ひっさつ、ハケンぎり!
セケンファンタジークエストアドベンチャー、というゲームが発売された。
とある有名なゲームに似ているタイトルなので、面白がってみんな買った。
ゲームのために生きているような男、シチローもこれを発売日に買った。
「さてやるぞ」
主人公の剣士、シャーチ=ヨウサンを育てているうちに、仲間として魔法使いのセーン=ムーなどを加えていった。
ハケンシャインA が あらわれた。
ハケンシャインB が あらわれた。
ハケンシャインC が あらわれた。
多く現れるほど、剣士シャーチ達にとっては良いカモだ。
シャーチ達は総攻撃をかけて、敵を全滅させた。
シャーチは レベルが あがった!
ひっさつわざ ハケンぎり を おぼえた!
「ハケンぎり? なんじゃそりゃ」
とりあえずシチローは、ハケンぎりの性能を見てみることにした。
ハケンぎり
ひっさつわざ
しょうひTP・なし
はんい・ぜんたい
こうか・ハケン を そくし させる。かくとくしきん も アップ!
「マジかよ」
というわけで、シチローは早速使ってみた。
ハケンシャインA が あらわれた。
ハケンシャインB が あらわれた。
ハケンシャインC が あらわれた。
ハケンシャインD が あらわれた。
ハケンシャインE が あらわれた。
「げっ、流石にこれはやばいよなあ」
そうだ、とシチローは必殺技の欄をあけてみる。
ちゃんとシャーチの覚えている必殺技に、ハケンぎりがあった。
「よし、やってみるか」
シャーチの ひっさつ ハケンぎり!
ハケンシャインA は たおれた。
ハケンシャインB は たおれた。
ハケンシャインC は たおれた。
ハケンシャインD は たおれた。
ハケンシャインE は たおれた。
「うわあ、すげえ。本当に死んだ」
シチローは喜んだが、そんな至福のときもつかの間。
ハケンシャインA が あらわれた。
ハケンシャインB が あらわれた。
ハケンシャインC が あらわれた。
ハケンシャインD が あらわれた。
ハケンシャインE が あらわれた。
ハケンシャインF が あらわれた。
ハケンシャインG が あらわれた。
ハケンシャインH が あらわれた。
ハケンモドキ が あらわれた。
「うわあああああああ、こんなん無理だあああああああ」
シチローはヤケクソになってハケンぎりを使った。
シャーチの ひっさつ ハケンぎり!
ハケンシャインA は たおれた。
ハケンシャインB は たおれた。
ハケンシャインC は たおれた。
ハケンシャインD は たおれた。
ハケンシャインE は たおれた。
ハケンシャインE は たおれた。
ハケンシャインF は たおれた。
ハケンシャインG は たおれた。
ハケンシャインH は たおれた。
ハケンモドキ が は たおれた。
「すげえ、モドキまで死んだぞ!」
シチローは興奮しながら、先へとゲームを進めていった。
三時間後、仲間にハケンシャインのムイ=チモンを仲間に入れ、一向は魔王城へ。
魔王がいるという城に入り、何人ものハケンシャインを倒していると、中ボスが現れた。
ハケンロウドウクミアイイン が あわられた!
「グワハハハハ! まっていたぞ。ここから さき は とおさん!」
シャーチの ひっさつ ハケンぎり!
ハケンロウドウクミアイイン は たおれた。
ハケンシャイン の ムイ=チモン は しんでしまった……。
「ええええええええ! あ、この技効果全体なのかよ、チクショウ!
シチローは悔しがってコントローラを床に投げつけた。
なんでだよ、なんでだよ、なんでだよ!
「あ、でも金がたくさん入ったからいいや」
ムイをパーティから外し、一向は魔王の間へ。
ハケンムラソンチョウ が あらわれた!
「ヨクキタナ!」
シャーチの ひっさつ ハケンぎり!
ハケンムラソンチョウ は しょうめつ した!
せかい に ヘイワ が もどった!
Yhe End!
五時間でゲームをクリアしたシチローは、大きく伸びをした。
いろいろあったけど、このゲームの難易度はすごかった。
一度にたくさんの敵が出てきたり、味方が技で死んだり。
でも……。
「つまんねぇぇぇ!」
シチローは、頭を掻き毟った。心臓を書き出したい気分になった。
それだけつまらなかったのだ。
こんなに難易度だ高いはずなのに、つまらなかったのだ!
「しかも最後の文字、綴り間違ってんじゃん。何て読むんだよこれ、ゆ、ゆぢゅ、エンド? くそ、さっさと売ってやるこんなもん!」
しかし、全国各地で中古売りされまくったセケンファンタジークエストアドベンチャーは、十円にもならなかった。
ガミ通レビュー十四月号!
神板神男のゲームレビュー!
今週のピックアップは『セケンファンタジークエストアドベンチャー』。
どうしてこれをピックアップしたかというとね、とんでもないクソゲーだったからさ!
古今東西、いろんなクソゲーがあるけど、それでもまだ愛嬌のあるクソゲーは、今までたくさんあった。
でもね、このゲームはそういうレベルじゃないんだ!
まずね、製作者の頭を解剖したいね! どういう神経でこのゲーム作ったのか、わかったもんじゃないよ!
途中まではね、最近のゲームにしてはレトロだし、それだけに難易度高いと思ったよ。
だけど途中からね、ハケンぎりって覚えると、もうこれはゲームとして成立しなくなるんだよね!
知らない人にはネタバレになるけど、実はこの技、使うとハケンって名前につく奴はみんな○○(ネタバレしてもいいよって人はこの袋とじを破ってね!)しちゃうんだ!
もう中ボスもラスボスもだよ。あげくには、味方で職業ハケンシャインの奴まで効果が及ぶから、驚きだよ!
これから買おうとしている人は、まず立ち止まって良く考えてみて!
そんなものに金を使うより、これ作った製作会社までの電車賃とかバス代にお金を使って、製作者をミンチにしてやったほうが有益だよ。
じゃあ、またね!
その後、神板神男は名誉毀損で訴えられた。
脳みそを解剖、ってところがNGだったらしい。
ごはんライス先生の評価返信欄読んでたら切なくなって、衝動的に構想して、今寝不足の中勢いだけで書き上げました。
面倒だと思ったらガミ通のところまでは読み飛ばしてもいいです。そんな短編。
ああ、こんな欠点だらけでも、これ板を取り替えちゃうと、全部崩壊しちゃう気がするんだよなあ、
というわけでそのまんま。
好き放題に小説を書くってそういうことですよね。
でも、次回からはもう少し読者のことを考えた、読者に怒られない作品書きたいです。
ああ、珍しく長くなってしまった。