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6話 風の石の元へ

「ところでレオ。光の石はいつ回収するんだ?」

 「それ!私も気になってたの。火の石の次は光の石なんじゃないの?なんで戻るの?」

 カイルの発言に便乗してきたアイリ。絶対今カイルが言って気づいただろ。

 「2人とも馬車から降りて進んでいるときに気づかなかったのか?光の石のある洞窟あっただろ。」

 

 そう、光の石は僕たちが降りた馬車のから森へ少し進んだ場所にある。流石に2人とも気づいていたと思って何も言わなかったのだ。まさか気づいていないとは…。


 「ならどうして先に回収しなかったの?」

 「洞窟だからね。灯りが必要なんだよね。先に回収するとなると灯りも荷物に入れなくてはいけないし、その先も持っていくには邪魔でしょ?だから最後にしたんだよ。」

 「別に最後にしなくても最初に回収して戻って荷物おいてから改めて出発してもよかったんじゃないの?」

 「アイリもしかして忘れてない?最初に水の石を取りに行きたいって言ったのはアイリだからね?」

 「…そうだったかしら?まぁいいじゃない。」

 

 そういいつつ視線を逸らすアイリ。昨日の事があって心配していたけどこの様子なら大丈夫そうだ。


 しばらく進んでいくと道の細い場所についた。下を見ると地面が見えない。かなり深いようだ。

 「お嬢様方、ここを登った先に目的の風の石がございます。しかし道中はとても危険です。できれば3人のうち誰かお1人来ていただきお2人はここで待っていて頂きたいのですが。」

 ゴードンの提案に僕は少し考える。

 (1人だけ行くのはきっと危険を冒してでも取りに行ったという事実が欲しいから。護衛に任せていたばっかりに剣に見放されてはいけないと考えたのだろう。となると選ばれし者の最有力候補はアイリなわけだが、危険すぎるし恐怖で足を滑らしたらそれで終わりだ。カイルが行くとなるとアイリはどうするだろうか。一緒に付いていくって言うのかな。微妙なところだ。しかし僕なら無理を言ってまでついてこないだろう。ならやはりここは…)


 「なら僕が行くよ。カイルとアイリはここで待っててすぐに戻ってくるよ。」

 「しかしレオ、体力面なら俺のほうがっ」

 危険があるから一番実力のある俺が行くべきだと主張するカイルに僕はアイリへと視線を向けた。カイルはその意図を察してくれて、”そういうことなら仕方ないな。”と僕が行くことに決まった。


 人1人が通れる道をゴードンと僕、そしてヨハネスの3人で進んでいく。ヨハネスはゴードンの所属する軍の人で入隊してまだ3年しかたっていないが、既に軍の中では中堅に位置するほどの腕前らしい。このたびの中では1番下みたいだけど。

 前をゴードン、その後ろに僕、そして最後をヨハネスという形で進んでいる。時々足場が少し崩れるのだけど…そのたびに足がすくんでしまう。怖いんだからしょうがないだろ。


 そうやってビックビクしながら進み頂上に到達した。


 雲はまだ遥か上に見えるがそれでも、かなりの高さだと痛感した。なにせ森の木々がものすごく下に見える。落ちたら即死は免れない。頂上の真ん中に台座があってそこには淡く緑輝く石が存在している。

 さっそく入手して戻ろうと思うのだが……ここまできた安心からか足に力が入らなくてそのまま地面に倒れるように座り込んだ。


 「坊ちゃまっ!?」

 僕が倒れたのを見てヨハネスは顔を青ざめながら駆けつけてくる。

 「アハハ、安心したら足に力が…情けないね」

 「びっくりしました。何事になくてよかったです。1歩踏み間違えれば命の危険がある中よく頑張りました。帰りもあることですし少し休憩いたしましょう。ゴードンさんよろしいですか?」

 「もともとそのつもりだ。レオニス様、御年でここまで怯まずに来られたのは誇っていいことです。よく頑張りましたね。」

 

 そう言われると何故か涙が溢れてくる。怖かった、怖かった。と安心したからか、褒められたからか、緊張が解けたからか。それはもう滝のように。僕1人でよかったと心の底から思った。


 …そうして体も十分に休まったところで僕は台座に向かって歩き出す。

 台座にはまっている風の石を手に持ちゴードン達の方へ振り返る。

 「ゴードン!敵だっ!!」

 巨大な鳥が僕たちにむかって飛んできていた。思わず叫んだ僕にゴードンとヨハネスは剣を構える。

 しかし、鳥はわき目も降らずその頭上を通過して…

 僕捕まえるとそのまま飛び去って行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「レオ、大丈夫かしら?人1人が通れる道を進んでいったみたいだけど、私より怖がりな癖に強がっちゃってさ、ちびってたりしないかしら?」

 「まぁ、レオだって男だってことだよ。それにあいつは優しいんだ。きっと僕たちのことを気遣ってくれたんだろ。余計なお世話だってのに。」


 本当に、確かに私たちは思いあっているけれど、レオがいたって邪魔とは思わないのに余計な気を利かせるんだから。でも、せっかくカイルと2人(護衛の方たちはいらっしゃるけれど)なのだからぞんぶんにいちゃつこうかしら?


 「それはそうと、3人で大丈夫なのだろうか?もう1人くらいついていったほうがよかったんじゃないか?」

 「カイル様、あの道です。前後に1人ずついてさらにもう1人いてもレオ様に何かあってもその1人は何もできません。であればあの人数で最適なのです。それに、戻った際体力も気力もかなり減ってしまいます。その人数が多くなるとこの先で対応が遅れることにもつながります。そういった意味でも3人がベストなのです。」

 「そうか。いやすまない。俺はどうにもそういったことを考えるのが苦手なんだよ。いつもレオに言われるんだよなぁ」


 「カイル、お茶にしましょう?私が入れてあげるわよ」

 そういって話の終わったカイルをこっちに呼び戻す。レオが戻ってくるまでいちゃつくんだから。


 そうしてのんびりと過ぎていく時間の中上のほうから足音が聞こえてきた。だけどその足音はすごく早くてすぐに気づいたの。レオに何かがあったんだって。カイルも他の皆も気づいている。それぞれ荷物をさっとまとめゴードン達を迎えたの。 

 (レオ、大丈夫よね?どうか無事でいて)

 私はそう心の中で願った。 


誤字脱字、感想などどうぞお気軽にコメントください。

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そしてレオニスはどこに連れていかれたのでしょうか。また次回お会いしましょう。

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