特効薬3:SNS
あなたが小説投稿サイトに、自身の『幻』を書き写して数年が経ちました。
わたしシナプスは考える。
あなたの『感情』は少し欲張りさんになって来ていると。良いことだと思います。だって、それはあなたが生きる方向へ線路を繋いでいるということ。
わたしシナプスにとっても、喜ばしいことです。もう二度と身体くんを傷付けたりなんかしないでくださいね……痛かったんですから。
怖い声も薄らいで、好きな曲もどんどん増えたあなたは、誰かとお喋りしたいようだ。でも、誰もそばに居ない。寂しいですね。私もです。
……おや、どうやら『SNS』というモノがあるみたいですね。そこでは様々な人が情報を発信して、語り合っているらしい。どうします?
ふふ、ここは『勇気』の信号を送りましょう。特別ですよ。あなたの指を動かしてあげます。画面に情報入力している君は顔が真剣だ。
私もドキドキしてきました。
登録完了。
さて、何を呟きましょう。あなたが完成させた小説について語って見ます? あぁ。あなたの始まりの歌手について呟くのですね――――って。わー、リツイートされた! 速い。
bot……何でしょうねぇコレ。とりあえずフォローしましょうか。どうやらそこからファンの人たちがわたしたちを認知してきたみたいです。少しずつ賑やかになってきました。
すみません。わたし、二つのことに信号を送るのは苦手で。アカウントは一個までにしてください。ここでは、あなたのアカウントの趣旨が二転三転します。
好きな歌手のアカウントだったのが、小説投稿サイト専用アカウントになったり。
あなたは愉快な人たちや難しいことを考える人たちとお喋りし、満足そう。いいですね。私も勉強になります。古臭い頭の凝りもだいぶほぐれてきました。
絵やポエムを投稿しては反応を貰えるという、『喜びの感情』は日に日に増していきます。本当に、長いこと使っています。あなたは自身の病気のことなど忘れて、文字を打つのに熱心だ。
でも、ある日ふとあなたはやる気をなくす。わたしシナプスは心配です。
小説も書けない。SNSでの活動も。疲れた時が来たんですね。そりゃそうです。一気に走りだしちゃったから。
そんな時は動画でも観ましょう。気の向くままに。すみません。わたしシナプスはあなたの今後の未来を予言することはできない。でも、あなたは素晴らしい感性の持ち主だ。きっと何かを見つける。
再び、点と点が散らばる。
わたしシナプスは繋げますよ。あなたと一緒に。気楽に生きましょう。時間はたっぷりとありますから。