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怪盗団フォックスの暗躍  作者: くろの那由多
第2章 迷宮都市サジッタにて
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第087話 ジョシュのおすすめ

 アーリエスで一波乱あった事なんて全く知らないリージョたちは、ようやくサジッタに着こうとしていた。


「やっと着いたぁ」

 リージョが大声で叫んだ。

「かなり遠かったし、魔獣も出てくるわで、結構大変な旅路だったわね」

「まぁ、そのおかげで異界の力の使い方も分かってきたし、シェリーだってニードルの命中率上がったんじゃないか」

「そぉ?」

「そんな事よりもさっさと宿屋を決めようぜ。俺は早くサジッタの料理を食べてみたいんだ」

 すっかり料理長が板についてきたトレルだった。



 トレルの発言で、宿屋探しに出たリージョたちだったが、結局前回と同じ宿屋にする事になった。


 宿屋を決めたリージョたちは、ダンジョン潜りを明日からにして、今日は必要な物の買い出しが終わったら、各自、自由行動にする事にしたようだ。



 リージョ & シェリー’s ビューポイント――――


「あとはポーションを買って終わりだね」

「そうだな」

「ねぇねぇ。その後、何かお土産みたいなのを見に行かない?」

「えぇ~。ここ物価が高いんだぜ」

 リージョとシェリーがそんな会話をしながら、店を見て歩いていた。


 その時、2人の前方に見た事のある顔の人物が現れた。

「今度は、その女を連れてのダンジョンか?」

 それは、ここのギルドのサブマスターをやっているジョシュ・ファロンだった。

 リージョは、なぜか警戒するかのような顔つきで、シェリーの前に出て緊張しながら話した。


「偶然、見かけただけだ。そんなに警戒する事はない。ほぅ、そっちの女はニードルの投擲か」

 ジョシュは、リージョの後ろに隠れているシェリーの腰にあるベルトを見て、そう言った。


「どこのダンジョンに潜るか決まっているのか?」

「まだ決まってないですよ。みんなの欲しい属性がバラバラで」

 リージョは警戒しながらも、実際どこにするか決まっておらず困っていたため、言葉を選びながら内情をジョシュに話した。



 ジョシュは顎に指を添えて、少し考えてから話し出した。

「それなら、ランダムダンジョンと呼ばれている所がいいかもしれないな」

「ランダムダンジョン!?」

「あぁ。その名の通り、どんな属性の魔獣が出てくるか分からないダンジョンさ」

「以前、ダンジョンに潜った感じだと、同じ属性の雫が手に入るように思えたけど、違うダンジョンもあるんだな」

 リージョがへぇ~っといったような顔をしながら言った。

「まぁ、参考までに」

 ジョシュはそこまで言うと、フッと軽く笑って去っていった。



「どうするの?」

 リージョの後ろからシェリーがひょこっと顔を出して聞いてきた。

「ん?あぁ。悪い話じゃないと思うけどな。ロイたちにも話してみよう」


 そんな事があり、リージョたちはこの後ポーションを買うと、ロイたちと合流するために宿屋へと向かっていった。

 リージョとのショッピングがなくなってしまったシェリーが、終始不満顔だったは言うまでもない。


 宿屋に到着すると、トレルもロイも戻っていた。

「なぁ、潜るダンジョンの話なんだけどさ……」

 リージョは、ロイたちにジョシュとのやり取りを伝えた。



「と、まぁそういう事なんだけど、どう思う?」

「今の俺たちに、ちょうどいいダンジョンだな」

「だけど、あのジョシュが言ってきたんだぜ?何かあるのかと」

「確かに怪しいといえばそうだけど、他にアテもないし」

「俺はダンジョン初めてだから、お前たちの判断に任せるぜ」

 リージョからの提案に2人とも反対するわけでもなかったため、潜るダンジョンはランダムダンジョンと決まった。



 翌朝。

 朝食をとったリージョたちは、ランダムダンジョンの入り口の前に立っていた。


「昨晩も話したけど、基本的には俺とロイで倒していくよ。トレルとシェリーは安全第一で」

「赤眼の魔獣は強いから、出てきたら気をつけて」

「わ、分かった」

 リージョとロイから念を押されて、シェリーの緊張の度合いが増す。

「赤眼の魔獣を倒したら、俺が体を掻っ捌いて、異界の雫を取り出せばいいんだな」

 さすがは年長者のトレル。

 初めてのダンジョンだというのに落ち着いているように見える。


「それでは各自、つつがなく」

「また……。言いたいだけだろ」

 リージョの発言にロイが呆れている。



 ランダムダンジョンに入り、まっすぐ進んでいくと、Y字の分かれ道に出た。

「リージョ、地図」

「え?俺、持ってないぞ」

 ロイの言葉に、リージョが返した。

「なんでだよ!」

「地図買ってこいなんて、言ってないだろ!」

「お前がここのダンジョンの話を持ってきたんだろうが!」

「話を持ってきただけで、その時点では確定してなかったじゃんか!」

「まぁまぁ。まだ入ってまっすぐきただけだし、戻ればいいじゃん。ね」

 2人の言い合いに、シェリーが仲裁に入った。


「チッ!」

「チッ。じゃねぇよ!」

 ロイの舌打ちに、リージョがまた噛みつきそうになった。


「「!!」」

 その時、リージョとロイが同時にダンジョンの奥へと目をやった。

「どうした?2人とも」

「何かいる」

 トレルの問いにリージョが答えた。

 リージョの言葉に、トレルとシェリーが慌てて武器を構えた。



 ザック’s ビューポイント――――


 ザックがギルドの事務所にいると、向こうからジョシュがニヤニヤしながらやってきた。

「何か面白い事でもあったんですか?」

「ん?大した事じゃないさ。あぁ、そうだ。例のアーリエスからの客人、またダンジョン潜りに来てたぜ」

「またですか。力をつけすぎるのも困るんですけどね」

 ザックが渋い顔をしながら言った。


「それで、今回はどこのダンジョンに行くって言ってましたか?」

「迷ってるようだったから、ランダムダンジョンに行くよう勧めておいたぜ」

「なっ!ランダムダンジョン!?何故ですか!!まだ素人同然ですよ!」

「いろんな属性が出て、お手頃だろ?」

「確かにいろいろな属性が出ますが、ほとんどが赤眼ですよ!」

「あぁ、そうだったな。さて、どうなるか」


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