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20.盗賊のリーダーも余裕で倒す



 奈落の森にある、盗賊団のアジトに潜入してる。

 俺たちはアジトの一番奥の部屋の近くまでやってきた。


 俺たちの受けた仕事は、この盗賊団メンバーの捕縛。

 雑魚は獣咆哮バインド・ボイスで動けなくして簡単に捕まえた。


「あとはこいつらのリーダーだな」


 部屋の奥から、俺たちを出迎えようとしている、リーダーの心音が聞こえてくる。

 ……あと、ちょっと嫌な音もした。


「ま、シーフ君、マイちゃんがいれば楽勝ね。シーフ君無敵だし。マイちゃん天才だし」


 ババディこと、マーキュリーさんがそんな余裕の声で言う。

 確かにマイは天才だ。が。


「俺は無敵じゃないよ。俺だって苦手なものくらいあるし」

「へえ、苦手なものなんてあるんだ? でも対人、対魔物、オールレンジ対応可能な気がするけどね」


 まあ師匠のもとで修業した結果、ある程度の事態には、対処できる。

 が、それでも苦手なシチュエーション(や相手)というものは要るのだ。


「まあ、少しね、苦手はあるよ」


 さて、先に進むか。

 そこは少し開けた空間。


 奥に置いてあるソファに、ふんぞり返って座っているのは、人狼ウェアウルフの男だった。


■シュンサツ

性別:男

種族:人狼ウェアウルフ

職業ジョブ:狩人


 人狼とは亜人の一種だ。デカイ狼が、二足歩行してるような見た目。


「おれは【シュンサツ】。よくここまでこれたな、ガキ。トラップもおれの手下もいたのに」

「どっちも大したことなかったよ」


「くっく。威勢のいいガキだぁ……嫌いじゃないぜぇ」


 のそり、と人狼の男……シュンサツが立ち上がる。

 筋肉の音、骨のきしむ音から、なかなかの強さの男であることがうかがえた。

 

 特に、全体の筋肉量は人間をはるかに凌駕してる。

 こぶしで殴られれば頭がミンチになってしまう、だろう。


 が、関係ない。俺にはマイがついてる。

 問題は……やつが使う【獲物】だ。


「おっさん、おとなしく投降してくんない?」

「ははは! 断る!」


「あっそ。じゃ、あんたを倒して捕まえさせてもらうよ」


 さっさとシュンサツを倒して、マイの杖の材料ゲットしたいからな。


「生意気なガキだ。地獄に送ってやるぜ……こいつでよぉお!」


 ずぼ、とシュンサツが自分の両腰につけた、魔法袋に手を突っ込む。

 

「マーキュリーさん! 防御魔法!」

「え? え?」


 ああくそ!

 やっぱり、マイ以外だと連携がうまく行かない!


「シーフ兄さん! いって!」


 マイが俺の意図を汲んで、俺にバフをかけてくれる。

 さすが、マイ!


 俺は縮地で敵の懐に入り込もうとする。

 だが、マーキュリーさんへの指示、マイへとの意思疎通で、2テンポ遅れた。

 

 すでにシュンサツは、武器を手に持っている。


「あれは!? 魔法銃!? しかも、魔法機関銃マナ・ガトリングガン!?」


 やはり、銃か。

 くそ! 最悪だ。


「最新式の魔法機関銃を食らいなぁあああ!」


 ドガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!!!


 くっそ。うるせえ。

 勢いよく飛び上がって、銃撃を避ける俺。


「【土隆壁アース・シェル】!」


 マーキュリーさんが魔法を発動。

 マイたちの前に土の分厚い壁が出現。


 機関銃の弾丸から、マイたちを守る。

 飛び上がった状態の俺は、そのままダガーで切りかかろうとする。が……。


「いったいいつ、銃が1丁だけだといったよぉお!」


 やつは両腕に機関銃を装備してやがったのだ。

 片方の機関銃でマイたちを攻撃、もう片方で俺を狙って打ってきやがった。


「空中じゃ避けれない! シーフ君!」

「死ねぇええええええ!」


 だが、俺は空中で、もう一度ジャンプ。

 後ろへ飛んだことで、銃弾が俺の前をかすめていく。


 俺はスキル、【空歩】を使用したのだ。

 鷲馬短剣グリフォン・ダガー装備による、装備ボーナススキル。


 二段ジャンプが可能となったため、俺は避けることができた。

 そのまま土隆壁の後ろへと戻る。


「やるじゃねえか。だが、そこにこもってちゃ勝てねぞオラオラオラ!」


 ドガガガガガガガ!!!!!!

 ああもう、うるっせえ……。


「シーフ君、どうしたの? 君が後手に回るなんて」


 普段だったら、いつも敵の前へと出る俺。

 さっきの空歩によるジャンプも、いつもだったら前に跳んでいた。


 でも、今は壁の後ろに隠れている。


「シーフ兄さんと、敵の武器……相性が、悪いんです」


 さすが有能な妹、俺の弱点を、よく理解してる。


「相性……そうか! シーフ君は耳がいいから、ああいった、激しい音のする武器が苦手なのね!」


 マーキュリーさんの言うとおりである。


「魔法銃は火薬の代わりに爆発の術式が付与されてて、それで銃弾が押し出される仕組みになってる。爆発するときの大きな音は、シーフ君の耳に大ダメージを与えちゃうのね」


 だから、対策として超聴覚を完全にオフにしてる。

 が、そうすると、今までみたいに音から敵の攻撃を予想するということができなくなるのだ。


「これが弱点……ああもう、どうするの!? あたしは防御で手いっぱいだし、マイちゃんは付与術師だし、フェンが攻撃しようにもここは狭いし……」


 つまり俺が、奴を倒さないといけないわけだ。

 土の壁は今も銃弾の雨によって削られていってる。


「おらおらどうしたぁ!? 威勢だけかぁ!? 腰抜けぇ!」


 誰が腰抜けだ。

 俺はマイを見る。


 妹は、こくんとうなずいた。

 妹ができる、といったのだ。(口には出してないけど)


 なら、兄ちゃんは信じるだけ。


「いってくる」

「うん!」


 俺は勢いよく、壁から飛び出す。


「ちょっとぉ!? ハチの巣になっちゃうわよぉ!?」


 マーキュリーさんが大声を出す。

 超聴覚はオフにしてるので、耳が痛くなることはない。


 確かに何の対策もなく突っ込めば、魔法機関銃でハチの巣になっているだろう。

 が。


 俺は怖くなかった。

 後ろに、マイがいる。優秀な妹のサポートがある。


 だから、俺は恐れず前に跳びだすことが出来る。


「死ねぇええええええ!」


 銃弾の雨が俺の体を穴だらけに……する前に、俺は回避する。


「なんだとぉお!?」


 機関銃から吐き出される大量の銃弾を、俺はかいくぐりながら前に進んでいた。


「ば、馬鹿なぁ!? 貴様、銃弾の軌道が読めてるとでもいうのかぁ!?」


 シュンサツが俺に銃口を向け、銃を乱射しながら尋ねてくる。

 俺は答えない。答えは目の前にあるだろう?


「く、くそぉ!」


 銃の弱点。

 それは近づかれると銃が当たらないってことだ。


「せやぁ!」


 キン! キン!

 

「銃口を切断した。これで終わりだ」


 にぃ、とやつが笑う。


「ばーかがぁ! 銃がだめならこぶしがあるんだよぉお!」


 持っている銃から、シュンサツが手を放す。

 なるほど、肉弾戦に切り替えるつもりか。


 確かに、ぶっとい腕から繰り出されるパンチは強烈だろう。

 まあ……。


「死ねえぇ!」


 がっ!


「な!?」


 やつの腕に阻害の茨(ソーン・バインド)が巻き付いてる。

 シュンサツの動作が途中で止まる。


 マイが土の壁から出て、相手にデバフをかけていた。


「うぐ!? くそぉお! ほどけねえ! なんだこれよぉ!」

「無駄だよ。マイの茨は、ほどけない」


 人狼の腕力をもってしても、茨はちぎれることはなかった。


「どうなってんだてめえ!? なんで急に避けれるようになった! 耳のいいガキがよぉ!」


 耳がいいってどうしてこいつは……?

 いや、それはいいか。


「マイがスキル付与を使って、銃の音から俺の耳を守ってくれたんだよ」


 マイがやったのは単純だ。

 超聴覚のバフ。これだけである


「俺がまず超聴覚をオフにしておく。で、マイが俺にスキル付与で超聴覚をバフしてくれてたんだ」

「はぁ!? おかしいだろうが! じゃあてめえは銃弾の発砲音で、耳が潰されてるはずだろうが!」


 そう、ここからマイのすごいところだ。


「マイは発砲音がする一瞬だけ、スキルをオフにしたんだよ。爆発の術式が発動し、すごい音がするその一瞬だけオフ。で、爆発が終わり銃弾が吐き出される前に、超聴覚を俺に付与。銃弾が風を切り飛んでくる音を強化した耳で聞いて、避ける」


 唖然とするシュンサツ、とマーキュリーさん。


「ま、マイちゃんそれ……ほんとなの?」

「はい!」


 さっすがだぜマイ。

 なんて見事な付与なんだ。


「「いやいやいやいや!」」


 なんでか二人が首を振る。


「それはおかしい! だってそれ、音速より早く、マイちゃんが付与をオンオフしていたってことでしょ!?」

「えと……はい。音速で付与、できます……けど? なにか?」


 マイならそれくらい出来るぜ。


「し、信じられねえ……このナイフのガキより、そこのメスガキのほうが人外……ぶげえ!」


 俺はシュンサツの顎を、蹴り上げる。

 がくん、とやつが気絶する。


「マイのこと、メスガキとか言うな。失礼だろうがぁてめえ!!」

「怒るのそこなんだ……」


 ま、なんにせよだ。

 マイのおかげで、俺はピンチを脱出できたのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] え、つまりマイは 『音が届く瞬間』を見きっていたことに?
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