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五話 彼を慰めました
五話 彼を慰めました
要はその後のことをあまり覚えていない。画角からエスパーダを外すために、資料を捨ててパソコンを動かしたことだけは覚えていた。
気付いた時には会議が終わっていて、エスパーダが心配そうに要を見ていた。
「俺、どうしてた?」
「私のことを聞かれないために要が会議を回して、みんなに一切発言をさせなかった。さすがに別の人の番になったら課長さんに叱られて、それから要は一切喋らなくなった」
要は項垂れた。エスパーダから聞いた態度では要が確実に何かを知っていると思われているはずだ。話を受け流すのも限界があるだろう。
「要、私は大丈夫だよ。いざとなれば隠れるところはいっぱいあるから。人間が来たって見つからないよ」
そうは言うが、エスパーダは人間に見つけられたから要と同棲しているのだ。説得力がない。
「想達に相談してみよう」
「うん」
エスパーダのテンションも下がった。それを見て、早く解決案を見つけなければと要は思った。




