17.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
岩を割る修業の最中。
何度も挑戦してるが、一向に割れる気配がしない。
「ぜえ……はあ……ぜえ……」
俺の両手はすでにボロボロだ。
何度も手刀や、拳で岩を叩いてるのだ。こうなるのはしょうがない。
「…………」
リリア院長は姿を現さない。
マーキュリーさんもだ。
多分リリア院長は、マーキュリーさんが俺のもとへくるのを止めているのだろう。
ありがたい。俺は、あの人を、困った顔にさせたくないのだ。
あの人は優しい人だ。他人の痛みが分かる人なのだろう。俺に痛い思いをして欲しくないという音が、彼女から伝わってくる。
俺は……そんな優しい彼女に、心配させたくないのだ。……まあ、修業現場を見て無くても、彼女は心配してるだろうけども。
【変わったわね、君】
天の神の声が響く。その姿はこの場にない。空の上に彼女は住んでおり、耳の良い俺にしか、彼女の声が聞こえない。
「変わった?」
【君……昔は、妹のこと以外どうでもいいって思ってたでしょう?】
「そりゃ今もそうだよ」
【そんなことないよ。君は……あのマーキュリー? とかいう魔女のことを気にかけてる。妹以外のことをね】
……言われてみると、そうかもしれない。
今までマイ以外の心配なんてしてこなかった、ような……。
【妬けちゃうわ。あたしはこんなに君を思ってるのに、君は振り向いても、心配してもくれないのに】
なんだか拗ねてるように、聞こえた。神のくせに、人間っぽい反応するじゃあないか。
【ふんだ。君のことなんて知らないよ。あたしの力を借りようとしないし】
「そりゃ……これは俺のチカラだけでやらないといけないことだし」
神の声が、聞こえなくなってしまった。吐息から、不機嫌さが伝わってきた。
なんなんだあいつ……。
……。
…………。
………………なんか、しちゃったかな。
「なあ?」
【なぁにっ?】
居なくなったんじゃあなかったのかよ……。
【なぁに? なぁに?】
……変な奴だこいつ。
「俺、お前を怒らせるようなことしたか? ……だとしたら悪かったな」
【!?】
なんか、とんでもなくびっくりしてる音がする……。
「どうしたんだよ」
【い、いや……君がまさか、そこまで心配してくれるなんて思わなかったから】
別にそこまでしんぱいしてねえけど……。
【でも……えへへ♡ うれしいなぁ。君があたしのこと気にかけてくれるのっ。初めてじゃない?】
「んなこと………………………………………………あるかも」
【そうだよ! 今まで君は、妹! 妹! 妹! だったじゃん】
……そうかも。
冒険者となって、天与の原石にいって……マーキュリーさんやギルマスなど、優しい人たちとであって。
マイ以外の人たちと、出会って。俺は……変わったのかも知れない。
【かも知れない、じゃあないよ。君は変わったよ】
「…………」
人からそう言われて、俺は初めて、自分の変化に気づけた。特に、幼い頃から側に居た、こいつが……。
こいつ……。
「なあ、あんた。名前……なんつーんだよ?」
【今……!? 今更!? 聞く!?】
「うん。名前あんだろ? おしえてよ」
【~~~~~~~~~~!】
神のやつからは、色んな音が聞こえてきた。怒り、ってのもあるんだけど……不思議と、喜びの音も聞こえてくるのだ。
その二つがごっちゃになっていた。色々思うことがあるんだろう。
【いいっ? あたしの名前……おしえてあげるけどだれにもおしえちゃ駄目よっ?】
「? ああ」
神のやつが、名前を言う。
【インドラ。あたしの名前は……雷神インドラ】
……ふぅん。
「なんか、いかつい名前だなおまえ」
【なによ、変?】
「いや、かっけー名前だな」
【ぬへへっ♡ そうかなぁ~♡】
……名前を褒めたくらいで、すっごく喜んでいた。そういう反応を示すやつもいるんだな。
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