そして即位
その世界は、まず北極とか南極に氷とかなくて、んで。北半球を下にし、南半球を上に。
北は綺麗に陸塊である。綺麗に赤道を沿岸線にしていた。で、今、俺が降り立ったのは、南半球、南極点上、すなわち南半球たる海半球において、唯一、陸塊として存在し、その北の陸塊たるその真円をそのまま縮小して、点にしたような、そんな、半径100平方キロメートルなのか、10平方キロ―メートルのか、よろしく、都市国家もいいところの世界であった。
目瀬アンリ(めせ あんり)またはメセ=アンリ。
実の所、彼女も元は俺と同じ現実世界の住人だといっていた。
実名をそのまま英語風に直して、それを名乗ってるらしい。
「ねぇ~ユマ?」
早速、俺の名前が英語化されていた。
今、俺たちは、この都市国家にして、【全ての対岸】を【海上交通路】として結ぶ、強大な、それでいて脆弱な海洋国家において、その地理的にも勢力的にも中心部に位置する、その【宮殿】へと向かった。
この1個都市域で構成される、この王国は、長年。大陸からの影響力を排除し、中立を守っていたようだが、ついに、それもしびれを切らし始めている。既に、その影響力は、この世界で初めて経験する事になる【大戦】へと発展を遂げ始めた。
「で、あるからして―――――。」
「あ、お父さん。」
「アンリ!」
一体どういうことであろうか?お約束なのか、やはり(・・・)、玉座に坐っていた王が父親という、【設定】であった。
「うちの娘が世話になります・・・。さあどうぞどうぞ。」
「へ?」
いきなり、玉座に坐らせられた俺。
「今、こうして、【約定】が果たされ――――。」
んふぅあぁぁぁあ?!?!
「預言者にして、【約束されり、“海洋王”】が成されました!!!」
―――――、空いた口がふさがらなかった。
いきなり、家族ごっこみたいな雰囲気のノリで俺を椅子に座らせられたと思いきや、いつの間にか、【人類史において最も特異的】というか分岐点みたいな、そんな話題と運命の中で、ひょいっ・・・。と座に乗せられた俺であった。