………」

 

 マイのサポートがない。

 俺の長所が生かせない。


 こんな状況で、俺は……。

 くそっ。奥の手を使うしかないのか。


 だがあれは……。


「GIROOOOOOOOOOOOOOOO!」


 しまった!

 考えている間に、敵が直ぐ近くまで来ていた。


 この距離じゃよけれない!

 死……。


遅延の光(レイ・ディレイ)!」


 瞬間、敵の動きがスローになった。

 これは……遅延の光(レイ・ディレイ)


「マイ!」


 逃げたはずのマイが、帰ってきたのだ。

 杖を持って、ガタガタ震えながら……。


 俺は魔蟲から距離を取る。

 遅延バフがとけ、魔蟲が地面に突っ込む。


 ……一命は取り留めた。

 マイのおかげだ……ありがとう……。


「おまえ……!」


 だが、次に湧き上がってきたのは、いかりだった。

 マイに近づいて言う。


「逃げろっつっただろ!? なんで来るんだよ!?」


 さっきのも、敵が俺をターゲットにしていたからいいものの、マイを狙っていたら死んでいた。


 俺にとって、マイが死ぬことが何よりも怖い。

 妹が大事だから。


 ……なのに、妹は帰ってきた。

 もちろん頼もしいし、うれしい。でもだ!


「兄ちゃんの言うことなんで聞けないんだ!!」

 

 俺の思いをわかってくれてるだろうに、マイが俺の言うことを聞いてくれなかった。

 だから……ついおこってしまった。


「だって! 兄さんが……大事だから!」

「!」


 俺が……大事。

 マイも俺とおなじ気持ちだった。


「兄さん……死なせたくない。兄さんが死ぬのは嫌。自分が……死ぬ以上に、怖い、こと、だから……」


 マイが俺を見る。

 身体の震えは止まっている。


家族にいさんを……わたし【も】、守る!」

「…………」


 わたしも、か。

 マイ……おまえ、いつの間に、立派になってたんだな。


 妹の闘志に、水を差す兄がどこにいよう。


「マイ……わかった。戦うぞ!」

「うん!」


 魔蟲が起き上がり、宙を舞う。

 距離を取ってこっちに来るみたいだ。

 

「GIROOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」


 敵の動きの軌道が……見える。

 超聴覚をオフにしてる、俺の耳に、彼女が一瞬だけ超聴覚をオンにしてる。


 音よりも早く、俺に力を付与。

 それにより、俺は正確に敵の攻撃のタイミングを計る。

 

 ここだ、と思った瞬間、俺の身体に力がわく。

 雷速。


 雷を付与して、速度を上昇させるスキルだ。

 マイは俺とスキルを共有してる。


 俺がスキルを使用する、と思うより早く、マイは必要なスキルを付与してくれた。


 そうか、縮地より雷速の方が速く動けるのか!

 マイはそれを勘で理解していたらしい。

 雷のごとくスピードで、俺は魔蟲の背に乗る。


「GIRO……」

「うるせえ! 雷掌!」


 手に雷がたまる。

 その状態で敵に触れると、魔蟲に電流が走る。


 一瞬の硬直。

 ここだ!


奪命の一撃ヴォーパル・ストライク!」


 敵が身体をこわばらせている。

 この状態なら正確に致命の点を突くことができるだろう。


 だが問題は、敵には硬い外殻があるってことだ。

 でも……俺は恐れない。


 俺のナイフが、外殻を砕く。

 敵の外殻はまるで、濡れた紙のように、ボロボロと崩れる。


 風化の風(ウェザリング)

 マイの新デバフ魔法だ。


 マイは俺が雷掌を発動したのをみて、敵が硬直する一瞬、風化の風(ウェザリング)の使用。

 

 俺が攻撃動作に入る前に、外殻を風化させてくれた。

 あとは一撃を叩き込んだ。


 魔蟲はそのまま地面に墜ちる。

 完全解体スキルのおかげで、素材と、スキルを獲得。


 だが……そんなもんおまけだ。


「マイ!」


 俺はマイの元へ行く。

 そして、頑張った妹の身体を、ぎゅっと抱きしめる。


 かたかた……とマイは震えていた。


「よくがんばった! よくがんばったよ、おまえ!」


 やっぱりまだマイは怖かったんだ。

 周りで聞こえる悲鳴、恐ろしい敵。


 その怖い気持ちを押し殺して、俺をサポートしてくれた。


「ありがとう……」


 マイは小さく笑うのだった。

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