最終話 魔竜王って何ですか?
最終話 魔竜王って何ですか?
リモート飲み会の話題はほとんどゲームについてだった。
初ガチャまでの流れや良いキャラを引くまでやり続けるリセマラ。そして肝心要の『エスパーダと愉快な下僕達』への加入方法など。
都は堂々と要達の目の前で二つのスマホを操作して、ギルドへの登録を完了した。おそらくどちらか一方は想のスマホだろう。要はそこに触れないことにした。ちなみに二人は要と同じロールを選んだ。
「エスパーダ以外人間か。ねえ、小人でゲームやってくれそうな人はいないの?」
都の提案にエスパーダは驚いていた。
「そっか。あいつらを巻き込めば良いのか」
「ちょっと待って。師匠は無理なんじゃ……」
「黒星はね。後、五人はいるから大丈夫」
エスパーダはやる気を見せている。要はまだ元彼がいるのかと心配になる。
「要、師匠って誰?」
都の目がすわっている。ゲームをプレイしながら飲んでいたので、並んでいた缶はすでに空になっていた。
都が酔い始めているのを感じながら、黒星について説明をした。その間カメラ目線でガンを飛ばしていた。
要が説明をしていると、想が戻ってきた。都の注意が想に向かい、中断するしかなかった。
みんなが注目する中、想は都よりも画面越しにいる要に注意を向けていた。
「画像や動画はなかった」
要はそれを聞いて、エスパーダと顔を見合わせ喜んだ。
しかし想の話はそこでは終わらない。
「近々、魔竜王がお前の家を襲撃する」
「は?」
「魔竜王?」
要とエスパーダの目線が画面に戻る。
「迷惑な動画配信者だ。要の家にアポなしで行く相談をしていた」
要の表情が強張った。
「向こうの予定が決まったら教える」
そう言うと想は飲み会に参加する。
要は気持ちの切り替えが出来ず、その後酔えなかった。




