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1話 必要なもの

これからレオニス達の物語が始まります。

どのように話が進んでいくのか私自身もわくわくしております。

「集まったわね。それでは始めるわよ。」

 そういってそれぞれが領地で集めてきた伝説の噂をまとめた資料を取り出す。


「まずは私から。伝説の剣を取る為には4つの石が必要らしいの。でもそれがどんな石なのかどこにあるのかは誰も知らなかったわ。」

「4つの石か。だとすると俺の領地にあった噂の4つの属性ってのが怪しいな。曰く、4つの属性をもって剣を振るうべし。曰く、4つの属性とは火、水、風、光。ていうのがあってさ。つまりこの4属性の石を集めることで境界の中に入れるってことじゃないのか?」


 アイリの話を肯定するように続いてカイルが噂の話をする。しかし、


「境界に入る為に必要なのは間違いないみたいだね。だけど僕が話を聞いた1人のおじいさんはその石を集めても境界には入れなかったらしいんだ。やっぱり僕達以外にも同じように考えて動いた人はたくさんいるみたいだよ。やはり選ばれた人ってのも必要な条件なのは確からしいね。」

「なら話は簡単じゃない。その人にその石の場所を聞きに行きましょう。私たちが選ばれてるかどうかもわかるもの。」


 僕の話にアイリの輝く目を見て、こんなにも早く伝説の剣に近づけるなんてやっぱり私たちは呼ばれているのね。とそう思っているように見えた。カイルもアイリのうれしそうな顔を見て嬉しそうだ。

 この2人を見ている僕もこの日常が続けばいいのにと願っている。願っているからこそ、アイリの『呼ばれている』は只の思い込みだと。そうじゃないとダメなんだ。もし思い込みじゃなくて本当に『呼ばれている』のであればそれは・・・災厄がすでに動いている証拠。これからこの世界が恐怖に落ちる証明になる。だから僕は願った。どうか、アイリの願望であってくれ…と。


 その後も話し合いは続き、明日例のおじいさんのところへ話を聞きに行くこととなり今日は解散。僕とカイルは馬車に乗りそれぞれの領地へと帰る。また明日ね。とアイリは笑顔だった。アイリの笑顔を見るたびに僕は不安を抱いてしまう。

 大丈夫、選ばれてはいない。災厄は起きない。と自分に言い聞かせいないと不安に押しつぶされてどうにかなってしまいそうだ。あの2人は選ばれることについて本当に理解しているのだろうか。選ばれたなら災厄を退ければいいだけだとそう考えているに違いない。災厄だと言われている。


 きっと伝説の剣だけでは乗り越えられない。そう感じていることに僕は気づいていない。そう、感じているんだ。剣だけでは乗り越えられないと…


 翌日。僕はカイルとアイリを待っている。今日は空に雲ひとつなくきれいな青い空が広がっていた。

心地よい風が吹きふと門の外の西側…例の森がある場所の反対側を見たその時、一瞬黒い影が見えた…気がした。

 動物か魔物か、何かが通ったのだろう。

 そんなことを考えていると馬車の姿が見えてきた。

 馬車は門の前で止まり、中からカイルが下りてきた。


「おはよう、カイル」

「おはよう、レオ」


 挨拶を交わす僕らの近くでカイルの従者が門番に領地へ入る手続きを行っている。


「カイルが来たってことはもうじきアイリも来るね。」

「そうだな。おじいさんには俺たちが来るってこと伝えてあるんだろう?」

「あぁ、昨日帰ってからアデルに伝えてきてもらったよ。それよりカイル。アイリが来る前に話したいことがあるんだけどいいかな?」


 アイリはきっと伝説の剣にしか興味が言っていない。災厄に関しては深く考えていない。だからここでカイルと話しておかなければいけない。カイルが深く考えていないとしても今から考えてもらう必要がある。だってそれは、剣を手に入れただけでは災厄は決して乗り越えられないのだから。


「アイリがいるとできない話?…あぁ、もしかして災厄に関してか?」

 どうやらカイルは災厄のことも考えていたらしい。そう思うと少し安心した。


「そう。災厄のことについて話がしたいんだ。アイリは剣さえあれば災厄は乗り越えられると思っている。だけど僕はそれだけでは絶対に足りない。そう感じているんだ。カイルはどうかな?」

「そうだな。確かに剣があっても使いこなせるかどうか。俺もそこが気になっていた。アイリの力だと絶対に持ち上げることもできないだろうしな。選ばれたところでって話になる。」


 前言撤回。カイルはやっぱりアイリのことしか考えてなかった。災厄についてもっと真剣に考えないといけないはずなのに。災厄はもう動いているかもしれないのに。もしかしたら明日。いいや、今日この瞬間にも起きるかもしれないのに…

 この2人に任せてはいけない。災厄を乗り越えるためにも鍛えないと。…あれ?なんで鍛えるって。なんで僕たちが『選ばれる』前提で考えているんだろう……


「レオ、アイリも来たみたいだぞ。馬車が見えた」

 そういってカイルは僕に話しかけてきた。


 確かに、カイラー家の紋章がついた馬車だ。アイリに違いないだろう。

 さっき感じたことはひとまず置いておいて、これから会いに行くおじいさんと石を探すにあたって必要なものを調べて用意しなければいけない。余計なことを考えて忘れてしまうのはよくないしね。


「おはよう、カイル、レオ。今日はいい天気ね。絶好のお出かけ日和だわ。」

「おはようアイリ。今日もかわいいね。」

「おはようアイリ。おじいさんのところには昨日のうちに僕たちが訪れる旨は伝えてあるよ。」

 挨拶を交わした後、僕の案内でおじいさんの家に向かう。

 今日は本当に天気がいい。空を飛ぶ鳥の姿もしっかり見ることができる。雲もないから今みたいに白い光が走ってもすぐにわかるくらいに。


「ん?さっきの光はいったい??」

「どうしたレオ?」

 さっきの光はなんだったのだろう。しかし今はあの光よりもおじいさんのところに行かないとね。


「ちょっとね。空に白い光が走ったんだよ。何だったんだろうねあれは」

「雲一つないもんね。見間違いではないだろう。まぁなんにせよ今日は例のおじいさんのところで話を聞く日だからな。ほら、行くぞ。あとどれくらいで着くんだ?」

「あと少しだよ。そこの角を曲がればすぐだよ」


  --コンコンコン


「こんにちは。昨日約束したレオニスですがー」

 ドアをたたき来訪を告げるとドアがゆっくりと開きおじいさんが出てきた。


「お待ちしておりました。レオニス様。ご友人方は初めまして。私はゲノムと申します。本日は森の中にある4属性の石についての話ですね。どうぞおあがりください。狭いところですが。」

 そういっておじいさんは僕たちを部屋へと案内してくれた。

 席につき早速話を聞くことにする。


「お忙しい中ありがとうございます。先日お話を伺ったことで知りたいことがありまして。4属性の石を ゲノムさんは集められたことがあるとのことでしたが、それはどこにあるのでしょうか?」

「確か学園の研究でしたか。石は森の中にありました。それぞれその属性に関係した場所にあります。火は絶えず燃える場所に。水は叩き付けるように落ちる水の奥に。風は強い風の吹く岩の上に。光は森の中にある洞窟に。一筋の光が差し込む場所にありました。光の石以外は危険が伴いますのでくれぐれも注意してください。」


 それからも僕たちは当時どんな風に森に入ったのか。森には何がいるのか等、様々な話を聞かせてもらった。

 用意するものは、数日分の食糧。これは、一度森から出ると石は自動で元の場所に戻るためすべて集めるまで森から出ることはできないから。アイリは水浴びができるように最初は水の石を手に入れましょう。と言っていた。ついでにそこで1夜を過ごすつもりなんだろうな。

 後は、火の中から石を取り出すための道具、風に煽られても耐えられるように重りを。

 光の石までの道が真っ暗だといけないので松明を。

 基本的にはこれで大丈夫だろうという話になった。

 また明日僕の領地の門で待ち合わせることになり解散した。

 4つの石を集めても伝説の剣のもとにさえたどり着けなければ今抱えている不安はすべて杞憂で終わる。

 そう、杞憂で終わるのが一番いい結果なんだ。選ばれてしまえばそれは…災厄が起きることを意味するのだから。

1話ご回覧ありがとうございました。

誤字脱字、その他表現や言い回しで気になったことなどあれば教えて下さると助かります。


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