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怪盗団フォックスの暗躍  作者: くろの那由多
第1章 アーリエス近郊にて
20/123

第020話 リーンの目標

 地下室でフォックスのみんなと大騒ぎした次の日の夕方。


「あ~あ、今日も普通の仕事かぁ」

 そう言いながら、リージョが家を出ると、家の前の通りにコインが1枚落ちていた。


「おっ、ラッキー。今日はいいことがあるかな?」

 そう言って、コインを拾い上げ、ポケットにしまった。


 ピピピーッ!


「こらっ!そこのコソ泥!!」

 ついついビクッとなるリージョ。


 リージョが振り返ると、女性警官がこっちに向かって歩いてきていた。

「たかが1ディアだとしても、拾ったら警察に届けないといけないんですよ」

「はいはい。ところでなんで俺が拾ったのが1ディアだって分かったんですか?まさか、あんたがコインを置いて、拾わせようと仕掛けたんじゃないんですか?」

「なっ、失礼な!私はそんな事はしません。1ディアだって言ったのも適当に言っただけです!」

 女性警官がムキになって言い返してきた。


「これから用事があるので、とりあえずこの1ディアはあなたに預けますね」

 リージョはそう言うと、指でピンッとコインを高々と弾いた。


「あっ」

 女性警官は、宙に舞ったコインに気を取られてしまった。

 女性警官の手にコインが落ちてきた時には、リージョはもういなかった。

「アイツめ~。次に会ったら懲らしめてやるんだから」



 リージョ’s ビューポイント――――


「ふぅ、厄介なのにからまれたな」

 そう言いながら、『暗夜の灯火』の裏手に回り、店内に入っていった。


「リージョ、来たか。少し遅刻だぞ」

「すみません。変なのにからまれてちゃって」

「まぁいい。1番席さんがお待ちかねだ」

「指名ですか!?行ってきます!」


「いらっしゃいませ。お待たせしま……し……た」

 リージョの接客相手は、またしても孫と上手くいっていないというおじいさんだった。



 リーン’s ビューポイント――――


 私は、リーン・ジンジャー。

 アーリエスで警官をしているの。

 といっても、まだ警官になって間もないんだけどね。

 アーリエスは、そんなに大きくない街だけど、なかなか活気もあっていい所だと思ってる。

 ただ、泥棒や悪い組織がチラホラいるのが残念なところかな。

 私も警官になったし、そんな悪いやつらを片っ端から捕まえて、この街をもっといい所にしていくんだ。

 特にフォックスっていう泥棒。

 義賊だなんだと言われているけど、結局は金品を盗んでるんじゃない。

 正義のヒーローみたいな顔していても、やってる事は悪い事なんだから。


 夕方に出会ったコソ泥なんか目じゃない大物を捕まえなきゃ。

 といっても、そのコソ泥にも逃げられちゃったんだけどね……。



 今日の勤務を終えたリーンが、更衣室で着替えて警察署から出てきた。

「よっ。今上がりか?これから何か用事でもあるか?」

 警察署の門の所で、同期のトール・ホイッスルが声を掛けてきた。

「別に何もないけど、どうしたの?」

「お互い明日は非番だし、飯でも行かないか?」

「いいけど、私、今日、機嫌が悪いわよ」

「よし!そういうことなら、今日は居酒屋でパァーっと飲もう」

 そう言うと、2人は、とある居酒屋へと向かって歩いていった。



「いらっしゃい!お2人様ですか?」

 トールとリーンが店内に入ると、がっちりした体の男が声をかけてきた。

 トールが頷くと、男は2番席へと案内した。


「へぇ~。ここ個室になってるんだ。来たことあるの?」

「一度、先輩に連れてこられてな。マスターはあんなごつい感じだけど、料理もおいしいし結構いい所だと思うぜ」

 そう言いながら、2人でメニューを見始めた。



「すみませ~ん」

「は~い。ただいま」

 注文するためにトールが店員を呼ぶと、イケメンのウェイターが現れた。

「何にしますか?」

「刺身の盛り合わせと、ポテトフライと、骨付きチキン。とりあえず以上で」

「はい。少々お待ちを。あれ?お客さん、以前にもご来店されました?」

 ウェイターがトールに話しかけてきた。

「記憶力いいね~。少し前に会社の先輩とね」

「今日はきれいな彼女さん連れですか」

「いやぁ~。あっはっは」

「ちょっと!」

「では、しばらくお待ちくださいね」


 リーンが口を挟んできた辺りで、ウェイターは厨房へと戻っていった。

「いつから、私があなたの彼女になったのよ」

「まぁ、いいじゃないか。話の流れだよ」

「別に否定すればいいだけじゃない!まったくもぅ!」

 リーンは、むくれて横を向いた。


「そんなに嫌なのかよ……」

「ん?なに?」

「いゃ、なんもない」

 トールは、少ししょぼくれてしまった。



 ロイ’s ビューポイント――――


「カールマン。2番さん、サツだぜ。女の方は分からないが」

「そうか。気取られるなよ」

「前回、俺がいろいろ聞き出してるから、今回も俺が根掘り葉掘り聞くと怪しむかも」

 カールマンは、2番席から戻ってきたロイからの報告をカウンターで聞きながら辺りを見回した。

「1番にリージョが行ってるから、戻ってきたら行ってもらおう」

「1番。あぁ、じいさんか」



 そんなやりとりをしていると、ちょうど1番席から疲れ切ったリージョが出てきた。

「リージョ。次、2番席の料理ができ上がったら行ってくれ」

「えっ?」

「1番席脱出だな。ヘマするなよ」

 ロイが親指を立てて、言ってきた。

「お、おぅ」

 疲れた表情をしていたリージョの顔がやや緊張気味になってきた。

 それもそのはず、リージョは1番席以外の接客をまだした事がないのだ。


「とりあえず厨房の中に入って、ロイから状況を引き継いでおけ」

 カールマンに言われ、ロイとリージョは、厨房の方へと入っていった。


【読者の方々へ】


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