7話 鳥に運ばれて
鳥に捕まり現在空の旅を満喫中。どこに連れていかれるのかなーと思いつつ、暴れて落ちたら即死なこの状況で何ができるかと考えたところ、目に移ったこの景色が思いのほかきれいだった。つまり僕は今、鳥に捕まっている状態で景色を見て楽しんでいる。
今頃ゴードンたちはカイル達と合流して僕を追ってきてくれているのだろう。向うは必死で僕は呑気。このことは絶対に言わないでおこう。景色がきれいだったなんて…。
しかし、子供だからといって人間の子供を連れ去れるレベルの鳥なんて見たことも聞いたこともない。いったいこの鳥は何なのだろ
うか。魔獣であるなら連れ去るなんて考えはなく、その場で食われるからこの鳥はこの森にもともといた鳥なのは確実だ。であれば、特に害はないのではないか?甘いと言われるかもしれないが、現在状況的に身動きのできない僕からすれば、そうとしか思えない。では
この鳥の目的は?
1つ、この森の支配者で危険だから森の外へ逃がそうとしてくれている。
1つ、巣に運んで何かされる。(食料としてならすでに殺されているはずなので危害を与える気はない)
1つ、誰かの使い魔?ペット?で僕に会いたい人がいる。
ぱっと思いつくのはこの3つかな。まぁでも2つ目はほぼないだろう。ならなんで目的の中に入れてるんだって話になるね。
だから1つ目と3つ目のどちらかの可能性が高い。1つ目ならこの鳥のためにも魔獣討伐を完遂する必要があるだろう。だって助けてくれるわけだしね。恩は返さないと。
3つ目の場合だと、なぜこの森に魔獣が出てきたのかを知っている人物であるのは間違いないではないだろうか?この状況で連れていかれるならほぼ間違いないだろう。
さて、どっちなのか・・・。
そして考えが一段落ついたところで顔を上げると、微かに火がついてる小屋があった。考えていたことの斜め上をいく展開に頭が真っ白になる。
これはどういうことだろう。とまた考え込んでいると急に浮遊感に襲ってきた。そして地面に体がぶつかる。
かはっ!!
目の前が一瞬真っ白になって視界がクリアになるにつれ足と肩に痛みが…
あぁ、地面に落とされたのか。と理解する。
そして体を起こすと鳥はこちらをのぞき込んでいた。
(いったい、何が目的なんだ)
しばらく鳥と睨めっこをしていると、鳥が視線を小屋のほうへ送る。そして僕のポケットに入ってある風の石を突き、また小屋へ視線を送る。
小屋は、所々から火が出ていて今にも燃え広がりそうな状態だ。
そうして僕はひとつの答えに至った。
(つまり、あの小屋に属性石があると、そう言っているのではないか?)
ならば僕の行動は一つだけだ。立ち上がり小屋へと足を進める。ちらっと後ろを振り返ると、鳥は満足したように飛び立った。
(あの鳥は僕をここまで連れてきただけみたいだ。しかしどうしてなんだろう。急かしているのか?時間がないとか?分からない。)
ゴードン達も急いで鳥の後を追ってきているはずだ。それに鳥の行為を見る限りゴードンたちもここへ誘導してくれるだろう。ならば先に属性石を手に入れておこう。
しかし、微かに燃えている小屋。しかしこれ以上もこれ以下にも燃える気配がないのは少し不気味だ。石の力だというのなら取った
ときこの火はどうなるのだろうか。
小屋の前に立ち少し考え込む。
小屋の中に入れば石はすぐ見つかるだろう。ならばとった瞬間崩れてもいいように、退路を確保しつつ進めば安全か?
そうして僕は、気合を入れて小屋のドアを開ける。