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怪盗団フォックスの暗躍  作者: くろの那由多
第3章 医療都市コピスにて
114/123

第114話 フォックスの戦後処理

 翌日の10時。

 作戦が決行された。


 トレルとロイが、偽の委任状を持って、ディアックに入っていった。

 受付の者は、その委任状を見ると、すぐに担当者を呼びに行った。



「以前、お預かりした時には、当分引き出す予定はないとおっしゃっておりましたが、どうされたんですか?」

 担当者は、不思議そうな顔をして言った。

「我々も委任状の通り行動しているだけなので、詳しくは知りません。ただ、更に上からの指示とだけ」

(やっぱり分配する気がなかったんだな)

 ロイは担当者に答えながら、そう思った。


「ただ、これだけの額ですので、委任状だけでは……。一度、こちらから確認を取りたいと思います」

(おい。マズいぞ)

 トレルが焦りの表情で、ロイを見た。

「あっ、もうこんな時間だ。早くレイブンに届けないといけないのに」

「えっ!?レイブンが関わっているのですか?」

 ロイが声を上げると、担当者は驚いた様子で聞いてきた。

「えぇ。魔獣を撃退した報酬をよこせって。時間に遅れると、ここにも乗り込んでくるかも……」



「そうですか。分りました……。外に停まっている馬車に乗せればよろしいのですか?」

「えぇ、お願いします」

 担当者は少し考えてから、人手を集めて、1億ディアを何袋かに分けて、持ち出してきた。


「すみませんね。助かります」

「いえ。レイブン相手じゃ仕方ない面もありますから。ですが、念のため、お二人のサインを頂いてもよろしいですか?」

「もちろん、構いません。が、私たちは配属されて間もない身です。ディアック様の方に登録はされているかどうか……」

 ロイは内心焦りながら、しかし、表情には出さないで話した。

「大丈夫です。何かあった時に、ご連絡差し上げるだけですから」

(何かあるんだけどなぁ)

 トレルは、そんな事を思ったりしていた。



 そんなこんなで、バタバタしながらも、何とか2台の馬車に各1億ディアずつ載せ終わった。


「これで、間に合いそうです。ありがとうございました」

 ロイは言葉少なめに颯爽と出発していった。

 それに続いて、トレルも出発した。


 その後、トレルは念のため、遠廻りして『暗夜の灯火』に帰ってきた。



 ロイ’s ビューポイント――――


「さて、そろそろ顔を隠すか」

 ロイはそう言って、素早くキツネの仮面を被った。



 仮面を被って暫くすると、レイブンの事務所に到着した。

 馬車を事務所前に停めると、レイブンの下っ端が出てきた。

「おぅ。ここをどこだと思って、停めてんだ?」


 ドゴッ!


「うるせぇ」

 ロイは、馬車から飛び降りるなり、下っ端に跳び蹴りを食らわした。

「ニーを呼んでこい」


 蹴られた下っ端は、慌てて事務所の中に入っていった。

「親分、フォックスのヤツが来ました!」



 暫くすると、ニーがケリーたちを引き連れてやってきた。

「1人で殴り込みか?何の用だ?」

「コピスからの賠償金を、軍部がネコババしようとしてたから、奪ってきた。これは、討伐者たちの分だ」

 ロイが荷台をポンポンと、叩きながら言った。


「随分と気前がいいな」

 ニーが荷台をチラッと見てから言った。

「レイブンの名を使わせてもらったから、気にするな」

「役に立ったなら、なによりだ」

「総額で1億ディアある。どう分配するかは、お前に任せる。じゃあな」

 ロイはそう言うと、馬車を残して走っていった。



 ニー’s ビューポイント――――


「よし、軍部のヤツらが気づく前に片付けるぞ。ケリー、参加者の名簿と生死を調べて、持ってこい」

「はい!」

 レイブンたちも討伐者たちへの分配に動き出した。



 トレル’s ビューポイント――――


「これで、最後の一袋っと」

 トレルはそう言いながら、金の入ったかばんを地下室に降ろしてきた。


「カールマン、いつ配るんだ?」

 戻ってきていたリージョが、目を$マークにしながら聞いてきた。

「ちゃんと分けるから、焦るなって。とりあえず、今日の開店準備をしててくれ」


 こなしたミッションによって、金額を変えるようで、カールマンは地下室で一生懸命計算し始めた。



 暫くして、カールマンが地下室から出てきた。

 多少の差はあったが、全員1,000万ディア以上の報酬をもらった。

「金は地下室に置いてあるから、今晩、持って帰ってくれ」

「んじゃ、今日は宴会にしますか?」

「宴会もいいけど、ホムラの犠牲の上に成り立っている事も覚えておいてね」

 言い出しっぺのトレルがシュンとした。

「分ってるって。だからこその宴会だよ。ありがとなって気持ちを込めて。な」

 リージョがトレルをフォローして、シェリーに言った。


「ならいいけど……。って、もう飲んでるじゃん!仕事前だよ!」

 リージョの片手には、カクテルグラスが握られていた。


 ちょうどその時、裏口が開く音がした。

 アスティンたちが出勤してきたのだった。


「あ~!もう飲んでる!」

 アスティンからもリージョに注意の声が飛んだ。

「今日は、ホムラを偲ぶ会だ。カールマンからもオッケーが出てる」

 一同がカールマンを見た。


「分かった分かった。今日だけだぞ」

 こうして、今日は、開店前から宴会が始まっていった。



 ちなみに翌日、討伐者たちに報酬が配られた。

 それがニュースになり、不審に思ったジョシュアが確認したところで、事の次第が発覚したようだ。


【読者の方々へ】


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