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4話 魔獣がいる森へ

遅れました。すいません。

太陽が雲に見え隠れを繰り返す天気の中、魔獣討伐と属性石捜索が始まった。精鋭達は僕たちの周りを2,3人分開けて囲みながら進んでいる。そして空を警戒して僕たちの後ろに一人。僕たち含め計9人で森の中にいる。

 属性石の捜索といっても森の地図はある。ずっと昔からある森だからね。森の地図はばっちり!それにちゃんと小屋だってあるみたいだ。が、手入れをする人はいないので本当に雨風をしのげるらしい。それも昔の昔からあるから今どうなっているのかはわからない。だから最初僕たちは、水の石の近くで野宿をする予定だった。

今回は、魔獣討伐ってことで小屋を使う方針になっている。まぁ、小屋が使えればの話でね。使えないと判断すれば、警戒のしやすい場所を見繕ってもらうことになっている。

 常に気を張っている方たちのおかげで、僕たちはわりと緊張していない。だけどやっぱり、魔獣がいると思うと、この薄暗い森の中もなかなかに怖い場所になるもので、森に元々棲んでいる動物や鳥が出す音でさえも身構えてしまう。


「俺たちは前回寝てたからさ、森の雰囲気とか知らないが、なんかこうすごくまがまがしく感じるな。」

「それはきっと危険だって思ってるからそう感じるんだよ。森自体は何も変わっていない。外から見る分には前回と同じだよ。」

「レオが言うなら変わってないんだろうな。そうか、思い込みってすごいな。」

「レオニス様もカイル様も、今回の件しっかり覚えておいてください。思い込みはすごい、と。実際に戦う時でも相手は自分より強いかもしれないと思うとうまく動けなくなりますし、相手は自分よりも弱いと思うと隙が生まれます。思い込みはそういった意味でもすごいのです。十分にお気を付けください。」


 思い込み1つで様々な視点から話ができるってことに正直1番驚いた。僕たちが知らないだけで世界には1つの言葉で色んな分野での考え方があるんじゃないかと、ふとそう思った。つまり、ぼくはゴードンの話を右から左へとスルリと流していた。

 森の中を進むと想定通り魔獣が襲い掛かってきた。猿や猪、熊など色んな動物が魔獣化しているみたいだ。元々この森に生息している動物が魔獣化したのだろうか?


生息報告のない動物の魔獣とはまだ出会っていない。となると外から来たのではなくこの森に何か下の原因があるのではないか。そう考えるようになった。

 しかし、その調査をするわけにはいかない。今はまだ傷を負った人はいないがいつ状況が悪くなるかわからない。この件に関してはまた後日僕たちを抜いて本当の意味での精鋭たちに調査してもらおう。今回の目的は属性石と伝説の剣の入手だ。それだけに集中しよう。


 しばらく森を進んでいくと水の流れる音が聞こえ始めた。


「水の音!きっと川があるのだわ!!水の石がある場所にもきっともう少しでたどり着けるわ。さぁ急ぎましょう?」

 とはしゃぐアイリ。ここが変わらない森の中であればさほど問題にはならなかった。しかし、今は魔獣がいる森だ。そんな大声を出せば当然。


 グルルル…


 声を聞きつけた魔獣が寄ってくるのは必然。ゴードン達はアイリの言動をみてさっと僕たちを円の中心におしやっていた。流石だ…


「アイリ、ここで大声を出してはいけない。この通り魔獣寄ってきてしまう。」

「ご、ごめんなさい。その、本当にごめんなさい。」

「アイリーン様、今はその場でじっとしていてください。絶対に動かないでください!」


 自分の言動によって魔獣をおびき寄せてしまったことを理解したアイリは、少し泣き出しそうだった。僕でも魔獣が近くにいるだけで体が震えてきそうなんだ。アイリはきっともっと怖いはずだ。心持つかな…。

 

 アイリの声につられた魔獣は次から次へとその数を増やしていった。多勢に無勢、ゴードン達の顔には焦りが見えている。彼らの陣形が崩れればそれは僕たちの身が危険にさらされるということ。立て直すための時間稼ぎが必要だろう。なにかないだろうか。


「レオ、今は何もしないほうがいいだろう。下手に動いて状況を悪化させてはいけない。」

 僕の考えを読んだのか察したのか、カイルがそうささやいた。

「そうだよね。やっぱり今の僕たちだと足手まといになるよね。信じるしかないのってこんなに辛いんだね。」


 辛い。何もできない自分が。力のない自分が。もっと強くならないと。今はゴードン達に守ってもらう。そしてみんな無事に帰ったら猛特訓だ。こんな思いは2回もいらない。

 強く、強く自分の心の中で決心した。

 やがて魔獣を倒し切ったゴードン達の顔色は少し悪かった。


「あ、あの…私のせいで危険なことに…本当にごめんなさい。」

「アイリーン様。今回のことできちんと理解してくださったことと思います。失敗は誰にでもあります。次に同じ失敗をしなければいいのです。大丈夫です。今回は何とかなったのですから!しかし、少々休憩を頂けると幸いです。」

「はい!そしてご苦労様でした。守ってもらう身ですもの。あなたたちが疲れているのに無理をして先には進めませんわ。休みましょう。」


 流石だと思った。これでアイリの心もだいぶ落ち着くだろう。あんな状態で数日もこんな環境では過ごせないだろうし、やっぱり大人はすごい。

 

 アイリの失敗に始まった魔獣の襲来は無事潜り抜けることができた。

 しかし、これはまだ始まりに過ぎない。気を付ければこれほどの危険はないだろうとおもってしまった。そう、ここにいる全員が”これ以上はない”と思い込んでしまっていた。


ついに4話。

まだ4話。

僕の中ではけっこう進んだなぁって思ってたのに現実はぜんぜん進んでなかった。

1章はまだまだ続きます。

評価やコメントこないかなぁと期待しつつ…5話執筆します。

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